答えを欲しがる受講生・形を求める研修発注者 あなたならどうします!? | 「選ばれる講師」~企業・研修会社に選ばれる講師/Brew(株)

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人材育成業界、研修・セミナー、自署である「研修講師が企業・研修会社から選ばれる力」に関するお話。研修業界18年。1000人以上の講師に会い、自社でも350名の登録講師がいる。好きなワードは「なんかおかしくない?はイノベーションの種」

4月の怒涛の新人研修が、ある程度落ち着いて、5月~6月と、やや専門的な教育に移っていく時期ですね。ただ、コロナの状況がやはりこの仕事は大きく影響を受けます。急遽方法や日程変更、そして延期や中止など、だいぶ慣れましたが、未だに続く状況大変といえば大変です。

さて、15年以上、企業の人材育成の世界に居て、毎年色々なことを感じます。今年も、この新年度に、色々な現場からの声、私も実感したことを、ここでまとめてみたいと思いました。

 

それは、タイトルにも書いた

「答えを欲しがる受講生」 そして「分かりやすい形を求める人事、研修発注者」という点。

 

企業研修をされている方なら、そういったシーンを、たまに、あるいは時々感じられることがあるかと思います。

 

受講生が、答え、正解、早いやり方、正しいルートなどを求めてくる傾向が近年、より高まってきたと感じます。講義をしていていも、あまり深い議論やモノゴトの裏側、背景、なぜそうなったのか、という部分はあまり突っ込まない、考えたくない。それよりも、失敗しないやり方、間違いのない回答、一番ラクに早く到達できるルート、、、そういったことにより関心が高いなあ、、、と。ワークをやってもらっていても、グループでミスしない、間違いのない解答を出すことに集中している雰囲気、シラけた匂いがすることがあります。

 

 

そして、受講生だけでなく、研修を企画する側、発注する側にも、そこ大事?と感じることがあります。例えば、持ち帰れるフレームワークだけ集中的に教えて欲しい、受講生を眠らせないようにするためにワークを入れてください、企画書のカリキュラム(アジェンダ)は上に通しやすいように分かりやすいキーワードを沢山盛り込んでください、、、、こういった、なにか目的とは違うことにフォーカスしていないか?と感じる事も少なくありません。

 

もちろん、受講生の状況やレベル、課題に依っては、そういった内容ややり方が最適だからと、選択している場合はあります。受講生にしても、本当はもっと突っ込んだことを学びたい、気付きの機会にしたい!、が周りの目を気にして大人しくしている場合もあることはよくわかります。

 

しかし、両者を通じて感じることは、なんだか「研修ごっこ」をしているのではないか?と感じるのです。

 

受講生も、やり過ごす、正しい答えを出しておけばいいのでしょ、という空気感、そして、企画実施側も、やることが目的化しているような、本質からズレているような、感覚があるのです。せっかく、普段の業務を離れて、違った角度から新しい知識スキルに触れたり、普段考え抜く機会がないからこその貴重な機会、違う部署や年齢の方との意識の違いから気づく機会、そういった総合的な(どこに学びが潜んでいるか分からない偶発性も含めて)学びの機会であったと思うのは、私だけでしょうか。

 

 

この問題の根は深いな、とは感じます。

もちろん、受講生の気質や育った環境なども原因にあるかもしれません。
研修実施側も時間もお金もない中、さらにコロナの中でも必死に学びを実施している中だから、と考えることもできます。ですから私は、単にこれは受講生や事務局だけの問題とは捉えたくありません。もっと、本質的な課題を感じるのです。

 

 

そもそもは、本質的に考える機会である、意味や背景、その影響などを考えることが、仕事の現場から失われつつあることも原因の1つだと思います。あまり深く考えずとも、細分化された仕事でマニュアルや先輩、あるいはITツールなどに従って業務をこなしていければ、そこそこの仕事ができてしまうこと、これも一因でしょう。

 

そして、やはりこれも根深い原因ですが、会社から失敗やミスを許す、許容する風土、環境が失われつつあることも大きいと思います。人事評価が、相対評価であったり、原点評価である事などもそうですが、上司と部下、社員同士がフェイスツーフェイスでお互いを知る機会が失われ、良いところも悪いところもお互いに深く理解し合う機会が失われていることも要因だと感じます。普段は見えていないから、見えやすい失敗やミスを、社員が極度に恐れているのではないか、ということです。

 

コロナでこうした本質的なことまで考えが回らない、行き届かないことが加速している、放置されている気がしてなりません。

 

 

今回は主に問題提起です。

 

ただ、私はプログラムの中に、モノゴトの意味や背景を考える機会を仕込んだり、ワークなどでも正解のないことを問うたり、ミスや失敗をどう学びに活かしていくのか、といった「より本質的に考える機会、気づく機会」を作っていく、カリキュラムに忍ばせていく、そういったことが可能なのだと思います。

 

特に、若手の受講生の場合には、「ここは学びの場なので、失敗してもいい場なのだ。正解という結果より考えるプロセスが大事なんです」という前提をお伝えすることも有効だと思います。彼らの場合、悪気なく知らなくて自然とそうしていることも多いのだ、そんな経験を私もしています。


受講生にすぐ答えを渡さない

人事研修発注者に迎合し過ぎない


こんなことを感じた、2021年5月です


Brew株式会社 代表取締役

原 佳弘

 

 

 

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