作品データ :
原題 A ROYAL NIGHT OUT
製作年 2015年
製作国 イギリス
配給 ギャガ
上映時間 97分
1945年4月30日、アドルフ・ヒトラーが自殺。5月7日未明、ドイツ軍は無条件降伏文書に調印し、ここに6年に及んだ第二次世界大戦における欧州戦線は終戦を迎えた。翌5月8日、「ヨーロッパ戦勝記念日(VE Day)」、各地で大規模な祝典が開催された。特にロンドンでは盛大で、100万人以上の群集がカーニバルのような雰囲気の中で欧州戦線の終わりを祝った。トラファルガー広場(Trafalgar Square)からザ・マル(The Mall)を経てバッキンガム宮殿(Buckingham Palace)に至る地域は群集で埋まり、ジョージ6世とエリザベス王妃、ウィンストン・チャーチル首相が宮殿バルコニーから人々に手を振った。この時、エリザベス王女とマーガレット王女はロンドンの群衆の中へ入って人々と共に祝うことを許された。
本作は英国王女エリザベスの生涯一度のお忍びの夜を描く、史実に基づいたロマンティック・コメディ。今年生誕90周年を迎え、イギリス史上最高齢・最長在位の君主であるエリザベス2世(1926.4.21~)は王女時代、妹のマーガレット王女と共に、ロンドンの街中でお忍びの一夜を過ごした。1945年5月8日、国民と共に戦勝を祝うために、当時19歳のエリザベスは父である国王ジョージ6世の許しを得て外出し、バッキンガム宮殿の外で“英国王のスピーチ”に耳を傾け、リッツ・ロンドンでワルツを踊ったという。そんな実話をベースに、プリンセスが最初で最後の自由を謳歌した、ときめきと感動の一夜~数々の思いがけない出会い~が、1950年代に一世を風靡したグレン・ミラーサウンド~「イン・ザ・ムード(In the Mood)」「タキシード・ジャンクション(Tuxedo Junction)」「アメリカン・パトロール(American Patrol)」などの名曲~に乗せて映画化された。
エリザベス王女には、「世界で最も美しい顔ベスト100」に4年連続でランクインしたサラ・ガドン(Sarah Gadon、1987~)。マーガレット王女に『ミニー・ゲッツの秘密』のベル・パウリー(Bel Powley、1992~)、ジョージ6世に英国美青年ブームの先駆けとなったルパート・エヴェレット(Rupert Everett、1959~)、エリザベス王妃にアカデミー賞2度ノミネートを誇るエミリー・ワトソン(Emily Anita Watson、1967~)。監督は『キンキーブーツ』(2005年)、『ジェイン・オースティン 秘められた恋』(2007年)のジュリアン・ジャロルド(Julian Jarrold、1960~)。
ストーリー :
1945年5月8日、英国ロンドン。バッキンガム宮殿から、歓呼に沸く群衆を、陸軍の軍服に身を包んだリリベット(愛称)ことエリザベス王女(サラ・ガドン)が静かに見つめていた。そこに妹のマーガレット王女(ベル・パウリー)が現われ、今宵こそ王宮の外へ出たいと胸を躍らせる。リリベットは母エリザベス王妃(エミリー・ワトソン)に願い出るものの、姉妹の予想通り却下される。リリベットはマーガレットの部屋を訪れ、結果を伝える。軍服のリリベットに対し、マーガレットは若い娘らしい花柄のワンピースを着、その部屋にはブロマイドが飾られ、流行の音楽が流れていた。侍従から聞いた、ロンドン一のホット・スポット、「カーゾン・クラブ(Curzon Club)」に憧れるマーガレットはリリベットの手を取って流行りのステップを踏む。6年に及んだ戦時下生活に加え、王族としての義務と慣習の中で「尼僧のように」暮らす姉妹は若さを持て余していた。
連合国の大使や要人との会談の予定を確認する席上、姉妹は再度、母后に外出を願い出る。王族としての立場、“国民”との身分の違いを理由に、やはり許可されない。そこへ国王ジョージ6世(ルパート・エヴェレット)がやってくる。吃音のある国王は、戦勝に際するラジオ放送の準備に余念がない。時折、言葉に詰まりながら練習する。リリベットは父王に外出を願い出る。国民の反応を感じたい、と。国王は期せずして王位継承者となったリリベットの立場を理解し、外出を許可する。
トラファルガー広場に、カーゾン、チェルシー兵舎でのパーティ…と、心が浮かれながらピンク色のカクテルドレスに身を包んだ姉妹の前に、チェルシーの連隊から派遣された二人の陸軍将校が現われる。二人を護衛に「監視下で安全に」外出をするよう母后から言い含められる。門限は当初0時だったが、停戦発効時間が英国時間5月9日0時01分であることから、国民の反応を見てから戻れるよう1時とされる。
市街では、人々が国旗を手に大興奮していた。二人の王女は、その様子を車中から眺める。やがて、車はリッツ・ロンドン(The Ritz London)に到着する。ホテル内でも人々は大はしゃぎしていた。王女たちは、母后の差し金か、特別室で貴族たちの接見を受ける。その頃、護衛の将校たちは娼婦たちと過ごし、王女たちへの監視を怠っていた。まずマーガレットが抜け出し、海軍士官に誘惑されるまま、ロンドンバスに乗ってどこかへ消えてしまう。リリベットはマーガレットを追って、後続のバスに乗り込む。ガラス越しに、マーガレットはトラファルガー広場へ行くと伝えるが、姉妹は離れ離れになる。リリベットの元に、乗務員が運賃を回収しにやってくる。現金を持っていないリリベットは困り果てるが、居合わせた空軍兵士が代わりに支払う。その兵士にバスの降り方を聞く途中、二人は誤ってバスから転落してしまう。リリベットは兵士に案内されるまま、パブに入る。市井の人々でいっぱいのパブで、国王のスピーチ放送を聞く。人々は直前の喧騒が嘘のように静まり返り、深い敬意と感謝を胸にスピーチに聞き入る。リリベットはその様子に感銘を覚えるとともに、父王が吃音を呈せずに放送を行なっていることに安堵する。
ところが、先ほどの空軍兵士だけが、綺麗ごとばかり言いやがって、と露骨に反感を示す。パブの客たちと喧嘩になり、店をつまみ出される。兵士を頼るリリベットは、トラファルガー広場に連れて行って欲しいと頼むが、二人はいつの間にか広場に到着していた。彼の名はジャック・ホッジ(ジャック・レイナー)。リリベットはマーガレットを探すが、全く見当たらない。それどころか、ジャックはその場で知り合った女二人と、バッキンガム宮殿前に行ってしまう。その頃、マーガレットは噴水に入ってはしゃぎ、さらに海軍士官と共に歓楽街ソーホー(SOHO)へ行く。停戦発効の瞬間、リリベットは宮殿前に行き、両親がバルコニーに出て国民の歓呼に応える様子を見る。リリベットはジャックと一緒にいる女に、本心から国王に感謝しているか問う。すると、彼女が誰か知己を亡くし複雑な思いでいることを察するのだった。停戦の時刻、人々はハグし合い、恋人たちはキスを交わした。リリベットも、周囲の人々とハグし喜びを共にする。そして、ジャックの恋人だと主張して女たちを追い払うと、マーガレット探しに協力させる。リリベットは「恋人は遠くに居て、いないのと同じ」とジャックに説明する。
マーガレットは「カーゾン」よりホットな場所として、裏通りの娼館に連れて行かれ、怪しげな薬入りのピンク・ジンを飲まされていた。泥酔したマーガレットは、娼館の元締めの元にたどり着き「P2」こと第二王女(2nd Princess)であると名乗る。元締めは彼女が本物の王女であると見抜くとともに、海軍士官を追い払う。さらに彼女が、チェルシー兵舎の合言葉を知っていることから、娼婦たちを連れて兵舎へ向かうのだった。一足遅く、娼館に潜入したリリベットとジャックは、マーガレットの行先を知って、そこを何とか脱出する。その途上、ジャックが実は軍隊からの「脱走」を決意しており、現時点では「無許可外出」であることを知る。
タグボートでチェルシーに向かいながら、ジャックの事の経緯を尋ねる。ジャックはベルリン空襲に参加していたが、ある日、高射砲の反撃を受けて機体が大破、戦友の死を目の当たりにしたのだった。ジャックは休暇を願い出るが、逆に「意欲低下」の烙印を押され「ジャップと戦うため」極東に転戦させられる予定だった。功績はお偉方のものに、だが兵士や労働者たちこそ懸命に戦い働いているのではないか!ジャックの話や、廃墟の中で生きる人々の姿を見て、彼女なりに懸命に従軍してきたリリベットは我に返る。
チェルシー兵舎では、たくさんの女たちと兵士・将校たちが踊り騒いでいた。姉妹を護衛できなかった将校たちも、「処刑」の前にと酒を飲んでいた。ついに姉妹は再会し憧れのステップを踏む。さらにジャックとリリベットも手を取り合って踊るが、そこに憲兵が現われ、ジャックを捕らえる。ついにリリベットとマーガレットは身分を明かし、護衛の将校、「友人」ジャックと共に兵舎を後にする。ジャックはエリザベスが王女だと知ってショックを受けるも、「脱走」の前に訪れるつもりだった実家へ姉妹を案内する。ジャックの実家では、老いた母が慎ましく暮らしていた。リリベットはその質素な部屋に国王一家の写真が飾られている点に気づき、王室をごく自然に受け入れる感じを好ましく思った。
マーガレットを将校ともども先に宮殿に帰すと、リリベットはジャックと一緒に遠回りして宮殿へ帰る。リリベットとジャックは、父王・母后と共に朝食をとる。リリベットは父王に“国民”たちの様子を伝え、またジャックが戦線で活躍した英雄だと紹介し、今回いろいろ彼に助けられた旨を告げる。ジョージ6世は姉妹が過ごしたのはリッツ・ロンドンだけとしつつも、リリベットが無事に宮殿に帰り着いたことでジャックに感謝する。そして、リリベットがアメリカの要人との会談に同席したいと言うのを聞き、娘が次期女王としての自覚を強くしたことを喜ばしく感じるのだった。
日朝点呼までに部隊へ戻るというジャックを、リリベットは車で送る。ノーソルト空軍基地に着くと、衛兵に「エリザベス・ウィンザー准大尉の特別任務」※としてジャックの無許可外出を不問にさせる。ジャックは野に咲いていたマーガレットを王女に手渡し、別れのキスを交わす。何事もなかったようにジャックは点呼に参加した。そして、宮殿に戻るエリザベス王女もまた、晴れやかな微笑みを見せるのだった。
※エリザベス2世女王のフルネームは、エリザベス・アレクサンドラ・メアリー・ウィンザー(Elizabeth Alexandra Mary Windsor)。
▼予告編


本作の場合、私の個人的な興味と関心をかき立てるのは何よりも、その時代背景にある。
舞台は雄大な自然が広がるワイオミング[準州]の高原地帯(ワイオミングは1868年に準州〈Wyoming Territory〉となり、1890年にアメリカ合衆国44番目の州〈State of Wyoming〉に昇格)。南北戦争(American Civil War、1861~1865)の終結で西部への拡大に再び拍車がかかり始めた頃(⇒西部開拓時代)。
劇中に登場する「リンカーンの手紙」【第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln、1809年2月12日~1865年4月15日)大統領の感状】のこと。
この「リンカーンの手紙」には、どんな文言が記されているのか。
タランティーノの諸作品において問題は、血みどろ満載-憎しみ激突-言いたい放題・やりたい放題のドラマがグロテスクに演出(誇張!)されていること。
