カウンセラーの大塚統子です。
突然ですが、今、楽しく暮らしているでしょうか?
「楽しいかどうか?」なんてことは、
辛い時にしか考えないものかもしれません。
では、「生きていくってラクじゃないな~」と思うのはどんなときでしょう?
・失恋や死別で大切な人とお別れした時
・信じていた人に裏切られた時
・誰も自分を理解してくれる人が居ないひとりぼっちの時
・生きていることに意味が見出せなくて虚しい時
・何をしてもうまくいかなくて未来に希望が持てなくなった時
・ヒドイ失敗や、どうしようもなく恥ずかしい思いなどを経験した時
・自分のことが大嫌いで嫌いな理由ばかり考えている時
などなどでしょうか。
そんな時には、「自分が悪かったんじゃないか、
あれができていればよかったのに、これができなかったから…」と
自分自身に否定的になっていないでしょうか。
◆「できない」というタブー
私達にとって、「できない」というのは
何となくタブーになっているようなところがあります。
「勉強ができない」「運動ができない」「友達ができない」「結婚ができない」「仕事ができない」など、
「できない」というのはいい意味で使われることはほとんどないでしょう。
ちなみに、できないことが「いいこと」というのもなくはないです。
「遅刻ができない」とか「人をだますことができない」とかいうのは、
「できない」がいいことに分類されますが、少数派ですよね。
たいていの「できない」はタブーで、私達は「できない」と感じたら、
自分に向かって「なぜできないの?」と問い詰めることがあります。
自分を表現する時に、得意なことよりも「○○が苦手で」とできないことの方を
強烈に思い浮かべたりします。そして、苦しくなるんです。
◆「できないことはない」発想法のメリット
この「できない」について、
成功法則の本などでは「がんばればできないことはない」
「やってやれないことはない」などといったフレーズが書かれていることがあります。
これはある意味真実でしょう。
というのは、心理的に見ると、取り組む前から「できないかもしれない」と
不安を抱えていると、できるか・できないかで迷うことになります。
その結果、発揮できる力が「できる」「できない」の二方向に分散していくので、
実現に向けて注ぐ力が半減してしまうようです。
その点、「できる」と信じられれば、一方向に力を集中できます。
「どうやって実現させるか」に全力で打ち込みやすくなるわけです。
また、「どうせできないに決まっている」と始める前から諦めているような場合にも、
「できる」と可能性を信じるようになれば、状況を変えられるかもしれません。
「できないことはない」という考えを取り込むことで、道が開かれることもあるでしょう。
そういった意味では、「できないことはない」という発想には効力があると思われます。
◆「できない」ことはあっていい
ところが、です。
この「がんばればできないことはない」という超ポジティブな発想は、
心や体が疲れている時や、もうこれ以上がんばれないと思う時に言われると
相当キツイものです。
「がんばればできないことはない」という言葉を聞いて息苦しく感じる方は、
何かができないことで自分を否定して責めていたり、
行き詰まりの限界を感じていたりするのかもしれません。
みなさんはいかがでしょうか?
そんな方たちが心を楽にする発想法の一つに、
『できないことはあっていい』という考え方があります。
「『できない』を使って自分を苦しくするのをやめましょう」ということですね。
そもそも、できないことは確かにあるのです。
実際に本人がどんなに努力したとしても、望みがかなわないことは色々とあります。
わかりやすい例でいえば、不死身になるとか、男性が出産するといったことでしょうか。
これらは、物理的に「できない」と認めているから誰も悩みません。
「私が不死身になることができない」と悩む人や、
「僕は子供を産むことができないんだ」と悩む男性はほとんどいないでしょう。
ところが、物理的に不可能なことに近いのに、
「できない」と悩むことが私達にはあるようなのです。
◆普通が自分を苦しめる
「普通にできない」、
それで自分を責めていることはないでしょうか。
普通にできないことが心を苦しくしていないでしょうか。
どんなに不本意でも、
「できない」と受け容れなければならない現実はあります。
どんなに望んだとしても、どんなに頑張ったとしても、どんなに願ったとしても、
残念ながら「できないこと」は存在します。
そして、「できないこと」を否定する限り、自分自身を否定し続けることになります。
それは楽ではないでしょう。
だから、
あえて「できないことはあっていい」という発想をもってみるのはいかがでしょうか。