なんとも言えないドキドキ感、緊張感

改札に向かうにはその前を通るのが早いのにわざわざ道を変えた

まさか実物をまた見ることがあるなんて

議員だから当たり前か。。。

このまま見過ごせばよいものを私はメールしてしまった

「朝早くからお疲れ様です

今〇〇駅にいましたよね」

10分ほどすると演説も終わったようで返信が来た

「通ったの?

全然気付かなかったよ

一瞬でも姿を見たかったのに残念」

この時このまま仕事をこなしたけど日中はこのまま終わらせたくない

会いたいという衝動にかられて勇気を出してまたメールをした

「朝はどうもでした

この前、キャンセルしちゃったのに図々しいと思うけど

デートの約束はまだ有効ですか?」

1時間ほどして返信が来た

「会議だったから返信遅れてごめんね

誘ってくれて凄く嬉しいです

日にちは合わせるから平気な日を連絡してね」


その後、お互いの予定が合わない日もあり少し日数が空いたが

3週間ほど後に約束を決めた

約束の1週間前に待ち合わせ場所の連絡が入る

「ちょっと遠くて悪いんだけど〇〇でいいかな?

どこに行くかはある程度決めてるからコースは任せてね

もし遠くて大変だったり時間を変えたかったら遠慮なく言ってね」

待ち合わせに指定された場所は電車で1時間ほどかかる県外だった

遠くにしなきゃいけない理由もわかっていたし

普段遠出をしない私でもたまには行ってみたいと思う気持ちがあり了承した

約束の日が近付くたびに緊張と楽しみでいっぱいだった


「議員との密会」

この状況を知る人にはそう思えるだろう

でも私にはそんな気持ちは全くなかった

この人の個人的な面と時間を共にしたい

もしかしたら騙されるかもしれない、遊ばれるだけかもしれない

そんな思いも過ぎったけどどんな人間性なのか見たかった

仕事にしっかり行っていたし努力をしていなかったわけではない

怪我をしたことは正直気の毒だった

でも休んでいても夕飯時には酒を飲み

そして寝る時には体を求める

この頃私は完全にセックスレス状態だった

疲れているせいもあったけどこの人に抱かれるということが

苦痛でしかたなく先に布団に入り寝るようにして逃れる毎日だった


足が良くなってきているのなどあまり気にもしてあげることすらできない

一緒にいるのに私って冷たい女だな。。。自分で思った

彼がお金がないという態度も目に見えてわかった


仕事で疲れて精一杯

自分で必死に働いたお金でこの人の分までという気持ちにはとてもなれない

今まで境界例の症状で多大なストレスと恐怖心を与えられた

色んな気持ちが入り混じりとうとう私は別れ話を切り出した

「いつになったら仕事復帰ができるかわからないよね

今こうしてお金も入れられないで休んでいたら今後も更に無理でしょ

私も新しいことでいっぱいいっぱいだし

仕事を休んでいる状態のあなたの面倒を見てあげるゆとりはないし

仕事をいつまでも始めないでダラダラしていたのも納得いってなかった

とりあえず一旦距離をおくだけでもいいから出て行ってほしい」

この頃には境界例の症状がなくなっているように見えていたけど

これを言うのはとても勇気がいることだった

なので完全に別れたかったけど距離をおくという言葉を使ったけど

心配をよそに彼は冷静だった

「わかったよ

今まで迷惑かけてごめん

まだ仕事復帰できないから何も言えないし

せなに甘えていたのを反省して頭を冷やすよ」

そう言ってすぐに準備を始めて元々住んでいた実家へと帰っていった

数時間後には何度かメールが来て

「今までごめんなさい

冷静に考えてちゃんとするから

少し時間が経ったらまた会ってくれるかな?」

こんな内容を送ったあとすぐに

「自分も言いたいことがあるんだけど

せなの方こそ人を傷つけるようなことを言ったよね?

少しは反省して下さい」

などとバラバラな内容が届いたが真剣に対応はしなかった


境界例がなおったのか

新しい存在ができたのか

どうでもいいので真実は知らない

最初は好きで一緒にいたのだから全く淋しくないわけではない

でも散々与えられた恐怖心をもう味わいたくないという気持ちの方が強かった

なのでこの時は無事に終わって良かった

これでやっと自由になれる

もう怯えたりする日々はなくなる

そんな思いでゆっくりと眠ることができた


心が晴れやかになり穏やかな気持ちになり日々の仕事をこなして

また1ヵ月ほど経ったころ

仕事へ行くために最寄り駅へ行くと演説している議員がいた





長いブランクを経ての介護職

幸い良いスタッフに恵まれて精神的には大丈夫だけど

肉体的なものは結構きついものがあった

でも挫けない、ここからまたスタートなんだから

そんな気持ちで仕事のみをもくもくとこなす日々が続いた


そんな私の気持ちには反して境界例の彼はただダラダラとしていた

付き合った当初はとにかく一緒にいたかったのですぐに同棲のような形になり

私の部屋に住むようになっていた

今となっては別れ話を出ると人格が変わるので追い出すことも出来ない

私が仕事から帰るとご飯を作っていたけれど私はそんなことを望んでいない

男なのに仕事もせずダラダラしてるなんてみっともない

日に日に嫌気がさし別れたい気落ちは大きくなった


私のそんな気持ちを察したのかだらしないと気付いたのか

ようやく重い腰をあげて私に3週間ほど遅れて仕事を始めた

訪問販売の営業のようなもので完全歩合制のため

契約が取れなければ収入はゼロ

いい大人なんだし当たり前のことと思い光熱費、食費に相応する分をもらっていたけど

貯えがなくなって来たのかそのお金を渋るようになった


しかしこれは私にとって別れ話を切り出すチャンスと思った

私が新しい仕事に生き生きとしているのがプレッシャーだったのか

羨ましかったのかただひたすら契約を取るために走り回っている毎日を

凄く楽しいとは言っていたが本音には見えなかった

契約を取れるようになれば収入が大きいから楽させるからという

いつになるかわからない夢で私を安心させようとしている言葉も

私にとっては何の喜びもない言葉だった


そして彼が仕事を始めた頃すぐに久しぶりにしんからメールが来た

「おひさしぶりです

新しい仕事には慣れましたか?

以前のデートのことなんだけどそろそろ行けるかな?

来週の土曜日あたりどうですか?

駄目なら遠慮なく言ってね

いつまでも待ってるから」

この1ヵ月ほどの間しんを忘れていたわけではない

でも現状を変えたい思いで必死だった私は連絡をしていなかった

それなのに誘ってもらえた

行きたい。。。

そんな気持ちがよぎり返信をした

「全然連絡しなくてごめんなさい

仕事、生活スタイルが変わり気付くと時間だけが過ぎていました

仕事にも少し慣れて来たので来週の土曜日はぜひお会いしたいです」

「元気なら良かった

じゃあぜひお会いしましょう

場所やデートコースは考えておくのでまた直前に連絡するね

楽しみにしてるよ」

こんなやりとりをしたものの本当に行けるのだろうか?

水商売の接客はともかく付き合ってる人に嘘をつくのが苦手な私

まだはっきりしていないのに笑って楽しく過ごせるのだろうか

境界例の彼に来週末に職場での飲み会があるから行きたいと必死の嘘話をすると

「飲み会とか嫌いじゃなかったっけ?

男も来るの?

場所はどこ?

終わる頃に迎えに行く」

こんな感じでいい返事をもらえず結局キャンセルしてしまった

これでもう会えることはないかな。。。

でも今こうして新しい仕事をしているのが凄く楽しいし

この男と別れれば苦しいものはなくなると思いながら時間が過ぎた


そして2週間ほど過ぎた頃

境界例の彼は慣れない営業回りからか足を疲労骨折した