迷うことなく晴れやかな気持ちでドキドキした生活

当然毎日会うことはできない

でもメールや電話で確かめ合うことは出来る

今すぐに会いたいという気持ちは毎日あったけど

負担や重荷にならないように

そして会えた時に新鮮な気持ちでいられるように

会えない時の淋しさはこらえた


この頃会うのは週に1~2度

相変わらず短時間が多い

夜中が中心だからドライブで終わり


これでももちろん幸せだ

でもこの人はなぜ体を求めないのだろう?

キスをしても抱きしめてもいやらしく迫ることがない

これだけで満足なのかな?などと1人で考えたりしていた

淫乱、エッチが好きというわけじゃなくても

好きな人には抱かれたいという気持ちは誰にでもあると思う


「私のこと本当に好き?」

メールで尋ねた

「大好きだよ

何で?」

「別に。。。

ただ聞きたかっただけ」

これ以上聞けない

何を聞けばいいのかわからない

自分が何を期待しているのかわからない


会うとお互いにホッとしてこのまま時間が止まればいいのになんて思ったりもする

でも何か不安でこの人の女だという自信が持てないところもあった


大切にされているから?

そう思い込んでも何かが不安で淋しい気持ちになった





一瞬自分の目を疑い思わず立ち止まってしまった

なんで。。。

車の中からは愛しい人が私を見ていた

私はそのまま車に背を向け歩き始めた

まさか出て来てまで追いかけるなんて出来ないだろう

「せな!!」

しんに初めて呼び捨てにされた瞬間だった

そして腕を掴まれる

「ちょっと!離して!

こんなことしたらまずいんじゃないの?」

「まずいかもしれないね

でもどうしても会いたかったから

少しだけでいいから話を聞いて

聞いてくれたら帰すから」

道端でとやかく言い合ってもしかたがない

私は黙って車に乗った

ある程度の出勤を教えていたので待っていたとのこと

でもしんにとっては勇気のいる行動だったはず

少し走り公園の駐車場に車を停めた

「ごめんね、こんなことして

でもこうでもしなきゃ会えないって思ったから

返信も来ないってわかってたしね

君の言う事を理解してこのまま終わらせるべきかと思ったけど

嘘をついたまま終わらせたくなかった

自分の正直な気持ちや状況をちゃんと聞いてほしかったから」

「嘘。。。?」

「家族のことだよ

嫁のことと言うべきかな?」

ここで家族、奥さんとの真実を知ることとなる

「本当のことを最初から言うべきだったんだろうけど

家庭が大変だからすがってるように思われたくなかった

もし言ってしまったら弱さを出して君に甘えてだらしなく見られて

嫌われるのが怖かった

嫁とうまくいってると言えば君とうまくいかないと思ったし

自分も悩んでいたんだ

こうして君からメールをもらってカッコつけずに自分の全てを出して

納得して離れようと決めた

これでいいのか悪いのかなんてわからないけど

普段人には言えない本当のことを君に聞いてもらえて良かったよ」

しんは冷静に話してくれた

こんな嘘を言って戻ろうとしてるんじゃないか?

そう思われてもしかたがないような話

でもこの人の話し方で嘘をついてるとは思わなかった

「辛いことなのに正直に話してくれてありがとう

〇さんが正直に話してくれたから私も正直に話すけど

仕事のことや会い方に対しては全くではないけど気にしてない

私は結婚というのがひっかかってた

不倫なんてしたくないし私とは一緒にいれない時間が多い中で

奥さんと仲良くしてるって考えると悲しくて淋しくておかしくなりそうだった」

これを言うだけで私は精一杯だった

やっと決意したのに戻ってしまうだろう

でもやっぱりこの人が好きだからこうして会えただけでも

嬉しくて安心出来て涙が出た

しんは私の肩を掴んで目を合わさせて言った

「確かに不倫だし愛人になるんだろうけど

好きな気持ちは変えられないし変える気はない

せなを愛してる」

「ありがとう。。。

私もしんを愛してる」

お互いに力が抜けたような感じだったが抱き合った

ただそのまま抱き合って鼓動を感じ合った


これからは素直に何でも言い合おう


私たちはこの日も笑顔で別れた

帰り際にそっとキスをしただけ

少しずつ進めばいい




自分がしたいと思ったことが全て身勝手に出来ればいいのに

でもそんな行動をするとたくさんの人を傷つけるだろう

そして、自分が傷つくことももちろん嫌だ


しんとの出会いはとても輝いていた時間

今までの辛かった過去なんてなかったかのように

忘れかけていたまっすぐに純粋な気持ちを取り戻せた時間


大切で今の温かい気持ちを今のままにしたいから

なくさなきゃいけないこともあるんだと思った


何度も何度もメールを打ち直し送信をやめたりもした

でも私が勇気を出すことがしんのためだと思った


「連絡しなくてごめんなさい

1人で考え事をしていました

最初はなかなか会えなかったけどやっと会うことが出来て

あっという間に距離が縮んだけど

私にはやっぱりあなたは合わない

あなたにも私は合わないと思うの

人目を気にしてコソコソして堂々と一緒に歩けないなんて息が詰まっちゃう

結婚というネックもあるけど私にはあなたの仕事というものに対しての配慮が出来ない

恋愛は楽しいことばかりじゃないというのもわかるけど

あなたといても常に緊張していて落ち着かない

好きなだけじゃ無理って思ったの

まだ始まったばかりだから何かに傷つく前に

このまま終わりにしようね

2人で会ったのはたった2回だけどその2回は私の人生で大切な時間なのは確かだから

いい思い出のまま終わらせて


どうもありがとう

これからも前向きにもっと大きくなって下さい」


結婚してるから、不倫だから。。。

そんな言葉を使いたくなかった

仮にその言葉を使ってしまうとそう思わないようにすればいいと言われてしまうのがわかったから

仕事を投げ出すことはできないのだからあくまでも仕事を出した


1時間ほどして返事が来た

「まさかとは思ってたけどやっぱり悪い方に考えていたんだね

メールを読んですぐに電話しようと思ったけどやめた

どうせ出てくれないだろうから

仕事のことが理由なら何も言い返せない

でも自分からもどうしても言いたいことがあるんだ

これは直接聞いてほしいから会ってもらえないかな?

このままやれるだけのこともやらずに会えなくなるのは嫌だから

もちろん会いたいし顔が見たいのもあるけどね

時間は極力じゃなく完全に君に合わせる

何があってもキャンセルするから

連絡待ってます」


何の話だろう?

ただズルズルするだけなんじゃないか?

私は返事をしなかった

心を「無」にして仕事をした

しんから連絡が来ることもなかった


しかしその約10日後

仕事が終わり職場の外へ出ると見かけた事がある車が目についた