普通人の映画体験―虚心な出会い -59ページ目

普通人の映画体験―虚心な出会い

私という普通の生活人は、ある一本の映画 とたまたま巡り合い、一回性の出会いを生きる。暗がりの中、ひととき何事かをその一本の映画作品と共有する。何事かを胸の内に響かせ、ひとときを終えて、明るい街に出、現実の暮らしに帰っていく…。

2015年6月12日(金)吉祥寺プラザ(東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-19、JR吉祥寺駅北口サンロード突き当たり左)で、16:20~鑑賞。

作品データ :
原題 Pitch Perfect
製作年 2012年
製作国 アメリカ
配給 武蔵野エンタテインメント
上映時間 112分


『イントゥ・ザ・ウッズ』でシンデレラ役に抜擢されたアナ・ケンドリックがヒロインを演じ、全米で大ヒットを記録した青春ドラマ。大学でガールズアカペラ部に入部した主人公が個性豊かな仲間たちと大会を目指して奮闘する姿が描かれる。劇中でヒロインがコップを用いて披露するパフォーマンス“カップス”も人気となった。

ストーリー :
DJになろうと奮闘中のベッカ(アナ・ケンドリック)だったが、親に大学へ進むことを強く勧められる。渋々大学に入学した彼女は、全く興味のないガールズアカペラ部に入部し大会に出場する羽目になってしまう。しかし、メンバーは個性の強過ぎる者ばかりで、部としてしっかりと活動できる状態ではない。それでもぶつかり合いながら練習を重ねていくうちに、彼女たちの間に次第に友情が芽生え、歌声もリズムもハーモニーもピッタリと合うようになるが…。

▼予告編



■私感 :
率直に言って、主演を務めたアナ・ケンドリクの演技は、どうも私にはしっくりと来ない。
しっくりした感情が湧かないという点では、『イントゥ・ザ・ウッズ』(本ブログ「映画『イントゥ・ザ・ウッズ』」2015.3.18記)でシンデレラを演じた彼女に対しても同様だった。
事態はもともと彼女が私の個人的な好みのタイプではないことに起因するのかもしれないが…。

それよりは、「太っちょエイミー」役で共演したレベル・ウィルソンの演技の方がよほど私にしっくり溶けこむ。
『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』(本ブログ「映画『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』」2015.3.22記)では、彼女の風采としっくり当てはまる行動にすべて合点が行ったものだが、今回もまったく同じだった。
2015年6月9日(火)ヒューマントラストシネマ有楽町(東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町イトシア・イトシアプラザ4F、アクセス:JR山手線・有楽町駅中央口から徒歩1分)で、18:40~ 鑑賞。

作品データ :
原題 DEUX JOURS, UNE NUIT
製作年 2014年
製作国 ベルギー・フランス・イタリア
配給 ビターズ・エンド
上映時間 95分


『ロゼッタ』『ある子供』でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したジャン=ピエール・ダルデンヌとリュック・ダルデンヌの兄弟が、解雇を回避するために同僚たちに賞与を諦めるよう説得して回る女性の姿を描いたドラマ。主演は『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』で第80回アカデミー賞主演女優賞を受賞したマリオン・コティヤール。窮地に立たされた主人公のひたむきさや脆さを演じ、第87回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。主人公を支える夫を『ロルナの祈り』『少年と自転車』のファブリツィオ・ロンジォーネが演じるほか、オリヴィエ・グルメやモルガン・マリンヌといったダルデンヌ兄弟作品の常連が集結。

ストーリー :
体調不良のため休職していたサンドラ(マリオン・コティヤール)が職場に復帰しようとした矢先の金曜日、会社側から社員へボーナス支給するために解雇せざるをえないと告げられる。ようやくマイホームを手に入れ、家族を養うためにも仕事は必要だった。同僚のとりなしで、週明けの月曜日に16人の同僚たちによる投票を行ない、彼らの過半数がボーナス(1000ユーロ)を諦めてサンドラを選べば、サンドラの復職が果たされることになる。共に働く仲間をとるか、ボーナスをとるかのシビアな選択。その週末(二日と一夜)、サンドラは家族に支えられながら、同僚たちを訪ね説得して回る…。

▼予告編



■私感 :
マリオン・コティヤール(Marion Cotillard、1975~ )の出演作を、私はこれまでに、何本観ただろうか。
記憶に誤りがなければ、
『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』(原題:La Môme、2007年)
『パブリック・エネミーズ』(原題:Public Enemies、2009年)
『インセプション』(原題:Inception、2010年)
『ミッドナイト・イン・パリ』 (原題:Midnight in Paris、2011年)
『ダークナイト ライジング』(原題:The Dark Knight Rises、2012年)
『エヴァの告白』(原題:The Immigrant、2013年)
の6本である。

これらはそれぞれに味わいがある、無理なく楽しめる作品だった。
特にコティヤール主演の『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』(オリヴィエ・ダアン監督)、『エヴァの告白』(ジェームズ・グレイ監督)の2作は、見応えのある佳作だ。

前者:「愛の讃歌」「バラ色の人生(ラ・ヴィ・アン・ローズ)」など、数々の名曲を残した伝説の歌姫エディット・ピアフの波瀾万丈の生涯(1915~63)が描かれる。
後者:1921年、戦火のポーランドを逃れ、新天地アメリカへ渡るも、バーレスクダンサーになった女性・エヴァの過酷な運命と愛憎が描かれる。

私はピアフおよびエヴァを演じるコティヤールの言い知れぬ魅力に惹かれた!

『サンドラの週末』は私の観たコティヤール出演作の7本目に当たる。
本作は等身大の一人の女性の物語。
主人公サンドラは、自分の存在価値を何度も疑いながらも自身を見つけ出していく…。

サンドラの弱さと強さ、脆さや不安、繊細さ、心の機微…。
暮らしの最低線を維持するための、サンドラの「闘い」!

コティヤールはこの「サンドラ」役を生々しく演じている。華やかさ・優美さを封印し、具体的にして身体的な演技力を存分に発揮している。

コティヤールはノーメーク、無造作な束ね髪とジーンズで“普通”を体現する。ディオールのコマーシャルなどでお馴染みのエレガントでスリムな彼女が、そこでは痩せこけて、一見貧相に見えるほど。

しかし、彼女は演技の身体性の磁力を全開する。
全篇を通して、「力なき小さな人」の肉体の実感に貫かれた名演技を見せている。
ピアフおよびエヴァ以上に複雑なキャラクターの持ち主・サンドラを痛ましいほどに演じきった!

サンドラ(コティヤール)の言葉の一つひとつが私の心の深みに響いたものだった…。
2015年5月29日(金)立川シネマシティ(シネマ・ワン:東京都立川市曙町2ー8ー5、アクセス:JR立川駅北口から徒歩5分)で、16:45~鑑賞。

作品データ :
原題 RUN ALL NIGHT
製作年 2015年
製作国 アメリカ
配給 ワーナー・ブラザース映画
上映時間 114分


リーアム・ニーソンが『アンノウン』『フライト・ゲーム』のジャウム・コレット=セラ監督と三度(みたび)タッグを結成して放つクライムアクション。長年の親友だったマフィアのボスの息子を殺してしまい、マフィアだけでなく、買収された警察やスゴ腕の暗殺者からも追われる破目になった殺し屋とその息子の一晩の逃亡劇がスリリングにつづられる。

ストーリー :
ジミー・コンロン(リーアム・ニーソン)は、ブルックリンを縄張りとするマフィアの一級の殺し屋。だが、これまでに犯した罪の重さに苛まれ、ウイスキーを呷ることだけが日々の慰めとなり、仕事のせいで家族からも疎まれていた。そんなある日、命を狙われた息子マイクを救うため、ジミーはその相手を殺害してしまう。だが、彼が殺したのは、マフィアのボスで長年の親友、ショーン(エド・ハリス)の息子だった…。“お前とお前の息子を殺す”と、復讐に燃えるショーン。マフィア、買収された警察、凄腕の暗殺者…。今やジミー親子は、ニューヨーク中から狙われる身となっていた。残された時間は“たったひと晩”。刻々と命の期限が迫る中、果たして2人は逃げ切ることができるのか…?

▼予告編



■私感:
いやあ、面白かった!
一瞬の隙もなく、冒頭から張りつめつづける緊迫のノンストップ・アクション。たっぷり気ままに楽しめた!

そもそも私がリーアム・ニーソン(Liam Neeson、1952~)という北アイルランド出身の俳優の存在を明確に意識に上したのは、主演を務めた『シンドラーのリスト』と『マイケル・コリンズ』の2作品においてである。

前者(原題:Schindler's List、スティーヴン・スピルバーグ監督、1993年公開)では、第二次大戦時に1200人ものユダヤ人をナチスの狂気から救ったドイツ人実業家オスカー・シンドラー(1908~74)の姿が描かれる。
後者(原題:Michael Collins、ニール・ジョーダン監督、1996年公開)では、アイルランドの独立運動家~アイルランドの自由獲得という困難な目標の達成を賢明かつ大胆に推進する~マイケル・コリンズ(1890~1922)の生涯が描かれる。

リーアムはもともと身長193cm、大柄で屈強な肉体、威厳ある台詞回しや物腰といった男性的な魅力にあふれた俳優であり、演技派よろしく、その魅力を当の2作品においても~オスカー・シンドラーおよびマイケル・コリンズを演じるに際しても~いかんなく発揮している。

ところが、彼リーアムは2008年製作の『96時間』(原題:Taken、リュック・ベッソン製作、ピエール・モレル監督、2009年8月日本公開)で、50代半ばにして本格アクション俳優としての新境地を開いた。

映画『96時間』は、最愛の娘を海外旅行先で拉致された元CIA工作員の父親(リーアム・ニーソン)が非情な追跡者へと変貌、96時間というタイムリミットの中で、百戦錬磨のスキルを駆使しながら娘の救出に奔走するさまをスピーディーかつスリリングに描くサスペンス・アクション。

以来、
→『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』(原題::The A-Team、ジョー・カーナハン監督、2010年8月日本公開)
→『96時間/リベンジ』(原題:Taken 2、オリヴィエ・メガトン監督、2013年1月日本公開)
→『フライト・ゲーム』(原題::Non-Stop、ジャウム・コレット=セラ監督、2014年9月日本公開)
→『96時間/レクイエム』(原題:Taken 3、オリヴィエ・メガトン監督、2015年1月日本公開)
→リーアム、今やアクションスターとして大ブレイク中!

(私は上掲のアクション映画を、すべて公開直後に鑑賞。どれもこれも面白かった!)
2015年5月29日(金)立川シネマシティ(シネマ・ツー:東京都立川市曙町2ー42ー26、JR立川駅北口から徒歩6分)で、20:15~鑑賞。

作品データ :
原題 THE MAZE RUNNER
製作年 2014年
製作国 アメリカ
配給 20世紀フォックス映画
上映時間 113分


朝から夜が訪れるまでという限られた時間の中で、複雑な構造の巨大迷路の謎を解き明かし、元の世界へ戻ろうと奮闘する者たちの姿を描くサバイバルアクション。全米で160万部以上を売り上げるなど人気を誇った小説を映画化したもので、ディラン・オブライアン、カヤ・スコデラリオといった若手注目株が多数顔を揃える。

ストーリー :
高い壁に囲まれた巨大な迷路への扉は、朝になると開き、夜が訪れる前に閉じられる。夜の間、迷路はその構造を変化させ、二度と同じ道順は出現しない。そんな謎の迷路に囲まれたエリアに、月に一度、生活物資とともに新しい“ランナー”が送り込まれてくる。記憶を失い、かろうじて自分の名前だけを思い出すランナーたちは、コミュニティを形成。選ばれた数名が迷路の構造を調査し、この地からの脱出法を探していた。だが、迷路の扉が閉まる夜までに戻らなければ、彼らに命の保証はない。生き残るため、迷路の謎を解き明かすため、トーマス(ディラン・オブライアン)たちの空前のサバイバルが始まった…。

▼予告編

2015年5月21日(木)目黒シネマ(東京都品川区上大崎2-24-15 目黒西口ビルB1、JR山手線目黒駅西口から徒歩3分)で、18:05~鑑賞。『竜二』16:20~と2本立て上映。

目黒シネマは主に半年~2年前くらいの旧作を上映する名画座。時々10年前以上の旧作を【目黒シネマ 名作チョイス】と銘打って上映することがある。

今作の『青春の殺人者』と『竜二』は、【目黒シネマ 名作チョイス】Vol.12 番外編。目黒シネマチョイスではなく、前者が女優・臼田あさ美による、また後者が監督・大根仁による、「いまスクリーンで観たい映画チョイス」。

作品データ :
製作年 1976年
製作国 日本
配給 ATG
上映時間 132分


1974年10月30日、千葉県市原市で実際に起こった事件に取材した芥川賞作家中上健次の小説『蛇淫』をもとに、両親を殺害した一青年の理由なき殺人を通して、現代の青春像を描き上げる。脚本は元創造社のメンバーの一人で、作家に転向以来5年ぶりに脚本を執筆した田村孟、監督はこれが第1回監督作品の長谷川和彦、撮影は『祭りの準備』の鈴木達夫がそれぞれ担当。

ストーリー :
彼、斉木順(水谷豊)は22歳。親から与えられたスナックを経営して3カ月になる。店の手伝いをしているのは、幼なじみの常世田ケイ子(原田美枝子)である。ある雨の日、彼は父親(内田良平)に取り上げられた車を取り戻すため、タイヤパンクの修理を営む両親の家に向った。しかし、それは彼とケイ子を別れさせようと、わざと彼を呼び寄せる父と母(市原悦子)の罠だった。母は彼に「順は取り憑かれてるのよ、蛇にぐるぐる巻きにされてる」となじる。早く別れないとあの体にがんじがらめになるという。もともと、スナックを建てる時にケイ子を連れて来たのは父だった。ケイ子は左耳が関えなかった。その理由を順はケイ子のいう通り、中学生の頃、いちじくの実を盗んで食べたのを、順がケイ子の母親に告げ口をし、そのために殴られて聞えなくなったと信じていた。しかし、父は、ケイ子の母親が引っばり込んだ男に彼女が手ごめにされたのを母親にみつかって、たたかれたからで、いちじくの話はケイ子のデッチ上げだという。母親が野菜を買いに出ている間に、彼は父親を殺した。帰って来た母は最初は驚愕するが、自首するという彼を引き止めた。こうなった以上、二人だけで暮そう。大学へ行って、大学院へ行って、時効の15年が経ったら嫁をもらって、と懇願する。だが、ことケイ子の話になると異常な程の嫉妬心で彼を責める。ケイ子と始めから相談して逃げようとしていたのだ、と錯乱した母は庖丁を手に待った。もみ合っている内に、彼が逆に母を刺していた。金庫から金を奪った彼は洋品店で衣類を替え、スナックに戻った。彼はケイ子に、店を今日限りで閉めると言った。何も知らないケイ子は、自分のことが原因だから両親に謝りに行くという。彼はもう取り返しがつかないと彼女を制した。衝動的に彼がケイ子を抱こうとした時、高校時代の友人の宮田とその婚約者郁子、宮田の大学の同級生日高の三人が訪ねて来た。彼が高校時代に撮った8ミリを皆で見ようというのだ。ガレージの中で、教師と両親を葬れといった内容の8ミリを見終る。順は、日高がトイレに行った時、風呂場で両親の死体を日高に見せる。親とは仲直りして、ごめんなさい、金下さいって言えばいいという日高に、仲直りできない理由を教えようというのだ。日高は、ぶるぶる震えているだけだ。順はケイ子と一緒に、ケイ子のアル中の母親の家に行って、いちじくの一件をたずねるが、八つ手はあったが、いちじくはなかったと、母親はいう。順は、追って来るケイ子を振り切って、一人で家へ戻る。両親の死体をタオルケットで包んでいる時に、ケイ子が家の中に入って来た。ケイ子は、殺人のことを既に知っていたのか、平然としている。彼女も包みを運び出すのを手伝ってから、二人は燃えた。海に死体を捨てたあと、いちじくの話はケイ子の作り話だと彼女から聞かされた。彼の脳裏に幼い日の彼と、貧しい父と母が浮かぶ。食うもんも食わんで、飲むもんも飲まんで、バカだよ。彼は泣いていた。ケイ子は彼と一緒に死ねると思った。「俺はここを燃やしたい、ここじゃなきや燃やしたことにならない」。二人は、スナックにガソリンをまいて、火を放った。梁にロープをつけて首をかけたが死に切れず、ケイ子を連れて外へ出た。見物人の人混みの中で、ケイ子から離れた彼は、一人、走るトラックの荷台から遠い黒煙を見ていた。

▼劇伴(サウンド・トラック)―ゴダイゴ(GODIEGO)の「憩いのひととき」(水谷豊+原田美枝子)



■私感① :
1976年に初見、今回約40年ぶりの再見。

本作では、子どもの通過儀礼としての「親殺し」がテーマ化されている。
そして、親離れできない息子、子離れできない父親と母親、三者三様のおぞましさ・滑稽さ・バカバカしさが毒々しく・生臭く描かれている。

青春の光と陰、親子の愛憎、内なる狂気に溢れた作品だ。

とはいえ、昔も今も変わらぬ思い:
何しろ主演の水谷豊にしろ原田美枝子にしろ棒読み演技が多過ぎる!
市原悦子の演技にしても~ユーザーレビューにしても「怪演」とか「熱演」とか賞賛する向きがいるが~、ねばねばしたオーバーな演劇っぽさが鼻につく!
これはやはり、ザックリ言って、継ぎ接ぎだらけの安普請の日本映画にすぎない。

私はかつてアメリカン・ニューシネマ(New Hollywood)【1960年代後半~70年代にかけてアメリカで製作された、反体制的な人間(主に若者)の心情を綴った映画作品群】をこよなく愛好した。

『俺たちに明日はない』『卒業』『イージー・ライダー』『明日に向って撃て!』『真夜中のカーボーイ』『いちご白書』『スケアクロウ』『カッコーの巣の上で』『タクシードライバー』等々。

これら一連の作品の特徴はアンチ・ヒーロー、アンチ・ハッピーエンドという点にあるものの、どの作品も“一個の人間が社会・体制と拮抗しつつ、程度の差こそあれ、いかに能う限り人生・青春を十全に生きるか”をテーマ化している点で共通している。

本作は長谷川和彦の監督デビュー作。
長谷川和彦(1946~)という人物は、『ウィキペディア日本語版』「長谷川和彦」(2015年5月27日閲覧)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E8%B0%B7%E5%B7%9D%E5%92%8C%E5%BD%A6によれば、
〈酒を飲んではあたりかまわず喧嘩を仕掛ける豪傑として知られ、助監督時代から監督よりも偉そうにしていたと言われ、藤田敏八の演出に口出ししたり、藤田をパキ、神代辰巳をクマと呼び捨てにしていた。…/新宿ゴールデン街のスナックで飲んで暴れて、窓ガラスを割り、冷蔵庫を床に転がし、足の踏み場も無いほど店を破壊して、駆けつけた警官を殴り、四谷署でぐるぐる巻きにされて床に転がされていた、俳優でもツワモノに位置する竜雷太と殴り合いで五分を張った、安岡力也ととっくみあいの喧嘩をした、作家のリチャード・ブローティガンを殴打して鼻骨を折った、焼肉店で映画監督の崔洋一から殴られて怒鳴り合いになり店にいたヤクザからうるさいと怒られると今度はそのヤクザに向かっていった、各界の著名人が集った伝説のバー「ホワイト」でも、内田裕也と並んで"ハリケーン"といわれたが、女子供相手の内田とは違い、いる人誰にでも喧嘩を売って出入禁止となったなど、武闘派として多くの逸話を持つ。…〉

こういう“ハチャメチャ”な男だから、母親が全身を脂汗でギットリさせながら実の息子に迫るという、世にもウザったいシチュエーション(異様な磁場)を露悪的にねちこく描くことができたのだろうか。

しかし果たして、どうだろう?
私自身の経験知によると、“ハチャメチャ”な人間ほど度量が狭小で、無理に背伸びする癖がある。(前出の『ウィキペディア』によると、何と長谷川本人が、自分の性格は気が小さく、末っ子の甘えん坊で威張って怒鳴って甘える…と認定している。)

要するに、酒とフィルムと喧嘩とイデオロギーの世界におぼれ、小心翼々とひどく人に気を遣うひ弱なインテリだからこそ、母子の血みどろの殺し合い→息子による母殺しのシーンを擬似セックスとしてどす黒くねっとりと描くことができたのかもしれない…。

◆◆本作の歴史的・思想的文脈~当時の時代性~を探るよすがとして、「朝日新聞デジタル」(2014年3月8日15時00分)から、
鈴木繁【(映画の旅人:上)「青春の殺人者」〈1976年〉】【(映画の旅人:下)荒廃が招く、不条理な爆発】の全文を以下に引用する(太字引用者)。

【(映画の旅人:上)「青春の殺人者」〈1976年〉】:
●反抗する者の愛と熱気

 千葉県市原市五井。煙突から炎が上がっている。主人公の斉木順が両親の死体を捨てたのはこのあたりか。濁った海の強い潮の匂いにむせそうになる。ふいに背後からラジオ体操の前奏。くぐもって割れた号令が、化学プラントの、ぐにゃぐにゃのパイプ塊から漏れ出てきた。
 「順はな、俺なんだよ。むろん、俺は親を殺してはいないが、俺と思われてもいいやつしか、撮ってみたいとは思わない」。東京都内で会った長谷川和彦監督(68)はそういった。「俺は今も家父長になることを忌避している。息子にも娘にもパパとは呼ばせない。ゴジだ」
 東大アメリカンフットボール部時代についたその愛称は、ゴジラに由来し、助監督時代から、態度もデカいが内包するエネルギーと才能も人並み外れた存在として知られていた。
 「青春の殺人者」を撮ったのは30歳。金はなかったが、原作の中上健次も順役の水谷豊さんも、ゴジ兄ぃの意気に感じ、ノーギャラで参加してくれた。
 「僕は俳優を続けていくか、迷っていました。撮影現場の、映画への愛と熱気に引きずられた。とにかく寝ないんですよ」と水谷さんは当時を回想する。
 音楽はまだデビュー前のゴダイゴ。ボーカルのタケカワユキヒデさんは市原の合宿所まで押しかけたことがある。「僕の英語の歌にスタッフ全員が拒否反応を示しているというので説得に行ったんです。23歳でした」
 みんな若かった。スナック炎上のシーンはお金がなく、消防署の許可も取れないまま強行。逮捕者を出すこととなった。
 「OKかNGかが多数決で決まるものなら、俺は映画監督はやっていない」。わがままになりきれるやつが監督なんだと、師の今村昌平から学んだ。
 「社会の全員を敵に回しても反抗する人間の、リアリズムを超えた世界を求めてきたんだ」
 「青春の殺人者」にはゴジが「好きだ」「これだ」「俺だ」と感じたものが詰まっている。
 「この場所が金庫みたいなもんだ。飛ぶんだぞ、一日何万人て人間が」と語る父が刺され、「予備校へ行って。大学行って。大学院も行って」と懇願する母が捨てられるデビュー作は絶賛され、若い才能を表舞台へと押し上げた。中上は父祖の地を題材にした小説で脚光を浴び、ゴダイゴは子どもにも受ける英語の歌で大ヒットを連発した。
 「演じていくうち、なぜ順が両親を殺したのか、自分なりに分かった」という水谷さんは、ドラマ「相棒」の怜悧(れいり)な刑事役で、今も忙しい日々を過ごす。
 けれど、ゴジは1979年に第2作を監督したきり、自身の映画を世に送っていない。

【(映画の旅人:下)荒廃が招く、不条理な爆発】:
●経済大国化する日本に刃を向けた「青春の殺人者」

 ゴジは1946年1月に広島県で生まれた。胎内被爆者だ。監督になるのを急いだのは「いつ白血病で死ぬか、分からなかったから」。助監督をしつつ、数々の日活ロマンポルノや神代辰巳監督の映画「青春の蹉跌(さてつ)」、沢田研二主演のテレビドラマ「悪魔のようなあいつ」などの脚本を精力的に書きまくった。
 「青春ものを、とATGから求められたとき、ガラじゃないが、『長距離ランナーの孤独』(62年)みたいな映画なら俺でも撮れると思った」
 「怒れる若者」を描いた英国の映画。感化院に入れられた不良少年が足の速さを見込まれ、名門校とのマッチレースに出る。勝利直前、彼は足踏みを始める。「この俳優がまた、うれしくなるくらいかっこ悪いヤツでね」
 反抗する青春の映画は米国に飛び火、高名な銀行強盗の生涯を描いた「俺たちに明日はない」(67年)に始まるアメリカン・ニューシネマで大きく燃え上がる。
 実在の若い殺人者が、社会の矛盾や欠陥を一身で背負うダークなヒーローとして注目を浴びることも当時の日本では珍しくなかった。ささいな不正でさえネット雀(すずめ)にたたかれまくる、今の若者には信じられないかもしれないが。
 58年、同じ高校に通う女子生徒を殺したと新聞社に電話をかけ、逮捕された18歳の在日少年がいた。その少年、李珍宇を文芸評論家秋山駿は「内部の人間」と呼んで丹念に論じ、仏文学者鈴木道彦はジャン・ジュネになぞらえた。賄婦殺しも自白した李は、死刑判決を受け、22歳で処刑される。大島渚監督の映画「絞死刑」(68年)は、この事件がモデルだ。
 その68年から翌年にかけて、4件の連続射殺事件が発生する。半ば己から名乗り出た犯人は、親に見捨てられ、兄から暴行を受け、学校へも通えなかった19歳の永山則夫。殺人と殺人の合間の絶望的な北帰行で、こう書き残している。「私は生きる、せめて二十歳のその日まで」
 獄中での猛烈な読書体験は永山を鍛え「日本資本主義国家へたった独りで宣戦布告」すると記す「独りぽっちの革命家」へと変えていく。71年刊行の手記『無知の涙』はベストセラーになった。
 このころ、若者の反乱は大衆運動としては退潮し、その分先鋭化していた。72年には連合赤軍による山岳ベースリンチ殺人事件が発覚、社会に衝撃を与える。
 「革命の犯罪化」は「犯罪の革命化」をもたらす。永山則夫を称揚する平岡正明の72年の評論集は『あらゆる犯罪は革命的である』と挑発的に宣言している。
 だが、この国は68年にはすでに世界第2の経済大国に成り上がっていた。
 永山が見た風景を追うドキュメンタリー映画「略称・連続射殺魔」(69年)の製作に参加して各地を巡った映画評論家の松田政男さん(81)によれば「資本主義が猛スピードで広がっていた。どこも〈故郷〉が崩れ〈東京〉が入り込んでいた。混沌(こんとん)としていました」。
 市原市は、その象徴的な場所だった。海は大規模な埋め立てが実施されて一大工業地帯と化し、山は削られて日本一のゴルフタウンが生まれようとしていた。
 中上健次が「蛇淫(じゃいん)」の想を得た市原市のタイヤ修理業夫婦殺害事件は、変化が完成しようとする74年に起こった。両親の失踪を届け出た長男(当時21)が殺人と死体遺棄に問われ逮捕される。長い裁判の末、92年に死刑が確定。しかし、捜査段階で犯行を自白したとされる長男の佐々木哲也死刑囚は、第1回公判から一貫して犯行を否認し今も再審請求中だ。
 県立千葉高校の同期生で、弁護人でもある四宮啓(さとる)弁護士は「隣の食堂にいた人の証言、母親の血痕の問題など解決していない疑問点が多すぎる」と主張する。
 作家山川健一さん(60)は、同じ千葉高の1年後輩。佐々木死刑囚と一緒にデモに参加したこともあるという。
 「当時生徒会室をバリケード封鎖し、高校全共闘の拠点にしていました。彼も私もそこに出入りしていたんです」
 県内きっての進学校だったが、佐々木死刑囚は大学受験をせず、父が経営する千葉市のドライブインで働いていた。
 「彼は誰かをかばっている」と山川さんはみる。「ただ、事実関係を別にしてこの作品には、あのころの千葉の若者の、宙ぶらりんな重苦しさがよく出ている。映画を見るのもデモするのもみんな東京なんです。地元に根を張れない」
 映し出された地元。工場。フェンス。雑草の空き地。産業道路を走り去る大型トラック。そんな風景の中で、ふと起こる条理のはっきりしない親殺し。血だまりにはキャベツが転がり込む。
 山川さんはこう続けた。「マイナスをそろえると時に大きな手役ができる。『青春の殺人者』には、荒廃に囲まれた人間の、エネルギーの爆発がある」
 炎上するスナックを空港開港前の成田市に据えたのは映画のオリジナルだ。「『勝ち組になれ』というオヤジが息子と相撲を取るなら成田だろう」とゴジ。
 けれど、事は父の予想通りに進んだ。以後、日本は資本主義先進国への道をひた走る。経済的成功が称賛され、安全・安心が求められ、多数派が正義となる。
 「俺はまだそういうものに抵抗する映画が作れると思う。いや、作る」
 あの日々、燃え上がったゴジの火。それは、まだ消えることを拒否している。
   
■私感② :
思うに、長谷川和彦という観念的ジェントルマンは、
1970年以降の時代の状況下、学生運動や成田闘争を経ても、国も世間も何も変わらない、変えられないという絶望と無力感とイライラ感に襲われるあまり、(現実再構成の想像力ならぬ)現実拒否の空想力をフル展開し、“荒廃に囲まれた人間の、エネルギーの爆発”~『青春の殺人者』~を形象化したのかもしれない…。
2015年5月21日(木)目黒シネマ(東京都品川区上大崎2-24-15 目黒西口ビルB1、JR山手線目黒駅西口から徒歩3分)で、16:20~鑑賞。『青春の殺人者』18:05~と2本立て上映。

目黒シネマは主に半年~2年前くらいの旧作を上映する名画座。時々10年前以上の旧作を【目黒シネマ 名作チョイス】と銘打って上映することがある。

今作の『竜二』と『青春の殺人者』は、【目黒シネマ 名作チョイス】Vol.12 番外編。目黒シネマチョイスではなく、前者が監督・大根仁による、また後者が女優・臼田あさ美による、「いまスクリーンで観たい映画チョイス」。

作品データ :
製作年 1983年
製作国 日本
配給 東映セントラルフィルム
上映時間 92分


青春時代が過ぎ、金と出世欲だけで動くのにうとましくなって堅気になったやくざの姿を描く。脚本の鈴木明夫は本作品で主演している金子正次のペンネームである(彼は『竜二』公開直後、ガン性腹まく炎のため死亡)。監督はこれが第2回作品の川島透、撮影は川越道彦が担当。主題歌は、萩原健一「ララバイ」。

ストーリー :
花城竜二(金子正次)は新宿にシマを持つ三東会の常任幹事だった。新宿近辺のマンションに秘密のルーレット場を開き、舎弟の直とひろしに仕切らせ、そのあがりで優雅にやくざ社会の中を泳ぎわたっている。その彼も、3年前は器量もなく、イキがったり暴力を誇示した結果、拘置所に入れられた。妻のまり子(永島暎子)は竜二の保釈金を工面するため九州の両親に泣きつき、両親は竜二と別れるならという条件で大金を出してくれた。竜二の器量があがったのはそれからだ。安定した生活がつづいたが、充たされないものが体の中を吹きぬけていく。竜二はかつての兄貴分で、今は夫婦で小料理屋をやっている関谷にその思いをぶっつける。「金にはもうあきた。子供や女房に会いたい」。そんな竜二に関谷は「俺はそう考えた時、俺自身を捨て、女房・子供のために生きようと決めたんだ」と言う。そんなある日、竜二は、新宿のある店の権利金をめぐってこのトラブル収拾を組の幹部から頼まれた。このトラブルを見事に解決した後、竜二はカタギの世界へ踏み込んでいった。カタギとなった竜二を、まり子の家族は歓待してくれた。小さなアパートを借り、妻と娘とのごくありふれた生活が始まった。酒屋の店員としてトラックで走りまわる毎日。かつてとは較べものにならないほどの安月給。しかし、竜二にとって生まれて初めての充実した生活だった。3ヵ月経ったある日、かっての兄弟分・柴田が、竜二をアパートの前で待っていた。シャブ中で見る陰もなくやつれ果てている彼は、竜二に金を借してくれという。だが、今の竜二にはそんな余裕はなかった。数日後、柴田の訃報を聞いた竜二は香典を届けるが、柴田の情婦に「今ごろ持って来ても遅い」と突き返される。これを機に、竜二の心の中に、焦りと苛立ちが芽生えるようになった。仕事もサボるようになり、家計簿をつけて溜息をつくまり子を怒鳴ることもあった。ある日、かつての弟分、ひろしが訪ねて来た。すっかりヤクザの貫禄を身につけたひろしは、まさにかっての竜二自身だった。ついに竜二のカタギの世界との糸が切れた。ヤクザの世界へ戻っていく決心をした竜二は、娘と買物をしているまり子と商店街で顔を合わせた。見つめ合ったまま無言で立ちつくす二人。全てを理解したまり子は、涙を浮かべながら娘に「九州へ帰ろうね」と言うのだった。数日後、雑踏の中にヤクザの世界に戻った竜二の背中を丸めて歩く姿があった。

▼予告編



■私感 :
『ウィキペディア日本語版』の「竜二(映画)」(2015年5月25日閲覧)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%9C%E4%BA%8C_(%E6%98%A0%E7%94%BBによれば、
本作は「暴力シーンを伴わないヤクザ映画として高く評価され、湯布院映画祭への出品後、(1983年)10月29日から全国で公開され大ヒットを記録した」とのこと。

私は1983年当時、本作について見たような、見てないような、記憶がさだかでない。
カタギからヤクザに舞い戻る話が何かしら頭の隅にちらちらしてはいるが…。
現に見たとしても、1960年代後半から1970年代中頃にかけて隆盛を極めたアメリカン・ニューシネマに多大な関心を持ち続けた私にとって、それはしょせん安普請の感が否めない、チンケな日本映画の典型例にすぎなかっただろう。

今回改めて確信したものだ。
島国日本の「ヤクザ」は、いかに主観的に男気を見せようとも、女房・子供との関係性すら結びえない、その意味で自己完結した「四畳半襖の下張」的な猥雑な世界にしか生きる術を持たない、と。
2015年5月19日(火)TOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区有楽町1-2-2、JR有楽町駅・日比谷口徒歩5分)で、18:55~ 鑑賞。

「真夜中のゆりかご」

作品データ :
原題 En chance til
英題 A Second Chance
製作年 2014年
製作国 デンマーク
配給 ロングライド
上映時間 102分




『未来を生きる君たちへ』(2010年)で第83回アカデミー外国語映画賞に輝いた、デンマークの女性監督スサンネ・ビアと脚本家アナス・トーマス・イェンセンのコンビによる、育児放棄、ドラッグ中毒、家庭内暴力といった現代社会が抱える問題を盛り込んだサスペンスドラマ。妻子と幸せな日常を過ごしていた刑事が悲劇的な出来事に見舞われ、やがてその魂が救済されるまでをスリリングに描き出す。主演はハリウッドでも活躍するデンマーク人俳優のニコライ・コスター・ワルドー。

ストーリー :
刑事のアンドレアス(ニコライ・コスター・ワルドー)は、湖畔の家で妻のアナ(マリア・ボネヴィー)や生まれたての息子とともに暮らし、幸せを感じていた。そんな中、通報を受け同僚シモン(ウルリク・トムセン)とともに乗り込んだある一室で、薬物依存に陥った男女と育児放棄された赤子の衝撃的な姿を目にする。夫婦交代で息子をあやし、愛に満ちた日々を送るアンドレアスだったが、ある朝、思いも寄らない悲劇が襲い、彼の中の倫理観~善と悪の境界線~が激しく揺さぶられていく…。

▼予告編

2015年5月19日(火)TOHOシネマズみゆき座(東京都千代田区有楽町1-1-3東京宝塚ビル地下2階、JR有楽町駅・日比谷口徒歩5分)で、15:35~ 鑑賞。

作品データ :
原題 BLACKHAT
製作年 2015年
製作国 アメリカ
配給 東宝東和
上映時間 133分


ネットワークに不法侵入し犯罪を繰り返す正体不明・目的不明の犯人と、天才ハッカーとの対決を描く、『ラスト・オブ・モヒカン』『インサイダー』『コラテラル』などのマイケル・マン監督によるサスペンス・アクション。『アベンジャーズ』シリーズのマイティ・ソー役で知られるクリス・ヘムズワースが元犯罪者の天才ハッカーに扮し、犯人との壮絶な頭脳戦が繰り広げられる。

ストーリー :
何者かがネットワークに不法侵入し、香港の原子炉が爆破される事件が発生。これによってアメリカの金融市場も大打撃を受けるが、アメリカと中国の合同捜査チームは解決の糸口を掴むことができずにいた。一縷の望みを託して捜査協力を要請されたのは、ハッキングの罪で投獄されていた天才プログラマー、ニコラス・ハサウェイ(クリス・ヘムズワース)。犯人が使用しているシステムは、かつて彼が開発したプログラムを応用したものだったのだ。世界を脅かす凶悪犯を阻止するため、ニコラスは合同捜査チームの中国人パートナー(ワン・リーホン、タン・ウェイ)とともに行動を開始。シカゴから香港、マレーシア、ジャカルタと、世界を股に掛けた追跡劇が幕を開ける…。

▼予告編

2015年5月7日(木)有楽町スバル座(東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル2階、JR有楽町駅・日比谷口正面)で、16:45
~ 鑑賞。

作品データ :
原題 DYING OF THE LIGHT
製作年 2014年
製作国 アメリカ
配給 東京テアトル 日活
上映時間 94分


「ラスト・リベンジ」

ベテランCIA捜査官によるテロリストへの復讐を描くサスペンス・アクション。監督・脚本は、『タクシードライバー』脚本のポール・シュレイダー。出演は、『リービング・ラスベガス』のニコラス・ケイジ、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』のアントン・イェルチン、『ふたりのベロニカ』のイレーヌ・ジャコブ。

ストーリー :
30年のキャリアを誇るベテランCIA捜査官エヴァン・レイク(ニコラス・ケイジ)は、CIAに入る以前はアメリカ海軍でも国に忠義を尽くすなど、輝かしい経歴を持っていた。しかし、「自分はまだまだ現役として現場で役に立つ人間だ」と主張するレイクに、上司は華々しい式典の約束と引き換えに引退を勧告する。そんな時、レイクを慕う部下・若きCIA捜査官ミルトン・シュルツ(アントン・イェルチン)が、22年前の合衆国ミッション遂行中にレイクを監禁し拷問した政治過激派のテロリストリーダー、モハメド・バニール(アレクサンダー・カリム)がケニアに潜伏している可能性がある、という情報を突き止めた。その忌まわしい過去の記憶を、レイクは22年間一時たりとも忘れたことはなかった。死んだと思われていた仇敵がどこかで生きているはずだと信じていたレイクは、シュルツと共にルーマニアに飛ぶ。女性密偵ミシェル・ズバレイン(イレーヌ・ジャコブ)の力を借りながら、バニール生存の証拠を掴むことに成功するが、レイクは末期的な認知障害と医者に診断され、記憶が混濁するなど不安定な健康状態が続き、残された命は僅かになろうとしていた。しかし、レイクは自分の肉体と精神に消えない傷を刻み込んだ宿敵バニールへの復讐に燃え、国家の威信と名誉、正義を守るため、自らの命を賭けてケニアへ最後の闘いに乗り込んでいく…。

▼予告編

2015年4月30日(木)TOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区有楽町1-2-2、JR有楽町駅・日比谷口徒歩5分)で、19:00~ 鑑賞。

作品データ :
原題 THE SEARCH
製作年 2014年
製作国 フランス グルジア
配給 ギャガ
上映時間 135分


『アーティスト』で第84回アカデミー作品賞、監督賞など5部門受賞したミシェル・アザナヴィシウスによるヒューマンドラマ。1999年のチェチェンを舞台に、両親を目の前で殺されて声を失った少年とEU職員との交流を描く。グルジアでロケを敢行し、全編手持ちカメラで描かれるリアリティあふれる映像が印象的だ。

ストーリー :
1999年、ロシアに侵攻されるチェチェン。両親を目の前で殺され、声を失った9歳の少年ハジ(アブドゥル・カリム・ママツイエフ)は、姉のライッサ(ズクラ・ドゥイシュビリ)も殺されたと思い、まだ赤ん坊の弟を見知らぬ人の家の前に捨て、一人放浪していた。子供さえも容赦なく攻撃してくるロシア軍をかわし、ようやく街へたどり着いたハジは、フランスから調査に来たEU職員のキャロル(ベレニス・ベジョ)に拾われる。仕事を人生の第一優先と考え、家庭も持たず、離れて暮らす母親のことも煩わしく感じていたキャロルだったが、ハジと出会い、自分の手では世界を何も変えられないことを知る。せめて目の前の小さな命を守りたいと願い始めたキャロルは、ハジが生き別れた姉弟を捜し出そうと奔走するが…。

▼予告編