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普通人の映画体験―虚心な出会い

私という普通の生活人は、ある一本の映画 とたまたま巡り合い、一回性の出会いを生きる。暗がりの中、ひととき何事かをその一本の映画作品と共有する。何事かを胸の内に響かせ、ひとときを終えて、明るい街に出、現実の暮らしに帰っていく…。

2015年11月16日(月)TOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区有楽町1-2-2、JR有楽町駅・日比谷口徒歩5分)で、16:25~ 鑑賞。

「ヒトラー暗殺、13分の誤算」

作品データ :
原題 ELSER
英題 13 Minutes
製作年 2015年
製作国 ドイツ
配給 ギャガ
上映時間 114分


未遂に終わったヒトラーの暗殺計画にまつわる実話を基にしたドラマ。単独でヒトラー暗殺を行おうとした平凡な家具職人と、彼を生かし続け、その真実を封印したドイツ国家の知られざる思惑が明らかになる。『ヒトラー 最期の12日間』などナチスをテーマにした作品を手掛けているオリバー・ヒルシュビーゲルがメガホンを握る。出演は『白いリボン』のクリスティアン・フリーデル、『コーヒーをめぐる冒険』のカタリーナ・シュトラー、『コッホ先生と僕らの革命』のブルクハルト・クラウスナー。

ストーリー :
1939年11月8日、ミュンヘンのビアホールで恒例の記念演説を行っていたヒトラーは、いつもより早く退席するが、そのわずか13分後、ホールに仕掛けられていた爆弾が爆発する。当日のヒトラーの予定を徹底的に調べあげたその計画は緻密かつ大胆、さらに時限装置付きの爆弾は精密かつ確実なものであった。独秘密警察ゲシュタポは、単独犯はありえないと考え、英諜報部の関与を疑うが逮捕されたのはゲオルク・エルザー(クリスティアン・フリーデル)という36歳の平凡な家具職人だった。彼はスパイどころか所属する政党もなく、すべて自分一人で実行したと供述。それを知ったヒトラーは、犯行日までの彼の人生を徹底的に調べるよう命じる。やがて、恋と音楽、そして自由を謳歌していた普通の男の驚愕の信念が明らかになっていく…。

▼予告編



■私感:
近来まれに見る秀作である!
一人の小市民の勇気⇒ナチズムに従順ではなく、自立せんとして異議を唱える勇気に、私としてはただ粛然と頭を下げるばかりだ。

映画パンフレット『HITLER ASSASSINATION AND MISCALCULATION 13 MINUTES』(編集:東宝ステラ、発行所:東宝映像事業部、2015.10.16、税込価格720円)の中で、映画評論家・きさらぎ尚は、こう述べている。

≪そして思う。ある部分が当時のドイツの空気と似ていなくもない今日の日本に暮らす私たちは、この物語を遠い他国の昔の話だと言ってはいられないと。「僕は自由だった。正しいことをする。自由を失ったら死ぬ」 。ゲオルク・エルザーの正義感を支える言葉に秘められた勇気を、しっかりと受け止めたい。≫

この、ゲオルク・エルザー→きさらぎ尚の言葉こそ、いま現在、人間としてまっとうに生きようとする私たち日本人一人ひとりが、肝に銘じるべき、一刻も忘れてはならない言葉である!
2015年11月16日(月)TOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区有楽町1-2-2、JR有楽町駅・日比谷口徒歩5分)で、14:10~ 鑑賞。

作品データ :
原題 THE MONUMENTS MEN
製作年 2013年
製作国 アメリカ
配給 プレシディオ
上映時間 118分


第2次大戦末期のヨーロッパで、ナチスに強奪された美術品を奪還するという使命を受けた美術分野の専門家チームの活躍を描く、実録サスペンス・アクション。ジョージ・クルーニーが監督・製作・脚本・主演の4役を担うほか、マット・デイモン、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマン、ジャン・デュジャルダン、ケイト・ブランシェットら豪華キャストが出演。

ストーリー :
第二次世界大戦が激化する中、ヨーロッパ各国に侵攻したドイツ軍が、大量の美術品略奪を重ねていた。危機感を募らせたハーバード大学付属美術館の館長フランク・ストークス(ジョージ・クルーニー)は、ルーズベルト大統領を説得。歴史的建造物や美術品を守る特殊チーム“モニュメンツ・メン”を結成する。そのメンバーは、リーダーのストークス以下、メトロポリタン美術館で中世美術を管理するジェームズ・グレンジャー(マット・デイモン)、建築家リチャード・キャンベル(ビル・マーレイ)、彫刻家ウォルター・ガーフィールド(ジョン・グッドマン)、ユダヤ系フランス人美術商ジャン・クロード・クレモント(ジャン・デュジャルダン)ら7人。
略奪された美術品の追跡、発掘、保護を使命としてヨーロッパへ旅立った彼らは1944年7月、フランスのノルマンディー海岸に到着する。だが、激戦を終えたばかりの連合軍から十分なサポートは期待できない。やむなく2、3人ずつに分かれてヨーロッパ各地へ移動し、別々に任務を遂行することとなる。様々な困難を乗り越え、着実に成果を挙げていくモニュメンツ・メン。ストークスたちは、パリで美術品略奪に加わったシュタールという男から重要な地図を奪取。坑道に隠されていた数多くの美術品を発見する。パリを訪れたグレンジャーは、クレール・シモーヌ(ケイト・ブランシェット)という女性の信頼を得て、ナチが運び出した何千点もの美術品の台帳とそれらの運び先の情報を入手。その一方で、2人のメンバーが命を落としていた。やがてドイツに集結したモニュメンツ・メンは、最大の隠し場所と見られる場所に向けて決死の行動を起こす。果たして、そこには消息不明となったミケランジェロの作品も隠されているのか?だがその行く手には、横槍を入れてきたソ連軍の影がちらつき、ヒトラーの自殺によって全てを破壊しようとするナチの脅威が待ち受けていた…。

▼予告編

2015年11月11日(水)吉祥寺オデヲン(東京都武蔵野市吉祥寺南町2-3-16、JR吉祥寺駅東口徒歩1分)で、13:55~鑑賞。

作品データ :
製作年 2015年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 116分
監督 羽住英一郎
脚本 仁志光佑
 

「劇場版MOZU」

逢坂剛の人気警察小説「百舌シリーズ」を原作に、TBSとWOWOWが共同製作、リレー形式で放送した人気ドラマ『MOZU』の劇場版。ドラマ版に続き、主演の西島秀俊や香川照之、真木よう子ら「豪華キャスト」が出演し、最大の敵となる悪役“ダルマ”にビートたけしが扮する。

ストーリー :
妻子の死の謎を追う公安警察官・倉木(西島秀俊)は、大杉(香川照之)、明星(真木よう子)とともに一連の“MOZU事件”で警察内部に巣食う闇を白日のもとに晒すが、それは恐るべき謀略の氷山の一角にすぎなかった…。半年後、高層ビル占拠爆破、そしてベトナム大使館襲撃という二つの大規模テロが同時発生。これらの事件は、犯罪プランナー・高柳(伊勢谷友介)と、暗殺専門の殺し屋・権藤(松坂桃李)を中心とするテログループによる犯行であった。彼らは日本犯罪史の重大事件を影で操ってきた存在“ダルマ”(ビートたけし)の名のもとに、ある犯罪計画を極秘裏に進めていたのだ。犯罪エージェント東(長谷川博己)や津城警視正(小日向文世)、鳴宮巡査(伊藤淳史)たちがその名を語り、倉木の妻子に起きた悲劇の裏にもダルマの存在が…。

▼予告編



■私感 :
私は原作、TVシリーズともに全くの未見。
それにしても、本作のストーリーの展開は雑そのもの。
内容に軸がなく、話のつながりが飛んでいて、いったい何を追っているのか判然としない…。

ところが、またしても(参照:本ブログ『S‐最後の警官‐奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』、
『アンフェア the end』)、
東宝WEB SITEの『劇場版 MOZU』OFFICIAL SITE(公式サイト)http://mozu-movie.jp/のABOUT THE MOVIE(作品紹介)・INTRODUCTIONにおいて、
こけおどしの宣伝(羊頭狗肉の広告)がまかり通る!

≪日本映画の常識を打ち破り、史上空前のスケールで『劇場版 MOZU』が登場 !!
2014年、映像業界を震撼させ、視聴者を驚愕させるドラマが誕生した。TBS×WOWOWの共同制作による 『MOZU』。原作は、ハードボイルド作家・逢坂剛の代表作で、深遠かつ複雑な人間関係と物語構成で「映像化不可能」と云われ続けてきた、累計240万部突破の警察小説「百舌シリーズ」。同作を『海猿』『暗殺教室』シリーズを手がけた大ヒットメーカー・羽住英一郎監督が実写化。映像表現の限界に挑戦した革新的ドラマは、多くの熱狂的なファンを獲得した。そして2015年秋、MOZUがついに映画で完結! 日本映画の常識を超えた史上空前のスケールで描く、エンターテイメント超大作『劇場版 MOZU』が、11月7日、いよいよ公開を迎える!≫

私たちは思い知らなければならない。
本作のような、継ぎ接ぎだらけのハチャメチャな「アクションエンターテイメント」にご満悦の者は、自らの鑑賞眼に疑いの目を向けるべきだろう。
末梢神経の興奮感覚で生きる、よほどの変態的な情欲の持ち主なら、話は別だが…。

映画.comの『劇場版MOZU』インタビュー「西島秀俊VS羽住英一郎監督“映画バカ”はどっち!?」http://eiga.com/movie/81409/interview/によれば、
≪この劇場版が独特なのは、テレビドラマの劇場版にありがちな「テレビ版の説明」が一切ないこと。ある意味、ムダを全てそぎ落とした構成になっている。
「ドラマのファンはもちろんですが、まだこのシリーズを知らない人でも大丈夫。それはなぜかというと、いきなり事件が起きるから。途中からグッとテレビ版での倉木の問題にシフトしていく物語にはなっているんですけど、そこも謎のひとつとして見てもらえると思います。唯一、テレビ版を見ていないとわからないキャラクターもいますが、その説明を入れるのはMOZUっぽくないと思ったんですね。劇場版で初めて見た人は、ドラマ版も見たくなる、と思いますよ」(羽住監督)
「テレビシリーズでも、“1話で謎が起きて、それが完結”という従来の連続ドラマをやっていないですよね。謎がちりばめられたMOZUという世界観を楽しむっていう作品。実際の世の中もそうですが、解ける謎もあれば解けない謎もある。劇場版では一見謎が解決されたように見えますが、それだけじゃない。一直線にストーリーが進行するという単純な作品ではなく、混沌とした人間物語というのがMOZUの世界なので。ドラマ版に対する導入として劇場版をご覧いただいて、人間関係や謎を見直す、というのもアリだと思います」(西島)≫

バカも休み休み言え!
羽住なる監督も西島なる俳優も、劇場版とドラマ版の安易かつ安直な“互換性”をのたまうではないか!
「映画」単体としての価値表現(「神は細部に宿りたまう」)を怠る彼らには、それこそ、次のような、むき出しの「ユーザーレビュー」(Yahoo!映画『劇場版MOZU』)がぶつけられてしかるべきだろう。
≪「脚本に期待する方がだめだ」「映像と演技を楽しむものだ」といったレビューが見受けられますが、こっちは1800円払ってこの映画を観に来ているわけですからあの脚本には納得いきません。≫(投稿「脚本悪いのは仕方ないと言われても...笑」2015年11月16日7時37分)
≪1800円も払うのはお金の無駄。…興味があっても出来れば地上波放送まで待つべきです。どうしても劇場で観たい人は1000円になる日に観ましょう。定価払う価値は無いです。≫
(投稿「1000円になる日に観ましょう」2015年11月16日2時40分)

本作の上映約2時間、私は何となく気だるさを覚え、出演者のほとんどに魅力的な演技を見いだすことができなかった。
特に問題なのが「ダルマ」役を演じたビートたけしのこと。
それは、最後の最後に出てくる端役にすぎなかった!

前掲映画.comインタビューによれば、
≪香川演じる大杉や長谷川博己演じる東、松坂桃李演じる権藤ら、どのキャラクターも謎が多く魅力的なのが、このシリーズの特徴だが、劇場版ではシリーズ最大の謎だったダルマが登場する。演じたのはビートたけしだが、「西島さんと話していて、たけしさんしかいないという結論に」と羽住監督がキャスティングの裏話を語った。
「ドラマ版の撮影で地方滞在しているときから、劇場版をやりたいという話をしていたんです。そして、劇場版ができるなら、きちんとダルマの謎を解明したい、と。それを西島さんと話していて、ダルマを実体として出すならたけしさんしかいないよね、という結論になったんです。たけしさんがダメだったら、ダルマをあまり出さないでいこうかと思ったくらい。それくらいダルマという役は、唯一無二の存在感が必要だったんです。だから、オファーを受けていただけて本当によかったです」(羽住)
「日本史上最大の闇、という役ですからね。ダルマのせいでたくさんの人が死んでしまっているわけですから。だから、この人は別格だ、という人じゃないと演じられないと思います。出演いただくことが決まったときは、僕も夢がかなったという思いでした」(西島)≫

羽住・西島ご両人は言われる。
“ダルマ”という日本史上最大の“闇”、つまり日本史上最悪最凶のオドロオドロシイ悪役を演じるにふさわしい俳優こそ「唯一無二の存在感」を示すビートたけしをおいてほかにはいない、と。
果たして、そうだろうか!?

ビートたけしの演技は、今回ちょい役ながら、どうにもこうにも鼻に付いた。
かつて時折そう感じたレベルを超えるほどに得体の知れぬ不快感だった。
今の私に言わせると、ビートたけしこと北野武(きたの・たけし)はもはや、単なるそこらの、毒にも薬にもならない、賞味期限の切れた俗人にすぎない。

『劇場版 MOZU』の公開初日(11月7日)、東京・有楽町のTOHOシネマズ日劇で、
MOZU男たち(羽住英一郎+西島秀俊+伊勢谷友介+香川照之+松坂桃李+池松壮亮+ビートたけし)が勢揃いし、舞台挨拶に登壇した。
ビートたけし(北野武)はここで、ためらいもなく、こう述べている。
≪…ダルマという役を演じたんですが、何が何だかさっぱりわからず、バケモノのような顔にされて、火の海にさらされただけという…非常に役者冥利に尽きるなと思いました。映画というのは、とにかくお客さんに楽しんでもらえることが何よりですから、家に帰って友達とかネットとかあらゆるものに「ガンが治った」とか「急にこの映画を見たら月給が増えた」とか、嘘でもいいですから書き込んでお客を呼んでください。≫(前掲東宝WEB SITE『劇場版 MOZU』公式サイト・REPORT)

北野武は“客集め”にご執心の、しょぼくれた爺(じい)さんor ひねこびた父(とっ)ちゃん坊やもいいところ!
この客集めの点では、同じ舞台挨拶において、前出の羽住も西島も北野に負けてはいない。

羽住:≪…この映画、2回~3回と噛めば噛むほど新しい発見もあるでしょうし、またテレビシリーズに戻って、劇場に来てもらったりといろんな楽しみ方があると思います。ぜひ公開中に何度もいろんな人を連れて劇場に観に来てもらえればと思います。≫
西島:≪僕達が本当に死に物狂いで撮影してきたアクションはもちろんですが、この作品は家族や大切な人たちを守るために戦う男たちの物語です。それを皆さんに伝えたくて、届けたくて、辛く過酷な撮影をしてきました。僕は実は、この映画は『1話』だと思っています。テレビシリーズが始まる『1話』だと思っていますので、テレビシリーズを見ていない方にもぜひ観てもらいたいと思っています。今日観た方も2度~3度と劇場に足をお運びください。…≫

本作は監督をはじめとするスタッフ・キャストの“自己満足”映画にほかならない!
この際、羽住英一郎(監督、1967~)、西島秀俊(「倉木尚武」役、1971~)、ビートたけし(「ダルマ」役、1947~)、等々のMOZU男たちは、前掲Yahoo!映画『劇場版MOZU』の、次のような「ユーザーレビュー」を襟を正して謙虚に受け止めなければならない。

≪TBS、WOWOWと見続けて、この映画ですっきり終わるのかな?と思っていたのですが…なんだこれ?/ストーリーもなにもあったもんじゃない!!!/分からないわたしがバカなんでしょうか???/話としてつながりがないし…もう滅茶苦茶としか思えませんでした…/?が100個くらいつく意味不明映画でした…]≫(2015年11月24日23時16分)

≪この作品からは作り手の誇りがまったく感じられない。/問題は現場で映画を撮っているスタッフ・キャストよりも、企画の根っこのところにいる連中のせいだと思う。/その連中の頭の中には、良い作品を作ることより、どうやって客を騙して映画館に足を運ばせるかということしかないからだ。/だから、パッケージだけは豪華で見映えがするけれど、中身はスカスカ。/ただ、それに騙されていた私も愚かだ。/もう東宝の映画は見ません。≫(2015年11月23日13時56分)

≪役の奇行しか評価点がない。狂人奇人変人だけが売りで、他に長所は何ひとつなかった。高評価レビューは奇行を繰り返す狂人を見たい層なのだろう。ビートたけしに釣られて見たがあまりの低レベル映画に途中で席を立ちたくなった。海外から日本のバーに突然飛んで冒頭の再現のようになった場面で呆れ果て、いつもはエンドロールの最後まで見る主義だが始めて見ずに映画館を出た。1800円の無駄。金返せと言いたくなる作品だった。ビートたけしも大御所なのだから出演作は選べばいいのに、歳を取って感性が鈍って作品を選ぶ眼も衰えたのかと失望させられてしまった。≫(2015年11月21日4時02分)

≪制作費いくら高くても所詮時間を無駄にする催眠邦画、進展遅い、大袈裟、拷問だぜ。絶賛するサクラ達のレビューは文面は完璧だけど内容はウソばかり、人を騙して利益を得るなんて最低の職業だね、恥を知れ≫(2015年11月6日8時28分)

≪もうこんな糞映画創るのやめたら、いい加減にしろ。何一つ新しい発見が無い、一つだけあるとしたら、力量不足からくる演技過剰症候群、哀れさえ感じる。もうええわ≫(2015年11月14日23時24分)

≪他に売れてるドラマがないからTBSが全力で宣伝してるだけ。宣伝だけ大げさで実際の映画は内容も薄いし面白くない。CMはいいところを繋ぎ合わせてるのでCMだけテレビで見ればじゅうぶん。CM以上の見所はありません。これっぽっちも面白くない映画なのにいかにも超大作ぶって宣伝してるのが意味わからない。≫(2015年11月14日21時22分)

本作の出演者で私の注目を引いた俳優が一人いる。
残虐非道な暗殺者(殺人鬼)「権藤剛(ごんどう・ごう)」役を演じた松坂桃李(まつざか・とおり、1988~)である。

私はこれまでに、彼の出演作を7作観た。
『麒麟の翼~劇場版・新参者~』(土井裕泰監督、公開:2012年1月)→『ツナグ』(平川雄一朗監督、2012年10月)→『風俗行ったら人生変わったwww』(飯塚健監督、2013年11月)→『チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像』(星野和成監督、2014年3月)→『マエストロ!』(小林聖太郎監督、2015年1月31日)→『日本のいちばん長い日』(原田眞人監督、2015年8月8日)→『図書館戦争~THE LAST MISSION~』(佐藤信介監督、2015年10月10日)。
(今年だけで、上記7作中の3作~本作を入れると4作~を鑑賞!)

彼は芸域の広い役者だ。一作ごとに演技に磨きをかけ、多様な役柄をこなす技量には、目を瞠(みは)るものがある。
特に『ツナグ』~人の葛藤と愛情が幾重にも紡がれるヒューマンドラマ~では、生者と死者を1度だけ再会させる仲介人「ツナグ」という特殊な仕事を背負って、“心の葛藤”と向き合う高校生「渋谷歩美」役を生き生きと好演!
また『日本のいちばん長い日』~太平洋戦争末期、昭和天皇が「降伏」を決定した1945年8月14日正午→天皇自ら玉音放送で国民に「終戦」を知らせた翌15日正午、その24時間に一体何があったのかを描く歴史大作~では、「終戦」に反対し、日本の未来を思いながらも、“狂気”にかられていく若き将校(陸軍少佐)「畑中健二」役を堂々と熱演!

松坂桃李は将来の大成を嘱望される、今まさに発展・成長途上にある若手俳優である―。
2015年11月9日(月)立川シネマシティ(シネマ・ツー:東京都立川市曙町2ー42ー26、JR立川駅北口から徒歩6分)で、19:05~鑑賞。

作品データ :
原題 JOHN WICK
製作年 2014年
製作国 アメリカ
配給 ポニーキャニオン
上映時間 101分


キアヌ・リーブスが伝説の殺し屋を演じるハードボイルドアクション。一度は裏稼業から足を洗った殺し屋が、大切なものを奪われ、復讐のためにたった一人でロシアン・マフィアに戦いを挑むさまが描かれる。キアヌの代表作である『マトリックス』シリーズでスタントコーディネーターを担当していたチャド・スタエルスキが初メガホンをとり、銃とカンフーを融合させた新銃術「ガンフー」を中心とした独自のアクション世界を展開する。

ストーリー :
かつて裏社会にその名を轟かせた凄腕の殺し屋ジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)。5年前に彼は愛する女性ヘレン(ブリジット・モイナハン)と出会い結婚したことで足を洗い、その後は平穏に暮らしていた。ところが、妻は病に倒れて息を引き取ってしまう。深い悲しみに暮れるジョンだったが、ヘレンはそんな彼を心配して一匹の子犬デイジー(ビーグル犬)を遺していた。デイジーと心を通わせていくことで、再び生きる希望を見出していくジョンだったが、ある夜彼が乗る愛車~フォード・マスタング・BOSS429~を目当てに押し入って来た男たちに、車を奪われただけではなくデイジーの命も奪われてしまう。押し入った男の正体がロシアン・マフィアのボスであるヴィゴ(ミカエル・ニクビスト)の息子ヨセフ(アルフィー・アレン)だと知ったジョンは、自らの全てを奪った彼に復讐するべく再び裏社会に足を踏み入れることを決意するのだった。
一方、息子が怒らせた相手があのジョン・ウィックだと知ったヴィゴは、一旦は彼との交渉を試みるが失敗。そこで部下に彼の殺害を命じるが、襲撃に行ったヴィゴの部下たちはジョンによって瞬く間に皆殺しにされてしまう。この報せを聞いて危機感を抱いたヴィゴは、ジョンとも面識のあるスナイパーのマーカス(ウィレム・デフォー)を含めた殺し屋たちに彼の殺害を依頼するのだった。
殺し屋やマフィアによる妨害を受けながらも、ジョンは着実にヨセフを追い詰めていくが、対するヴィゴも非情な手段で彼を迎え撃とうとしていた…。

▼予告編



■私感:
亡き妻が遺した愛犬(忘れ形見!)を惨殺された男の復讐劇!
私も愛犬家[飼い犬の名は「トワ(永遠)」]だけに、この男の悲しみ⇒怒りが痛いほど身にしみる!
2015年11月9日(月)立川シネマシティ(シネマ・ツー:東京都立川市曙町2ー42ー26、JR立川駅北口から徒歩6分)で、16:45~鑑賞。

作品データ :
原題 PAN
製作年 2015年
製作国 アメリカ
配給 ワーナー・ブラザース映画
上映時間 112分


ディズニーのアニメ作品【『ピーター・パン』(1953年)→『ピーター・パン2 ネバーランドの秘密』(2002年)】としても知られる人気キャラクター、ピーター・パンの秘められた過去を描くファンタジーエンターテイメント。
新鋭リーバイ・ミラーが少年ピーターを演じ、ネバーランドでの冒険が描かれる。ヒュー・ジャックマンがピーターの宿敵・黒ひげに扮し、存在感を見せつける。
若き日のフック船長役に『トロン:レガシー』のギャレット・ヘドランド、タイガー・リリー王女(先住民の酋長の娘)役に『ドラゴン・タトゥーの女』のルーニー・マーラ。監督は『プライドと偏見』『つぐない』などで高い評価を受けてきたジョー・ライト。

ストーリー :
ロンドンの孤児院で暮らす少年ピーター(リーバイ・ミラー)は、ある日、地下室で古い手紙を見つける。「ピーター、愛しているわ。別の世界で必ず会えると約束する」と書かれたその手紙は、運命によって赤ん坊のピーターから引き離された若き母(アマンダ・サイフレッド)が残したものだった。母に会いたい想いを募らせたピーターは、ある夜、現れた空飛ぶ海賊船にさらわれ、ネバーランドへと旅立つ。そこは夢のようにカラフルな世界だったが、冷酷な海賊・黒ひげ(ヒュー・ジャックマン)が支配する世界だった。ピーターは自身も知らない出生の秘密のため、黒ひげから命を狙われる身となる。絶体絶命のピーターは、自由を求める陽気な若者フック(ギャレット・ヘドランド)や、この地の民たちのプリンセスで、黒ひげの脅威と戦うタイガー・リリー(ルーニー・マーラ)と出会う。タイガー・リリーは、ピーターが探す母の手がかりを知っていた。彼らは黒ひげ率いる海賊たちの追撃をかわし、共に困難を乗り越えていく。ピーターは母に会うことができるのか? そしてネバーランドの運命を握る、ピーターの出生の秘密とは?

▼予告編



▼特別映像(映画の世界観を最大限に表現した映像美、とりわけ《3D版》映像美に注目!)



■私感:
掛け値なしの楽しい・美しいファンタジーである!

本作をピーター・パンの原作【註1】なり、ピーター・パンに関する他の映画【註2】なりと比較して評価する向きがいるが(ex.Yahoo!映画「ユーザーレビュー」)、一作品の真価は第一義的にはあくまでも、それに内在して理解されなければならない。

【註1】一口にピーター・パンの「原作」【イギリス・スコットランドの作家ジェームズ・マシュー・バリー(James Matthew Barrie、1860~1937)の小説及び戯曲】と言っても、2バージョンの流れがある。
(1)J.M.バリーの小説『小さな白い鳥』(The Little White Bird、1902年)→小説『ケンジントン公園のピーター・パン』(Peter Pan in Kensington Gardens、1906年)→本多顕彰訳『ピーター・パン』(新潮文庫、1955年)⇒「ピーター・パン」の原型的なものが現前した作品(前日譚)で、あの「ネバーランド(どこにもない国)」もウェンディもフック船長も登場しない。
(2)J.M.バリーの戯曲『大人になりたくないピーターパン』(初演1904年)→小説『ピーター・パンとウェンディ』(Peter and Wendy、1911年)→石井桃子訳『ピーター・パンとウェンディ』(福音館文庫、2003年)⇒ネバーランドでの冒険物語で、ウェンディやティンカー・ベルやフック船長など、おなじみのキャラクターたちが登場する。


【註2】例えば、『ピーター・パン』(原題:Peter Pan、監督:P・J・ホーガン、米・英・豪合作映画、2003年)。私はこの映画を、2004年の日本公開時に鑑賞した。

♦ヒュー・ジャックマン(Hugh Jackman、1968~ )は悪役の海賊・黒ひげを堂々と演じ、今作でも確かな存在感を印象づけている。

私はこれまでに、次のような彼の出演作を観た。
『X-メン』(2000年)→『ニューヨークの恋人』(2001年)→『X-MEN2』(2003年)→ 『ヴァン・ヘルシング』(2004年)→『プレステージ』(2006年)→『タロットカード殺人事件』(2006年)→『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』(2006年)→『オーストラリア』(2008年)→『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009年)→『リアル・スティール』(2011年)→『レ・ミゼラブル』(2012年)→『ウルヴァリン:SAMURAI 』(2013年)→『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年)。

私は多彩な役柄をこなしてきた彼の演技を観つづけながら、ここ数年、念じてきたものだ。
彼にぜひとも、“007 ジェームズ・ボンド”を演じてもらいたい、と。

50年以上もの間、世界中のファンから愛され続けた『007』シリーズ:
初代ボンド=ショーン・コネリー→2代目ボンド=ジョージ・レーゼンビー→3代目ボンド=ロジャー・ムーア→4代目ボンド=ティモシー・ダルトン→5代目ボンド=ピアース・ブロスナン→6代目ボンド=ダニエル・クレイグ。

私は思う。
ベテランながら現在も役者の幅を広げ続けて大きく成長中のヒュー・ジャックマンなら、7代目(or 8代目)ジェームズ・ボンド役を見事に演じきるにちがいない…。
彼がボンド役に抜擢される可能性はあるのだろうか?
問題は彼が「オーストラリア出身」の俳優であること。歴代ボンドは「2代目」を除き、すべてヨーロッパ圏(イギリスorアイルランド)出身の俳優が務めている…(cf.本ブログ〈September 18, 2015〉記事)。

♦タイガー・リリー【ネバーランドに住む民のプリンセスにして、黒ひげの勢力に抗う美しき女戦士】を演じた女優は、誰あろう、ルーニー・マーラ(Rooney Mara、1985~)だった!

私は今までにルーニーの出演作を3作観た。
・『ソーシャル・ネットワーク』(原題:The Social Network、デヴィッド・フィンチャー監督、2010年)
・『ドラゴン・タトゥーの女』(原題:The Girl with the Dragon Tattoo、デヴィッド・フィンチャー監督、2011年)
・『her/世界でひとつの彼女』(原題:Her、スパイク・ジョーンズ監督、2013年)

ルーニーは『ソーシャル・ネットワーク』で、主人公の恋人役(エリカ・オルブライト)を、それこそ清楚に演じた。
ところが、『ドラゴン・タトゥーの女』では、清楚さなんて欠片(かけら)もない全身ピアスとタトゥーで過激すぎる天才ハッカーのヒロイン(リスベット・サランデル)を、まさに体当たりで熱演した。

彼女は綺麗なロングの髪をバッサリと切り、鼻と唇以外のピアスは何と自前で、役作りのために、耳に4つも穴をあけたとか。また、引き締まったボディーを手に入れるために、キックボクシング・ランニング・バレエ・ヨガなど徹底した肉体づくりを行ない、体重は原作【スティーグ・ラーソン(Stieg Larsson)の推理小説『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』】の40キロ近くにまで落とした由。
そして、このインパクトのある外見とは裏腹に、繊細で知的なリスベット役がストーリーにぐっと深みを与えた結果、第84回アカデミー賞主演女優賞やゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネートされた。

さらに今度は、彼女はタイガー・リリーの役柄に合わせてうまく演技を切り替え、おとぎ話から抜け出してきたような雰囲気を醸し出すことができた。

ルーニーは個性的な役柄を数(かず)こなす実力派女優である!

それにしても、私が2012年2月10日に吉祥寺オデヲンで『ドラゴン・タトゥーの女』を鑑賞した際、ルーニー⇒リスベット・サランデルがパンクな装いをしながらも、どこかキュートで愛らしく、私をぐっと惹きつけたものだった!
 
    ↓ 『ドラゴン・タトゥーの女』ルーニー・マーラ(「リスベット」役)
ルーニー・マーラ
2015年11月9日(月)立川シネマシティ(シネマ・ワン:東京都立川市曙町2ー8ー5、アクセス:JR立川駅北口から徒歩5分)で、13:45~鑑賞。

作品データ :
原題 MAZE RUNNER:THE SCORCH TRIALS
製作年 2015年
製作国 アメリカ
配給 20世紀フォックス映画
上映時間 132分


ジェームズ・ダシュナーのティーン向け小説を基に、謎の巨大迷路に閉じ込められた若者たちの戦いを描いたサスペンスアクション『メイズ・ランナー』(本ブログ〈June 01, 2015〉記事)のシリーズ第2作。
迷路から外の世界へ脱出したトーマスたちだったが、待ち受けていたのは地球スケールの第2ステージ。彼らはあちこちに仕掛けられたトラップを切り抜けながら、新たな謎解きに挑む。
主人公トーマス役のディラン・オブライアンをはじめ、第1作のメンバーが引き続き出演。監督も前作のウェス・ボールが続投。

ストーリー :
巨大迷路の出口を見つけ、なんとか脱出したトーマス(ディラン・オブライアン)やテレサ(カヤ・スコデラリオ)、ニュート(トーマス・ブロディ=サングスター)たちであったが、姿を現した謎の組織WCKDによって自分たちが“選ばれし者”であり、さらに過酷な運命が待ち構えていることを知る。
その“第2ステージ”は、すべての命を死に導く灼熱の砂漠。あちこちに仕掛けられた攻略不能のトラップ、新たな仲間との友情と裏切り、そしてさらに深まる謎がトーマスたちを追い詰めていく。焦土と化した終末世界でサバイバルを繰り広げる中、やがてトーマスは禁断の事実を知ることとなる…。

▼予告編

2015年10月30日(金)吉祥寺プラザ(東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-19、JR吉祥寺駅北口サンロード突き当たり左)で、16:20~鑑賞。

作品データ :
製作年 2015年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 110分


三谷幸喜監督が香取慎吾、綾瀬はるかといった「売れっ子」キャストを迎えて描く、自身初となる宇宙が舞台のコメディ。木星と土星の間に浮かぶスペースコロニー、うず潮と地球を結ぶスペース幹線道路にあるハンバーガーショップにやってくる、それぞれに悩みを抱えた宇宙人たちが繰り広げるユニークな物語がつづられる。

ストーリー :
2265年。木星と土星の間に建設された人工居住区であるスペースコロニー「うず潮」と地球とを結ぶ幹線道路ルート246666、通称『ギャラクシー街道』は、開通してから150年が経ち、かつてのにぎわいをよそに今や老朽化が目立つようになっている。このギャラクシー街道沿いに、ノア(香取慎吾)が営む小さなハンバーガーショップ「サンドサンドバーガー・コスモ店」があった。ノアがまだ思いを寄せる元恋人のレイ(優香)やノアの妻ノエ(綾瀬はるか)に近付こうとするリフォーム業者のメンデス(遠藤憲一)、怒られるとすぐにパニックに陥るパートタイマーのハナさん(大竹しのぶ)をはじめ、人間味溢れる宇宙人たちが様々な星からこの店にやってくる。

▼ メイキング・オブ・『ギャラクシー街道』 :

2015年10月29日(木)目黒シネマ(東京都品川区上大崎2-24-15 目黒西口ビルB1、JR山手線目黒駅西口から徒歩3分)で、17:20~鑑賞。『百日紅~Miss HOKUSAI~』15:30~と2本立て上映。

作品データ :
製作年 2015年
製作国 日本
配給 松竹
上映時間 143分


井上ひさし(1934~2010)の時代小説『東慶寺花だより』を原案にした、江戸時代の離婚事情をつづる、大泉洋主演のコミカルな時代劇。幕府公認の駆込み寺・東慶寺にある御用宿で離婚を懇願する女たちから聞き取り調査を行う男たちと、さまざまな事情を抱えた女たちとのユニークなやりとりが描かれる。戸田恵梨香や満島ひかりが“駆込み女”を演じる。

ストーリー :
時は天保12(1841)年。老中水野忠邦の、世に言う天保の改革の真っただ中。質素倹約令の発令により庶民の暮らしに暗い影が差し始めた頃のこと。幕府公認の縁切寺として知られる鎌倉の東慶寺には、離縁を求めて女たちが駆け込んでくる。ここは尼寺。生き地獄から抜け出す女たちの最後の砦、言わば避難所である。
駆込みには作法がある。東慶寺門前で意思表示をした後に、まずは御用宿で聞き取り調査が行なわれるのだ。見習い医者でありながら、駆出し戯作者の信次郎(大泉洋)は、そんな救いを求める女たちの身柄を預かる御用宿・柏屋に居候することに。柏屋には、主人の源兵衛(樹木希林)、番頭の利平(木場勝己)とその女房のお勝(キムラ緑子)らが毎日忙しく働いている。いつか曲亭馬琴(山﨑努)のような戯作を書きたいと思っている信次郎にとって、ここは資料の宝庫、人間を知る絶好の場所だった。
ある日、顔に火ぶくれを持つじょご(戸田恵梨香)と、お吟(満島ひかり)が東慶寺に現われる。寺を目指す道中で二人は出会い、足に怪我をしたお吟をじょごが大八車に乗せて一緒に駆込んできたのだった。早速、柏屋で聞き取り調査を行なうことに。お吟は洒落本から抜け出したような徒女。日本橋唐物問屋、堀切屋三郎衛門(堤真一)の囲われ者である。駆込んだ訳を聞いてみれば、堀切屋がどうやって身上を築いたのか、もしかしたら数多くの人を殺めたのではないかと思い一緒にいるのが怖くなったのだという。一方のじょごは七里ガ浜・浜鉄屋の腕のよい鉄練り職人。顔の火ぶくれは、たたら場で働いていた証しである。しかし、夫の重蔵(武田真治)は仕事もせずに放蕩三昧。あろうことか暴力までふるう。愛人宅に入り浸る夫を迎えに行ったところで人三化七(にんさんばけしち)と罵られたじょごは、屈辱の涙を流しながら東慶寺に向かったのだった。
東慶寺に入山するまでの流れを説明する源兵衛。横に控えるのは利平とお勝。これから駆込み人の親元もしくは名主、夫方にそれぞれ飛脚をたてて呼出しをする。そこで、離縁が成立すればそれでよし。成立しなければ東慶寺様に行くことになる。入山には格付け料が必要で、最高位は上臈衆(じょうろうしゅう)格、第二位に御茶間(おちゃのま)格、一番下は御半下(おはした)格。どの格かは金次第。お吟は優雅に日々を暮らす上臈衆格に、懐の寂しいじょごは雑用を担当する御半下格に入るという。2年間の修行が済めば夫方は必ず離婚状を書かなければならない。そこで晴れて離婚成立となるのだった。
じょごの聞き取りに加わった信次郎は、彼女の右半分の顔のやけどの傷を治療したくてうずうずしていた。しかし、じょごは簡単に心を開きそうにない。信次郎は優しく説いた。まずは顔の傷を治すこと。それが顔のことを言い募る亭主への逆襲につながります、と。思いあたる節のあるじょごは、信次郎を信じてみることにした。 
柏屋から呼出状を受け取った堀切屋三郎衛門は、自分にぞっこんだった筈の妾が縁切寺に行ったことに怒り心頭。自分の裏稼業を知ったお吟が、身の安全と金目当てに駆込んだに違いない。しかし、東慶寺は松ヶ岡御所とも言われる徳川家康公お声がかりの寺。駆込まれた以上、どうすることもできない。堀切屋は呼出しに応じず、お吟は寺役人の石井与八(山崎一)の引率で入山する。美しく文武に秀でた、しかし規律にはめっぽう厳しい院代の法秀尼(陽月華)は、優しくお吟を迎え入れる。
そして、また一人、柏屋に駆込んで来た女がいた。名前は戸賀崎ゆう(内山理名)。剣術家の父が開いた道場をごろつき侍に乗っ取られ、夫は斬殺、父はほどなくして死亡。自分も凌辱されたうえ無理やり祝言を挙げさせられたという。東慶寺のお務めが明けた暁には、どうしても仇討をしたいと涙ながらに訴えるゆうに源兵衛は、東慶寺は武士の妻女の入山は認めず、仇討の助太刀はしないと告げるが、ゆうは引かない。
いよいよ、じょごとゆうの東慶寺への入山が翌日となった。傷が癒えるまでの間柏屋に身を寄せ、信次郎を手伝って薬草採集をしていたじょごは、見違えるほど美しくなっていた。源兵衛と共に傷ついた女たちを離縁へと導いてきた信次郎だったが、自身は好きな女性に告白さえできない純情一本やりの草食男子。気持ちを伝えることもできず、入山するじょごを黙って見送るのが精いっぱいだった。信次郎は、それからも女を追って柏屋に殴りこんできたヤクザの近江屋三八親分(橋本じゅん)にすごまれるわ、東慶寺で修行をするおゆき(神野三鈴)の妊娠騒動に巻き込まれるわ、様々な出来事に翻弄される。
一方、水野忠邦の改革はいよいよ激しさを増し、水野の腹心、南町奉行の鳥居耀蔵(北村有起哉)は、密偵の玉虫(宮本裕子)を放ち東慶寺のお取り潰しを画策していた…。

▼予告編

2015年10月29日(木)目黒シネマ(東京都品川区上大崎2-24-15 目黒西口ビルB1、JR山手線目黒駅西口から徒歩3分)で、15:30~鑑賞。『駆込み女と駆出し男』17:20~と2本立て上映。

作品データ :
製作年 2015年
製作国 日本
配給 東京テアトル
上映時間 90分


江戸時代に当時の風俗をとらえ、庶民から愛された“浮世絵”。浮世絵に生涯を捧げ、3万点を超える作品を発表した浮世絵師・葛飾北斎とその娘・お栄と、江戸に生きる人々との交流を描いた、杉浦日向子の同名漫画を『カラフル』の原恵一監督がアニメーション映画化した人間ドラマ。主人公・お栄役で杏が長編アニメ作品の声優に初挑戦。

ストーリー :
活気溢れる江戸の街。両国橋の夏の昼日向をまっすぐ歩いてくる意志の強そうな女、お栄(声:杏)は23歳の浮世絵師。移りゆく四季と共に、父であり師匠の葛飾北斎(声:松重豊)や仲間たちと浮世絵を描いて暮らす日々。そして、今日もまた浮世の街を歩いてゆく…。

▼予告編

2015年10月23日(金)新宿ピカデリー(東京都新宿区新宿3-15-15、JR新宿駅東口より徒歩5分)で、19:10~鑑賞。

作品データ :
原題 THE AGE OF ADALINE
製作年 2015年
製作国 アメリカ
配給 松竹
上映時間 113分


老化が止まり、100年以上も生き続けた女性が自らの運命に翻弄されながらも真実の愛に巡りあうまでを描くラブストーリー。ドラマ『ゴシップガール』で一躍注目を浴びる存在となったブレイク・ライヴリーがミステリアスなヒロインに扮する。彼女が身に着ける1900年代から現代まで様々な時代のハイブランドドレスも見どころ。

ストーリー :
アデライン・ボウマン(ブレイク・ライヴリー)はジェニー・ラーソンという偽名でサンフランシスコの中央資料館で働いていた。実は彼女は1908年1月1日生まれ。21歳のときにゴールデンゲート・ブリッジの建設技師と結婚し娘フレミングが生まれるが、夫は建築現場で事故死。29歳のときに車が真冬の川に転落、低体温症により心臓が止まったその瞬間に車に雷が落ちて蘇生。この雷の電磁圧縮作用で老化が止まり、それ以来アデラインは29歳の外見のままであった。そのため警官に怪しまれたりFBIに拉致されかけたりすることもあり、娘のためにも離れて暮らすことに。そして、10年ごとに名前を変え各地を転々としていた。アデラインは年越しパーティーで出会ったエリス・ジョーンズ(ミキール・ハースマン)に言い寄られその日はすげなくタクシーで彼から離れたものの、後日彼女が勤める資料館に現われ貴重な本の寄付を申し出る彼に押され、デートをすることになる。積極的に社会貢献の支援をするエリスの人間性に感銘を受けるアデライン。デートを重ね次第に二人の距離は縮まっていく。フレミング(エレン・バースティン)も、秘密を抱え孤独に生きる母の幸せを願っていた。ある日、エリスに誘われ彼の両親の結婚40周年パーティーに向かったところ、彼の父親ウィリアム(ハリソン・フォード)の顔色が変わる。ウィリアムはアデラインが本名を打ち明けるほど惹かれたかつての恋人だった…。

▼予告編