普通人の映画体験―虚心な出会い -42ページ目

普通人の映画体験―虚心な出会い

私という普通の生活人は、ある一本の映画 とたまたま巡り合い、一回性の出会いを生きる。暗がりの中、ひととき何事かをその一本の映画作品と共有する。何事かを胸の内に響かせ、ひとときを終えて、明るい街に出、現実の暮らしに帰っていく…。

2017年4月26日(水)吉祥寺オデヲン(東京都武蔵野市吉祥寺南町2-3-16、JR吉祥寺駅東口徒歩1分)で、17:15~鑑賞。

作品データ :
原題 DEEPWATER HORIZON
製作年 2016年
製作国 アメリカ
配給 KADOKAWA
上映時間 107分


2010年4月、メキシコ湾で作業中だったBP社の石油掘削施設「ディープウォーター・ホライゾン」で起こった大事故を映画化したスペクタクル・ドラマ。施設内に閉じ込められた作業員たちの決死の脱出、救出活動の行方が描かれる。『バトルシップ』『ローン・サバイバー』のピーター・バーグ監督が、人為的ミスの連鎖や親会社と下請け会社の確執といった小さな原因の積み重ねが未曾有の大事故へと繋がっていく様子を緊張感たっぷりに描き出す。主演のマーク・ウォールバーグをはじめ、カート・ラッセル、ジョン・マルコビッチら実力派キャストが集結。

ストーリー :
2010年4月20日。電気技師マイク・ウィリアムズ(マーク・ウォールバーグ)は、愛する妻子に後ろ髪を引かれつつ、メキシコ湾沖80キロの海上に浮かぶ石油採掘施設“ディープウォーター・ホライゾン”に向かう。現場に着くとすぐに設備の点検に取りかかったマイクは、トラブルや故障の多さに懸念を抱く。上司のジミー(カート・ラッセル)が雇い主であるBP社の管理職ヴィドリン(ジョン・マルコヴィッチ)に抗議するが、彼は利益のために経費削減を優先するのは当たり前とまるで意に介さず、ついには工期の遅れを取り戻そうと重要な安全テストを無視してしまう。その夜、マイクたちの不安は現実のものとなる。突如警報音が鳴りだし、採掘口につながったバルブから濁った海水と原油が噴出。さらに海底油田から逆流してきた天然ガスが引火爆発し、作業員126名がいるディープウォーター・ホライゾンは、たちまち炎に包まれてしまう。閉じ込められた作業員たちは、被害拡大を食い止めようとするが…。

▼予告編



▼特別映像“巨大セット”

2017年4月13日(木)シネマート新宿(東京都新宿区新宿3-13-3 新宿文化ビル6・7F)で、21:30~鑑賞。

作品データ :
原題 LOVING
製作年 2016年
製作国 イギリス アメリカ
配給 ギャガ
上映時間 123分


異人種間の結婚が違法とされていた1950年代の米国ヴァージニア州を舞台に、自らの愛を貫き通すべく戦った白人男性と黒人女性のラビング夫妻の実話の映画化。この実話に深い感銘を受けたオスカー俳優コリン・ファースが映画化を熱望、プロデューサーに名乗り出て、映画化が実現した。主演は『エクソダス:神と王』『ブラック・スキャンダル』のジョエル・エドガートンと『プルートで朝食を』『JIMI:栄光への軌跡』のルース・ネッガ。『テイク・シェルター』『MUD マッド』のジェフ・ニコルズがメガホンを取る。

ストーリー :
ミルドレッド(ルース・ネッガ)が「妊娠したの」と呟くと、恋人のリチャード(ジョエル・エドガートン)は顔をほころばせて「すげえ」という言葉を繰り返した。彼女は彼の無骨だが心の底から嬉しそうな笑顔に安堵する。数日後、レンガ職人の彼は、地元の馴染み深い土地を購入し、ここに家を建てるよと言って、彼女にプロポーズする。
しかし、ここはヴァージニア州キャロライン郡、時は1958年。白人のリチャードと黒人のミルドレッドのような異人種間の結婚は、法律で禁じられていた。二人は(黒人と白人の結婚が許されている)ワシントンD.C.まで車を飛ばし、ミルドレッドの父親の立ち合いのもと結婚、晴れて“ラビング夫妻”(リチャード・ラビング+ミルドレッド・ラビング)となる。
ミルドレッドの実家で、幸せに満ちた新婚生活を始めたのも束の間、二人は真夜中に寝室に突入してきた地元の保安官(マートン・ソーカス)に逮捕される。翌朝、リチャードは1000ドルの保釈金で釈放されるが、ミルドレッドは5日間、獄中に閉じ込められた後、1000ドルの保釈金を払ってようやく釈放される。リチャードが依頼したビーズリー弁護士と(ビル・キャンプ)と判事の司法取引により、二人はヴァージニア州の判事から有罪を言い渡され、執行猶予の条件として離婚しないのなら直ちに故郷を立ち去り、この先25年間一緒には戻れないという判決を下される。
ラビング夫妻はワシントンD.C.に暮らすミルドレッドの親戚の家へ身を寄せる。強い絆で結ばれた両親と姉と離れ、見知らぬ都会の狭い部屋で過ごすミルドレッドは、日に日に元気を失くしていく。心配したリチャードが「俺に何ができる?」と尋ねると、ミルドレッドはベテランの助産婦であるリチャードの母のもとで出産したいと打ち明ける。「そうしよう」とひと言、リチャードの決断は早かった。
闇に紛れて帰ったリチャードの実家で、ミルドレッドの家族も集まり、お産が始まった。しかし、母(シャロン・ブラックウッド)はリチャードに「この結婚は間違いよ。彼女はいい子よ。でも法を犯すなんて」と言うのだった。赤ん坊は無事生まれるが、どこから聞きつけてきたのか、保安官が再び現われ、二人を連行する。駆けつけたビーズリー弁護士が判事に、「出産時は一時帰郷できると言った私のミスです」と嘘をついてくれたおかげで、二人は情状酌量されて許されるが、ビーズリーから「次は刑務所だ。もう2度目はないぞ」と冷たく言い放たれる。
それから5年、ワシントンD.C.での生活が続く。リチャードは黙々とレンガ職人の仕事をこなし、子供も二人目、三人目が生まれ、すっかり賑やかになった。しかし、都会の生活は子供が伸び伸びと育つ環境を与えてはくれない。遊び場もなく、交通事故の心配が常につきまとう。広々とした農村で育ったミルドレッドにとっては檻の中で生活するような息苦しさがついて回った。
ある日、ミルドレッドがテレビに目をやると、黒人の自由と平等を求める公民権運動のデモで10万人以上の人々が集まっている姿が映し出されていた。彼女には別世界の話のように思えたが、親戚に勧められて運動を支援するロバート・F・ケネディ司法長官に手紙を書く。数日後、バーナード・コーエン(ニック・クロール)と名乗る弁護士から電話が入る。ケネディがミルドレッドの手紙を送ったアメリカ自由人権協会(ACLU)から、弁護を依頼されたというのだ。
そんな中、夫妻の息子が車に轢かれてしまう。幸い、軽症ですんだが、いつも控えめなミルドレッドが、たとえ逮捕されても、子供たちが安全に走り回れる田舎に帰ると主張する。二人はヴァージニアに戻り、キングアンドクイーン郡の、周りに何もない農場の一軒家でひっそりと暮らし始める。
一方、コーエンはヴァージニアの州裁判所に判決を棄却するよう訴えていた。彼は経験の浅い新米弁護士だったが、フィリップ・ハーシュコプ(ジョン・ベース)という切れ者の弁護士が加わることになり、事が進展していく。
ライフ誌の取材を受けることも彼らの指示だった。多くの人に事態を知ってもらい、支援を受けるためだ。やってきた記者(マイケル・シャノン)はリチャードとミルドレッドの人柄に打たれ、二人の深く愛し合う関係を眩しそうに眺めるのだった。
ミルドレッドはテレビの取材を精力的にこなしていたが、彼らはいつ逮捕されてもおかしくない状況下にあった。その不安とともに、嫌がらせもあり、リチャードは神経を尖らせていた。ある日、リチャードが昔の黒人の友人たちと酒を飲んでいると、そのうちの一人がからみ始める。「お前は自分で自分の首を絞めている。肩身が狭いだろ? 黒人の気持ちが少しはわかったか。だが、お前はまだましな方だ。離婚すれば自由になる。面倒は終わらせろ。」その夜、遅く帰ってきたリチャードは、「周りのやつらがみんな変わってしまった」と呟く。そして、「俺はお前を絶対に守る」と誓い、初めてミルドレッドの前で涙を見せるのだった。
州裁判では敗訴―。しかし、とうとうアメリカ合衆国最高裁判所が上告を受理する。興奮気味に報告する弁護士たち。「あなたがたは当事者として裁判を傍聴できます」との話に、リチャードは「行かない」と答える。「あなたは?」と聞かれたミルドレッドは、「夫に従います」と微笑む。「最高裁の判事たちに伝えたいことは?」と聞かれ、「あるよ」と応えたリチャードは言う。「俺は妻を愛している」
最高裁裁判が始まった。ハーシュコプは異人種間結婚の禁止は「人種隔離法の最も忌むべき法律」と述べ、「土地の所有権や子供の人権問題でもある」と訴える。コーエンは「何が州にとって危険なのか。人々にとっていかなる脅威になるのか」とヴァージニア州裁判の判決に疑問を呈す。
リチャードとミルドレッドは、毎日の生活をきちんと送っていた。しかし、それはいつまた奪われるかわからない。彼らは日々を大切に丁寧に過ごしているのだった。
1967年6月12日。最高裁はすべての異人種間結婚禁止法を違憲とし、修正第14条の平等の保証に違反しているとする全員一致の判決を下した。
結婚から約10年、ようやくリチャードはあの購入した土地にレンガを積み始めた。大切な家族に囲まれて。

砂時計 ≪ラビング夫妻が世界を変えるまで≫
・1933年10月29日
 ヴァージニア州セントラル・ポイントでリチャード・ペリー・ラビング誕生
・1939年7月22日
 ヴァージニア州セントラル・ポイントにてミルドレッド・ドローレス・ジーター誕生
・1958年6月2日
 リチャードとミルドレッドワシントンD.C.にて結婚。その後、セントラル・ポイントのミルドレッドの実家に移り住む
・1958年7月11日
 キャロライン郡担当のヴァージニア州弁護士であるバーナード・マホンが、リチャードとミルドレッドの逮捕状をとる
・1958年7月12日
 午前2時、ブルックス保安官が寝室に突入し夫妻を逮捕。夫妻はボウリング・グリーンの監獄に収容される。リチャードは一晩過ごしたのち1,000ドルの保釈金を支払い釈放され、ミルドレッドは5日間を獄中で過ごし、1,000ドルの保釈金を払って釈放される
・1958年10月
 ラビング夫妻、ヴァージニア州の異人種間結婚を禁じた法令に違反しているとして起訴される
・1959年1月
 1年間の服役の判決が下されるが、「直ちにキャロライン郡とヴァージニア州を立ち去り、25年間、前記の郡及び州に一緒に又は同時に戻らない」という条項に同意することで執行猶予となる
 夫妻はワシントンD.C.のミルドレッドのいとこのアレックス・バードとその妻のラウラと共に暮らすようになる
・1963年
 ミルドレッドはアメリカ合衆国司法長官のロバート・F・ケネディに手紙を書く。ケネディはアメリカ自由人権協会(ACLU)にケースを委ねる
 6月にはラビング夫妻のケースをACLUの弁護士であるバーナード・コーエンが担当することになり、その数か月後には、公民権を専門に扱う弁護士であるフィリップ・ハーシュコプが加わり、両弁護士は無償で弁護にあたる
 11月にバーナード・コーエンは、ラビング夫妻の有罪判決を無効にし、判決を破棄するようバジーレ判事に申し立てを提出する
・1964年
 ラビング夫妻は3人の子供たちとヴァージニア州に戻り、キングアンドクイーン郡の農家でひそかに暮らすようになる
・1965年1月22日
 バジーレ判事は申し立てを退ける
・1966年3月7日
 ヴァージニア州最高裁はラビング夫妻の申し立てを是認するも、州から25年間立ち去る条項は過剰であるとして、判決の変更を求めて事件を州巡回裁判所に差し戻す
・1966年3月18日
 ライフ誌は同誌のカメラマン、グレイ・ビレットによる、キングアンドクイーン郡の自宅とその周辺でのラビング夫妻の白黒写真付きで、(記者署名なしで)「結婚という犯罪」という記事を掲載
・1966年3月
 ラビング夫妻対ヴァージニア州裁判が米国連邦最高裁判所に上訴される
・1967年6月12日
 最高裁判所はすべての異人種間結婚禁止法を違憲であり、修正第14条の平等の保証に違反しているとする、全員一致の判決を下した
・毎年6月12日
 現在6月12日は、最高裁判所によって異人種間の結婚が合法化された”Loving Day”として記念日となっている
≪リチャード・ラビングは1975年、ヴァージニア州キャロライン郡で車に乗っていた際、飲酒運転のトラックに衝突され、41歳で亡くなった。ミルドレッド・ラビングも同じ事故で右目を失っている。ミルドレッドは2008年5月2日、ヴァージニア州ミルフォードで肺炎により68歳で亡くなった。≫


▼予告編



▼特別映像

2017年4月13日(木)角川シネマ新宿(東京都新宿区新宿3-13-3 新宿文化ビル4・5F、JR新宿駅東口より徒歩10分〈伊勢丹本館向かい・明治通り側〉)で、18:25~ 鑑賞。

作品データ :
原題 SILENCE
製作年 2016年
製作国 アメリカ
配給 KADOKAWA
上映時間 165分


遠藤周作の小説『沈黙』(1966年)を、『タクシードライバー』『レイジング・ブル』『ディパーテッド』のマーティン・スコセッシ(Martin Scorsese、1942~)が映画化した歴史ヒューマン・ドラマ。キリシタン弾圧の嵐が吹き荒れる江戸時代初期の長崎を舞台に、自らの信仰心を極限まで試される若いポルトガル人宣教師の壮絶な葛藤の行方を力強い筆致で描き出す。スコセッシが1988年に原作を読んで以来、28年をかけて映画化にこぎつけた念願の企画で、主演は『アメイジング・スパイダーマン』のアンドリュー・ガーフィールド、共演にアダム・ドライバー、リーアム・ニーソン、また窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也はじめ日本人キャストも多数出演。

ストーリー :
1640年、江戸時代初期。日本で布教活動していたイエズス会の高名な宣教師クリストヴァン・フェレイラ(リーアム・ニーソン)が捕らえられ、激しいキリシタン弾圧に屈して“棄教(=信仰を捨てること)”したという手紙がアレッサンドロ・ヴァリニャーノ神父(キアラン・ハインズ)のもとに届けられる。信じられない弟子のセバスチャン・ロドリゴ神父(アンドリュー・ガーフィールド)とフランシス・ガルペ神父(アダム・ドライバー)は、それを確かめるため、棄教した日本人の漁師キチジロー(窪塚洋介)の手引きで、マカオから長崎へ潜入を図る。
日本の“トモギ村”にたどりついた彼らは、弾圧を逃れた“隠れキリシタン”と呼ばれる日本人、モキチ(塚本晋也)やイチゾウ(笈田ヨシ)らと出会う。ロドリゴとガルペは潜伏しながら布教活動を行なうが、幕府の取り締まりにより、モキチらはロドリゴらを匿い最後まで信仰を捨てなかったために処刑されてしまう。しかし、キチジローはあっさりと踏み絵を踏み、裏切って逃げてしまう。
ロドリゴはガルぺとも離れ離れになり、ひとり五島列島の山中をさ迷う。疲労と空腹で意識が朦朧とする中、再びキチジローが現われ彼を救う。ロドリゴは川面に映った自分の顔がキリストのそれと重なる。その時、侍たちが現われ、ロドリゴは捕らえられる。キチジローの密告であった。
モニカ(小松菜奈)やジュアン(加瀬亮)ら他の隠れキリシタンと共に長崎奉行所に連行され投獄されたロドリゴのもとに、キチジローが赦しを乞いに現われる。キチジローは自分はキリシタンだと申告し、同じ牢に投獄される。ロドリゴはキチジローをまるでユダのように見るのだった。
キリシタンを厳しく取り締まる井上筑後守(イッセー尾形)と、彼に仕える通辞(=通訳、浅野忠信)は、「お前のせいでキリシタンどもが苦しむのだ」とロドリゴに“転び(棄教)”を迫るが、ロドリゴは頑なに拒否する。
ロドリゴは沢野忠庵と改名したフェレイラに再会させられる。彼の棄教を激しく非難するロドリゴに対し、フェレイラは先人たちがこの国で布教してきたキリスト教の、信じられない事実を語るのだった。
ロドリゴのせいで、棄教してもなお残酷な拷問にあう信徒たちを目の当たりにし、彼ロドリゴは「主よ、あなたは何故黙ったままなのですか」と嘆く。信徒の命を守るのか(人を救うか)、信仰を守るのか(信仰を貫くか)、究極の選択を迫られる。心に迷いが生じたことでわかった、強いと疑わなかった自分自身の弱さ!追い詰められた彼の決断とは…。

▼予告編



▼特別映像



▼メイキング映像



▼ MARTIN SCORSESE at Press Conference in Japan ― 本作映画化に至るまでの苦労を激白(2017年1月16日) :



[※追記(2017/12/02):2017年11月30日(木)、本作を早稲田松竹で、12:00~再見]
2017年3月31日(金)新宿ピカデリー(東京都新宿区新宿3-15-15、JR新宿駅東口より徒歩5分)で、19:05~鑑賞。

作品データ :
原題 PASSENGERS
製作年 2016年
製作国 アメリカ
配給 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
上映時間 116分


「パッセンジャー」

航行中の宇宙船を舞台に、目的地到着前に他の乗客より90年も早く冬眠から覚めてしまった男女の愛と運命を描くSFロマンス。宇宙空間で生き残るすべを模索する男女を、『ハンガー・ゲーム』『世界にひとつのプレイブック』のジェニファー・ローレンスと『「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のクリス・プラットが演じる。『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』のモルテン・ティルドゥムが監督を務め、『プロメテウス』のジョン・スペイツが脚本を担当。

ストーリー :
時は20××年。人類は環境が悪化し人口の飽和した地球から、新たな移住先として「ホームステッドⅡコロニー(Homestead Ⅱ Colony)」と名付けられた惑星を目指す計画を立てる。乗客(passenger)5000人と乗務員258人を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号(the starship Avalon)が、地球を出発する。コロニー到着までは120年もかかるため、その間、宇宙船はオートパイロットシステムで自動運転させて、乗務員と乗客はすべて人口冬眠ポッドで眠りにつく。
出発から約30年が経ったある日、船に巨大な隕石が衝突し、システム異常が発生する。即座に自動修復が行なわれたが、一つの冬眠ポッドが故障し、眠っていた乗客の一人、機械エンジニアのジム・プレストン(クリス・プラット)だけが目覚めてしまう。
ジムは途方に暮れる。再び冬眠状態になることも不可能であり、目的地まであと約90年かかる以上、船内での孤独死は必定である。地球へSOSのメッセージを送るが、届くのは19年後で、その返信は55年後とのこと。さらに乗組員ではない乗客では船のコントロールにアクセスできず、そのアクセス権を持つ乗組員たちが冬眠している部屋は頑丈なハッチに守られていて、彼らを起こすのも不可能だった。
なす術(すべ)もなく船内をさまよっていたジムは、バーでバーテンダーのアンドロイド、アーサー(マイケル・シーン)を見つける。それから1年ばかり、毎日のようにアーサーを唯一の話し相手とするジム。アーサーの「せっかくの船旅を楽しんみては?」のアドバイスに従い、VIPクラスのスイートルームで寝泊りしたりゲームやスポーツなどもやりたい放題の奔放な生活を続ける。また、エアロックから宇宙服を着て船外活動が可能なことに気づき、宇宙遊泳で初めて見る生の宇宙空間に感動もする。しかし、時間が経過するにつれ、絶望的な孤独感に囚われたジムは、つい魔が差して生身のまま外扉を開くスイッチを押そうとするが、寸前で我に返り自殺を思いとどまるのだった。
そんな時、ジムは冬眠ポッドの中に眠る一人の美しい女性に一目惚れする。船内のインフォメーションシステムで調べると、彼女はオーロラ・レーン(ジェニファー・ローレンス)というジャーナリストで、人々が地球を去って宇宙に植民する実態を取材するため、この移民計画に参加したとのこと。オーロラのインタビュー映像を見たり、書いたものを読んだりしているうちに、ますます彼女に惹かれていくジム。彼女が起きて、傍にいてくれたら、どんなに素晴らしいだろうか…。でも、そんなことをしたら、彼女の人生は自分と同じく悲劇的になってしまう…。悩みに悩んだ末に、孤独の寂しさに堪えられず、とうとう彼はポッドを操作して彼女を目覚めさせてしまうのだった。
目覚めたオーロラに、何らかの故障で自分たち二人だけのポッドが開いてしまったと嘘をつくジム。オーロラは1年前のジムと同様、自分の置かれた状況に茫然自失の体(てい)。しかし徐々に、同じ絶望的な状況を共有するジムと日々を暮らしていくうちに惹かれていくようになる。やがて二人が愛を育み、恋人どうしの関係になり、ジムがオーロラの誕生日に彼女にプロポーズしようとする。ところが事の直前で、アーサーが偶然の成り行きで、オーロラにジムが故意に彼女を目覚めさせたことを告げてしまう。ジムに騙されたことを知ったオーロラは怒り狂い、自分の人生を壊した彼に罵声を浴びせる。ジムはオーロラへ懸命に謝罪し、メインロビーに一本の木を植えたりして彼女へ償いの気持ちを伝えるが、彼女は決して彼を許そうとはしなかった。
この頃から、船内で少しずつ異常事態が発生する。清掃用ロボットの不調や部屋の明かりが消えたりエレベータが停止したりと、船内のシステムに明らかに異変が起きていた。
そんな中~オーロラが目覚めて1年後~、冬眠ポッドの故障から、乗務員の一人、甲板長のガス・マンクーソ(ローレンス・フィッシュバーン)が新たに目覚める。彼はジムとオーロラにも手伝わせ、船内のトラブル状況を調査し、アヴァロン号が2年前の隕石との衝突により航行や電力供給に不可欠な核融合炉が機能停止寸前の深刻な状態にあることを突き止める。しかし、冬眠ポッドの不調により重病(多臓器不全)を発症していたガス。悲鳴を上げる身体を押して修理に手を尽くすものの、結局は虚しく息を引き取る。亡くなる直前、彼はジムとオーロラに管理者ID(船内の全アクセス権)を託し、二人で力を合わせてこの苦難を乗り切るように忠告した。
二人は核融合炉の修理に取りかかるが、修理を完了するには炉内の熱を排熱孔から放出する必要があり、故障の影響で排熱孔は船外からの手動でしか開けなくなっていた。ジムが船外に出て命がけで排熱孔を開くことで核融合炉は限界寸前で正常に戻ったが、熱が放出された衝撃で命綱も切れてジムは宇宙空間に吹き飛ばされてしまう。オーロラは船外に飛び出してジムを救出し、一時的に死亡したジムを治癒装置へ運び込んで蘇生させることに成功する。奇跡的にジムが息を吹き返した時、オーロラはジムに飛びついて喜び、二人は抱擁してキスを交わす。
その後、二人の関係は一連の出来事で好転し、ジムはガスの持つアクセス権で一台だけの冬眠ポッドの起動が可能である旨をオーロラに告げる。ジムは彼女を目覚めさせてしまった償いとしてポッドで彼女を冬眠させようとするが、オーロラはそれを断わり、宇宙船で最期まで彼と運命を共にすることを決意する。そしてバーで、ジムはオーロラに改めて(かつて失敗に帰した)プロポーズをし、彼女はそれを受け入れる。
88年後―、目的のコロニーに到着する5か月前に乗組員の冬眠ポッドが起動する(乗客の起動はその1か月後)。目覚めた乗組員たちは、メインロビーを訪れて驚く。そこはジムとオーロラが植えた木々に埋め尽くされ、緑豊かな温室になっていた。二人はジムの年来の夢だった手作りの家を建て、幸せな家庭を築き上げていた…。乗務員たちはオーロラの残した記録から、自分たちが眠っている間に、この船に何が起こり、どんなドラマがあったのかを知ったのだった。

▼予告編



▼特別映像 ― Best Scenes



▼特別映像 ― Go Behind The Scenes



▼特別映像 ― Bloopers and Funny Moments

2017年3月23日(木)有楽町スバル座(東京都千代田区有楽町1-10-1 有楽町ビル2階、JR有楽町駅・日比谷口正面)で、18:45~鑑賞。

作品データ :
原題 SNOWDEN
製作年 2016年
製作国 アメリカ ドイツ フランス
配給 ショウゲート
上映時間 135分


名匠オリバー・ストーン監督(Oliver Stone、1946~)が、アメリカ政府による国際的な監視システムの実態を暴き世界中を震撼させた「スノーデン事件」の全貌に迫る人間ドラマ。NSA(米国国家安全保障局)及びCIA(中央情報局)職員だったエドワード・スノーデン(Edward Snowden、1983~)がキャリアや恋人との幸せな人生を捨て、重大な告発を決意するまでの過程を描く。スノーデンをジョセフ・ゴードン=レヴィット、その恋人をシャイリーン・ウッドリーが演じるほか、オスカー女優メリッサ・レオ、ザカリー・クイント、トム・ウィルキンソンらが脇を固める。

ストーリー :
【2013年―香港】 2013年6月3日、大勢の市民でにぎわう香港の街なかに、青白い顔にメガネをかけ、ルービックキューブを手にした一人の青年が現われた。ドキュメンタリー作家ローラ・ポイトラス(メリッサ・レオ)、イギリス・ガーディアン紙のコラムニスト、グレン・グリーンウォルド(ザカリー・クイント)と合言葉を交わし、彼らを自分が宿泊するホテルの一室に招き入れた彼は、ポイトラスが回すカメラの前でエドワード・スノーデン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)と名乗る。そして、アメリカ政府による恐るべき諜報活動の実態を証明するトップシークレットを携えた彼は、自らが歩んできたCIAとNSAでのキャリアを語り始めた。

【2004年―ジョージア州】 9.11の同時多発テロに危機感を抱き、国家の役に立ちたいと考えたスノーデンは、軍に志願入隊した。しかし、特殊部隊の訓練は想像を絶するほど過酷だった。ある日、不注意から足に大怪我を負った彼は、担当医から長期の松葉杖での生活を告げられ、「他の方法で国に尽くせ」と除隊を宣告される。

【2006年―ヴァージニア州】 CIAの採用試験に合格したスノーデンは、“ザ・ヒル”と呼ばれるCIA訓練センターでサイバー・セキュリティのノウハウを学んだ。そこで持ち前のコンピュータの知識を発揮したスノーデンは、厳格な指導教官コービン・オブライアン(リス・エヴァンス)に一目置かれる存在となり、オタク風のエンジニアで教官でもあるハンク・フォレスター(ニコラス・ケイジ)とも親しくなった。またプライベートでは、交流サイトで知り合ったリンゼイ・ミルズ(シャイリーン・ウッドリー)と、ワシントンD.C.のカフェで初めて対面。愛国者のスノーデンと快活で権力に批判的なリンゼイは、性格も思想もまったく違っていたが不思議とウマが合い、二人は交際をスタートさせた。

【2007年―スイス・ジュネーブ】  “ザ・ヒル”でトップクラスの成績を叩き出したスノーデンは、ジュネーブにあるアメリカの国連代表部に派遣された。現地で彼が目の当たりにしたのは、一般市民のメール、チャット、SNSからあらゆる情報を収集するNSAの極秘検索システム、エックスキースコアの存在と、それを利用してテロ活動とは無関係の人物をスパイとして抱き込むCIAの汚い手口だった。自宅に戻った彼は、リンゼイとの私生活まで盗撮されているのではないかという恐怖に駆られ始める。そしてある日、アメリカ大統領選の民主党候補にバラク・オバマが躍進したニュースを喜ぶリンゼイに、CIAを辞職したことを打ち明ける。

【2009年―東京・横田基地】 民間IT企業の契約スタッフとして働いていたスノーデンに、皮肉にも再びNSAでの仕事が言い渡される。それでも政権基盤が共和党から民主党に変わったこともあり、彼は心機一転、派遣先の東京に赴き、新たな非常用データ・バックアップシステム、エピックシェルターの構築に携わった。だが、アメリカ政府の諜報活動は、オバマ政権になっても変わってはいなかった。NSAによる監視は、もはや同盟国政府や民間企業、何の罪もない世界中の市民にも及び、各国の通信システムばかりでなく物的なインフラも操り、明らかにテロ防止の目的を逸脱していた。極度のストレスを溜め込んだ彼は、一緒に富士山に登ろうと約束していたリンゼイとケンカ別れしてしまう。
それから3か月後の2011年、メリーランド州にあるリンゼイの実家を訪ねたスノーデンは、彼女との関係を修復した。リンゼイと共に歩む人生にこそ本当の幸せがあると改めて気づく彼だったが、元上官のオブライアンとNSA副長官からハワイでの新たな任務を持ちかけられる。

【2012年―ハワイ・オアフ島】 リンゼイを伴ってハワイに赴任したスノーデンは、NSA工作センター“トンネル”でそれまで以上にハイレベルな情報アクセス権を与えられ、中国によるサイバー活動の監視任務に就いた。かつて自分が構築したエピックシェルターが、ドローン攻撃など想定外の目的に使用されている事実を知り、ショックを受ける彼。さらにアメリカ政府の監視プログラムが拡大の一途をたどり、自分とリンゼイの私生活までもがCIAに筒抜けになっていることを察した彼は、ついに祖国アメリカを告発するという重大な決意を固め、たった一人で決死の行動を起こすのだった…。

▼予告編



▼本作ジャパンプレミア ― オリバー・ストーン監督が制作裏話を披露(日時:2017年1月18日18:30~、場所:TOHOシネマズ六本木ヒルズ):



▼オリバー・ストーン監督の来日記者会見(日時:2017年1月18日12:00~、場所:ザ・リッツ・カールトン東京):



▼ cf. Edward Snowden インタビュー(June 6, 2013) :
[Democracy Now!Japanの報道番組「米国の監視体制をあばいたNSA内部告発者エドワード・スノーデンが名乗り出る インタビュー」(動画 日本語字幕付き、放送日:2013年6月10日、再生時間:15分) http://democracynow.jp/video/20130610-1]



爆弾 【追記(2017/04/29)】
cf. NHK クローズアップ現代+「アメリカに監視される日本~スノーデン“未公開ファイル”の衝撃~」(放送日:2017年4月24日) :

【本放送のダイジェスト】: https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3965/

cf. クローズアップ現代+「プライバシーか?セキュリティーか?~スノーデン“日本ファイル”の衝撃~」(放送日:2017年4月27日) :

【本放送のダイジェスト】: https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3968/

ドンッ 【追記(2017/11/12)】
cf. エドワード・スノーデンのライブインタビューノーカット版(JCLU創立70周年記念シンポジウム「デジタル時代の監視とプライバシー」第1部) :
[人権擁護を目的として1947年に設立された「自由人権協会(JCLU)」が創立70周年を迎えたことを記念して、2017年10月1日、「デジタル時代の監視とプライバシー」をテーマにシンポジウムを開催。第1部はスノーデンのライブインタビューで、NHK「クローズアップ現代」の元キャスター国谷裕子がインタビュアーを務め、日本が米国から提供されたとされる監視プログラム「XKEYSCORE(エックスキースコア)」に関してや米国を中心とした同盟国関係の力学、サイバー戦争の脅威、デジタル時代にプライバシーや人権をどう守るのかなどをテーマに、約1時間にわたって話を聞いた。]
2017年3月11日(土)吉祥寺オデヲン(東京都武蔵野市吉祥寺南町2-3-16、JR吉祥寺駅東口徒歩1分)で、19:30~鑑賞。

作品データ :
原題 ASSASIN'S CREED
製作年 2016年
製作国 イギリス フランス アメリカ 香港
配給 20世紀フォックス映画
上映時間 115分


「アサシンクリード」

全世界で人気の同名ゲームシリーズを、マイケル・ファスベンダー主演で映画化したミステリーアクション。遺伝子操作によって、スペインでアサシン(暗殺者)として活躍した祖先の記憶を追体験させられる男が、歴史の裏に隠された多くの謎に挑む姿を描く。共演はマリオン・コティヤール、ジェレミー・アイアンズ、ブレンダン・グリーソン、シャーロット・ランプリング。監督はファスベンダーとコティヤールとは前作『マクベス』に続いてのコラボとなるジャスティン・カーゼル。

ストーリー :
人間の自由意思をコントロールできるという「エデンの果実」を巡り、“アサシン教団”と“テンプル騎士団”の間で長年にわたる暗闘が繰り広げられてきた―。2016年、一人の殺人犯カラム・リンチ(マイケル・ファスベンダー)に死刑が執行される。ところが、実際にはその身柄は生きたままアブスターゴ財団の研究所へと運ばれていた。そこでは、遺伝子に刻まれた記憶を辿ることができる特殊な装置“アニムス”が開発されていた。実はカラムは、「エデンの果実」の秘密を守るアサシン教団の伝説のアサシン、アギラール・デ・ネルハの末裔だったのだ。研究所は“エデンの果実”を狙うテンプル騎士団によって運営されており、研究者のソフィア・リッキン(マリオン・コティヤール)は、アニムスを使ってカラムにアギラールの人生を追体験させることで「エデンの果実」の秘密に迫ろうとしていた。こうして遺伝子の記憶を介して自らの先祖アギラールとなり、15世紀・ルネッサンス期のスペインへと舞い降りたカラムは、アサシン教団とテンプル騎士団の壮絶な抗争の渦へと巻き込まれていくのだった…。

▼予告編



▼メイキング映像

2017年3月11日(土)吉祥寺オデヲン(東京都武蔵野市吉祥寺南町2-3-16、JR吉祥寺駅東口徒歩1分)で、17:15~鑑賞。

作品データ :
原題 xXx:Return of Xander Cage
製作年 2017年
製作国 アメリカ
配給 東和ピクチャーズ
上映時間 107分


エクストリーム・スポーツのスーパー・スターが、アメリカ政府のスパイとなって活躍する「トリプルX」シリーズの第3弾[cf.『トリプルX』(2002年)→『トリプルX ネクスト・レベル』(2005年)]。ヴィン・ディーゼルが1作目以来のシリーズ復帰を果たし、再びNSA(アメリカ国家安全保障局)の極秘エージェントとなった主人公ザンダー・ケイジが最強の敵を迎えて繰り広げる過酷なミッションの行方を、クールでウイットに富んだユーモアを織り交ぜ、型破りで破天荒なアクション満載に描く。共演はドニー・イェン、ディーピカー・パードゥコーン、クリス・ウー、ニーナ・ドブレフ、ルビー・ローズ、サミュエル・L・ジャクソン。監督は『ディスタービア』『イーグル・アイ』のD・J・カルーソー。

ストーリー :
宇宙に散在するすべての人工衛星を遠隔操作し、地球上のあらゆる場所に落下させることができる最悪の凶器であるコントローラー「パンドラの箱」が、正体不明のグループの手によっていとも簡単にCIA本部の会議の場から奪われた。
何の手掛かりもないまるでゴースト(幽霊)のようなその犯罪集団に対抗できるのは、かつてNSAのギボンズ(サミュエル・L・ジャクソン)のもとで任務を果たし、すでに死んだことになっているあの男しかいない。CIAのマルケ(トニ・コレット)は、伝説の“トリプルX”ことザンダー・ケイジ(ヴィン・ディーゼル)を強引に復職させる。
ザンダーはマルケの用意した米軍特殊部隊を非礼な方法で拒否したのち、自らの仲間であるアデル(ルビー・ローズ)、ニック ( クリス・ウー)、テニソン (ロリー・マッキャン)を呼び寄せた。まず、ロンドンに古い友人である天才ハッカーのエインズレー(ハーミオーネ・コーフィールド)を尋ね、謎の犯罪集団の居場所がフィリピンのある島だと突きとめ、驚異的な身体能力を持つ男ジャン (ドニー・イェン)が率いるセレーナ(ディーピカー・パードゥコーン)、タロン (トニー・ジャー)、ホーク (マイケル・ビスピン)らのゴーストから「パンドラの箱」を奪還すべく島に乗り込んでいく。が、最終兵器を狙うのはザンダーたちだけではなかった…。

▼予告編

2017年2月27日(月)YEBISU GARDEN CINEMA(東京都渋谷区恵比寿4-20-2 恵比寿ガーデンプレイス内)で、17:20~鑑賞。

「YEBISU GARDEN CINEMA」は、JR東日本・恵比寿駅から約400m南に位置する複合商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」内にある映画館。2015年3月28日に、旧「恵比寿ガーデンシネマ」と同じ場所に復活しオープン。「恵比寿ガーデンシネマ」は角川シネプレックスの運営により、1994年10月に開館→良質なミニシアター作品を数多く上映し、2007年から2008年にかけてピークを迎えたミニシアターの一時代を築く→多くの映画ファンに愛されつつも2011年1月に閉館。その後、「恵比寿ガーデンシネマ」の復活を望む各界各層の声が多く、恵比寿ガーデンプレイスを運営するサッポロ不動産開発とユナイテッド・シネマの共同経営で、クラシックな装いをこらした新「YEBISU GARDEN CINEMA」を開業する運びとなる。私は「恵比寿ガーデンシネマ」については1990年代後半から2000年代にかけて何度も通ったものだが、「YEBISU GARDEN CINEMA」については今回初めて入館した次第。

作品データ :
原題 JUSTE LA FIN DU MONDE 
英題 IT'S ONLY THE END OF THE WORLD
製作年 2016年
製作国 カナダ フランス
配給 ギャガ
上映時間 99分


『わたしはロランス』『Mommy/マミー』などで高い評価を受けるカナダの若手監督グザヴィエ・ドランが、ギャスパー・ウリエル、レア・セドゥ、マリオン・コティヤール、ヴァンサン・カッセルらフランス映画界を代表する実力派キャスト共演で撮りあげた人間ドラマ。38歳の若さでこの世を去ったフランスの劇作家ジャン=リュック・ラガルス(Jean-Luc Lagarce、1957~95)の同名戯曲を原作に、自分の死期が近いことを伝えるため12年ぶりに帰郷した若手作家の苦悩と家族の葛藤や愛を緊張感あふれる筆致で描き、第69回カンヌ国際映画祭でグランプリに輝いた。

ストーリー :
12年ぶりに故郷に帰ってきた34歳の作家ルイ(ギャスパー・ウリエル)。それは、死期が迫っていることを家族に伝えるためだった。母のマルティーヌ(ナタリー・バイ)は息子の好きな料理を用意し、幼い頃に別れた兄を覚えていない妹のシュザンヌ(レア・セドゥ)はいつもより着飾り、そわそわしながら彼の帰りを待っていた。そんな浮き足立つ二人とは対照的に、兄のアントワーヌ(ヴァンサン・カッセル)は彼を素っ気なく迎える。アントワーヌの妻カトリーヌ(マリオン・コティヤール)は、ルイとは初対面だった。オードブルにメインと、まるでルイが何かを告白するのを恐れるかのように、ひたすら続くぎこちない会話。戸惑いながらも、デザートの頃には打ち明けようと決意するルイ。だが、過熱していく兄の激しい言葉が頂点に達した時、それぞれの胸の内にあった感情がほとばしる…。

▼予告編



▼グザヴィエ・ドラン監督&マリオン・コティヤール インタビュー映像 :

2017年2月24日(金)TOHOシネマズ新宿(東京都新宿区歌舞伎町 1-19-1 新宿東宝ビル3階、JR新宿駅東口より徒歩5分)で、18:40~鑑賞。

「ラ・ラ・ランド」



作品データ :
原題 LA LA LAND
[「LA」はロサンゼルス(Los Angeles)の略称で、「ラ・ラ・ランド」はロサンゼルスの愛称である。また、ロサンゼルスには本作の主人公たちのように(スターになる)夢を追いかける人が各地から集まってくることから、「ラ・ラ・ランド」は“現実離れした世界”を意味する。「彼女はラ・ラ・ランドに住んでいる」というのは、「彼女は夢見がちだ。現実を見ていない」という意味を持つ。]
製作年 2016年
製作国 アメリカ
配給 ギャガ/ポニーキャニオン
上映時間 128分


『セッション』で一躍注目を集めたデイミアン・チャゼル監督(Damien Chazelle、1985~)が、ライアン・ゴズリング(Ryan Gosling、1980~)&エマ・ストーン(Emma Stone、1988~)主演で描いたミュージカル映画。売れない女優とジャズピアニストの恋の顚末(てんまつ)を、往年の名作ミュージカル映画を彷彿させるゴージャスでロマンチックな歌とダンスで描く。
第89回アカデミー賞では史上最多タイとなる14ノミネートを受け、デイミアン・チャゼルが「監督賞」、エマ・ストーンが「主演女優賞」を受賞したほか、“City of Stars”で「歌曲賞」、ジャスティン・ハーウィッツが「作曲賞」、リヌス・サンドグレンが「撮影賞」、サンディ・レイノルズ・ワスコが「美術賞」を受賞した。

ストーリー :
【プロローグ・冬】 ロサンゼルスのハイウェイは、朝の大渋滞で、多くのドライバーが苛つきからクラクションを鳴らしている。中から一人の女性が降りたことをきっかけに、オープニング・ナンバー “Another Day of Sun”が始まる…。

音譜 “Another Day of Sun”scene :



ようやく車の流れが動き出すが、紙を見ながらブツブツと何かを呟いていたミア・ドーランMia Dolan(エマ・ストーン)はそれに気がつかず、後続車からクラクションを鳴らされ、腹を立てる。その車に乗っていたのは若い男で、ミアは彼に中指を立てて怒りを示す。ミアはハリウッドにあるワーナー・ブラザース撮影所内のカフェへ。そこがバイト先だ。女優志望の彼女はオーディションを受けまくっては落選する毎日。車の中でブツブツと呟いていたのもオーディション用の台本を読んでいたのだ。今日もバイトを終えて面接を受けるが、また落選。
気を晴らそうと、友だちと一緒に業界関係者のクリスマス・パーティへ出かける(“Someone in the Crowd”)。しかし、つまらないパーティで一人虚しく帰ろうとすると車が駐車違反でレッカー移動されていて、仕方なく徒歩で帰路へ。その途中、あるバーの前を通りかかるとピアノの演奏(“Mia & Sebastian’s Theme”)が聞こえる。それに気を引かれて店内へ。ピアノを弾いていたのは渋滞のハイウェイで自分を追い抜かした男で、彼の名前はセバスチャン・ワイルダーSebastian Wilder(通称・セブSeb、ライアン・ゴズリング)。ジャズ・ピアニストで、この店でバイトをしている。しかし、ポップスばかり弾かされ、気を腐らせていた。日頃から、歴史ある店が売れないジャズを諦める現状を嘆き、古き良きジャズを愛でる自分の店を開く夢を持っていたのだ。たまたまミアがやって来たのは、反逆心でジャズを演奏していたところだった。セブは契約通りの曲を弾かなかったことで即刻クビ。曲に惚れ込んで声をかけようとしたミアを無視して、彼はとっとと帰ってしまう。

音譜 “Mia & Sebastian’s Theme”scene :




【春】 ミアはあるプールパーティに参加した。彼女はバンドでa-haの“Take on Me”をやる気なさげに演奏するセブを見つけ、A Flock Of Seagullsの “I Ran (So Far Away)”をリクエストするが、本物のアーティストと自負するセブはこの選曲に憤慨する。ミアは纏わり付く脚本家を振り切ろうと、セブと一緒にパーティ会場を離れるが、近くには自分と同じプリウスが大量に駐車されていて自分の車を見つけられない。ミアの車を探して坂にさしかかった二人は、夕焼けの美しさを前に、少し打ち解けて会話と踊りを楽しむ(“A Lovely Night”)。

音譜 “A Lovely Night”scene :



数日後、セブは撮影所に忍び込み、仕事上がりのミアと二人で中をうろつきながら、互いの身の上や夢を語り合う。ミアの話によると、彼女は子供の頃から女優だった叔母に憧れ、また脚本を書くのが好きで、自ら脚本を書ける女優になる夢を持つようになった。セブは「ジャズが好きではない」と言うミアをジャズ・バーに連れて行き、本物のジャズを聞かせてジャズの素晴らしさを訴える(“Herman's Habit”)。二人はミアの後学のため『理由なき反抗』(1955年)のリバイバル上映を観に行く約束をして別れ、その後セブは埠頭(Hermosa Beach pier)で一人“City of Stars”を歌う。

音譜 “City of Stars”scene(英語歌詞付き日本語字幕版) :


二人の約束の日、ミアはボーイフレンド(&その兄)との会食で、ダブルブッキングになっていることに気づく。彼女は仕方なく先約の食事会に向かうが、心ここにあらず、途中でセブの待つ映画館へ向かう。映写機のトラブルから上映は途中で終わるが、その後二人は映画の舞台になったグリフィス天文台を訪れ、デートの続きを楽しむ。プラネタリウムの映写の中、彼らは星空を舞いながら初めてキスを交わす(“Planetarium”)。

【夏】 二人はデートを重ね、同棲するアパートで互いに夢を追いながら “City of Stars” をデュエットする。

音譜 “City of Stars”scene (Mia Dolan & Sebastian - Emma Stone & Ryan Gosling) :



二人の関係は良好だったが、セブは店の資金がなく、ミアは女優としてのチャンスを掴めずにいた。セブの助言を受けて、ミアは一人芝居の脚本を書き始める。また、セブはミアから「店の名前はSeb'sにしたら?」と提案されるが、敬愛するチャーリー・パーカーにちなんだ「Chicken On A Stick」がいいと譲らない。同時期、セブはジャズ・バーで旧友キース(ジョン・レジェンド)と再会してR&Bバンド加入の誘いを受ける。しかし、キースによる、ジャズを現代風にアレンジしたジャズ・フュージョンは、セブがこだわり続ける本格的なジャズとは似て非なるジャンルだった。キースのバンドはジャズにロックやダンスミュージックなどを融合させた斬新な音楽だったため、古き良きジャズを好むセブは違和感を抱く。キースは「ジャズを守りたいのなら、まずは聞いてもらわなくてはいけない。セブが尊敬するチャーリー・パーカーやマイルス・デイヴィスはジャズに革命を起こし、過去を変えた人達ではないのか。それなのに、セブは過去に囚われすぎている」と語る。キースの考えを否定できなかったセブは、ミアとの将来設計のためにも⇒理想のジャズ・バー開店のためにも、安定した収入が必要だと思い、バンド「メッセンジャース」にキーボード奏者として加入する。ある日、ミアは初めてセブのライブに行き、バンドの曲 “Start a Fire”がセブの求めるジャズではないことを知る。モダンで若者好みの音楽性に、少なからず戸惑うミア。観客が熱狂すればするほど、客席からセブを眺める彼女の表情は暗くなる。

【秋】 セブとキースのバンドは人気が急上昇し、ツアーで全米各地を飛び回る生活だが、一方のミアはアパートに残って一人芝居の準備に取りかかっていた。ある日、ミアがアパートに帰ると、彼女を驚かせようと久しぶりに帰ってきたセブがミアのために夕食を作っていた。食事の最中に、セブはバンドのツアーに同行しないかとミアに持ちかけるが、公演が2週間後に迫っている彼女は、これを断わる。ツアー終了後も、さらにレコーディングと次のツアーが2年も続くことに驚いた彼女は、自分のやりたくないポップな音楽ながら、目前の現実にどんどん妥協していくセブに、「いつまでツアーを続けるの?自分の店を開く夢はどうするの?」と問いただす。彼は「君のために安定した仕事をしているんだ」と答える。それでもミアは「定職よりも夢を追ってほしい」と熱弁するが、彼から「どうせ無職だった僕と付き合ったのも、優越感に浸りたかったからじゃないのか?」と聞くにたえない言葉を投げつけられたことで、深く傷つきアパートを飛び出してしまう。この1件から二人の仲はギクシャクしていくが、セブは何とか関係の修復を図ろうとする。
ミアは公演当日、暗い劇場の中、精一杯“一人芝居”を披露する。しかし、客の入りは悪く、10人足らずのありさま。おまけに終演後、観客からの酷評が聞こえてきて、手ひどく落ち込むミア。何より問題は上演中、一番観てほしかったセブの姿がなかったことだ。ゼブは必ず観劇すると約束していた。にもかかわらず、バンドのプロモーション写真撮影に思いのほか手間取って、慌てて劇場に駆けつけたものの時すでに遅し、公演はすでに終了していた。セブはミアに謝罪するが、心がついに折れてしまったミアには、もはや何も届かない。彼女は言う、「もう才能がないから田舎に帰るわ。私には女優なんて始めから無理だったの…」 思いが頭を駆け巡る、(ハリウッドとカフェを行き来しながらの我慢と失敗ばかりの女優人生だった、そして最愛の人にすら自分の演技を観てもらえなかった…)。彼女はセブの制止も振り切り、そのまま故郷(ネバダ州)ボールダーシティーの実家に帰ってしまう。
数日後、ミアが去った後、一人寂しくベッドに寝転がるセブの携帯電話に一本の電話が入る。相手はミアの一人芝居を賞賛した業界人で、「ミアを新作映画のオーデションに呼びたい」とのこと。セブは大喜びで、ミアの故郷へ車を飛ばし、実家を探し当て、そのビッグニュースを伝える。しかし、もう傷つきたくないミアは、首を縦に振ろうとしない。「今までも期待してオーデションを受けて、毎回落ちてばかり。そのたびに死にたくなるの。オーデション会場には私よりもかわいい人がたくさんいるし、才能もある人ばかり。私なんて…」 そんな消極的な彼女に対して、セブは必死の説得を重ねる。「君は十分素晴らしいよ。才能がある。とにかく明日の朝迎えに来るから。信じている」 翌朝、オーディションを受けることを決意したミアは、彼の車に同乗する。
オーディションでディレクターは、「今回の作品にはまだストーリーがない。パリで撮影しながら、主演女優と一緒に物語を作っていく。だから、あなたの物語を聞かせてほしい」と言う。ミアは女優だった叔母をイメージして、「夢追い人」の素晴らしさを語るアドリブ芝居を演じる[ “Audition(The Fools Who Dream)” ]。この間、セブは控室で待ってくれていた。オーディションは大成功で、ミアはストーリーテリング(storytelling)を高く評価された。

音譜 “Audition(The Fools Who Dream)”scene :



オーディションが終わり、かつて二人が訪れた坂~“A Lovely Night”で二人が初めて歌い踊ったグリフィス・パークの坂道~で、セブとミアが会話を交わす。セブはミアに「どうだった?」と聞くと、ミアは「自信ないけど上手くやれた」と言う。
セブ「君は必ず合格するよ。そうしたら、パリに行かなければならない。けれど、僕はLAに残って自分の夢を追うよ。離れても、ずっと愛している」
ミア「私もずっと愛しているわ」
しかし、離れ離れの生活では、その永遠の誓いも虚しいものだった…。

宝石白 “I'm always gonna love you ” :


【エピローグ・5年後の冬】 5年経ち、ミアは有名女優になっていた。もう結婚して可愛い娘もいた。しかし、夫はセブではなかった。ある日、ミアは夫と二人でハリウッドのイベントに出かけ、その帰り道、渋滞に巻き込まれハイウェイを降りて、街中でディナーを摂ったあと、車に乗り込もうとした矢先、どこからともなく流れてくるジャズ。ジャズ・バーの入り口には、以前ミアがセブのためにデザインしたロゴ「SEB'S」が掲げられていた。ミアは「もしや…」と思い、夫と一緒にバーの中に入り、セブがいるかどうか見渡す。セブは自分の夢であったジャズ・バーを経営していた。二人はずっと音信不通になっていたのだ。ミアと夫が席に着くと、ステージにセブの姿があった。セブがこれからピアノソロを演奏するところだった。ミアとセブの目が合う。内心驚くセブだったが、まるでいつかは来るとわかっていたかのように、すぐに気を取り直して淡々とした表情で「Welcome to Seb’s」と挨拶し、ピアノの前に座る。セブはミアが最初に惚れ込んだ曲(“Mia & Sebastian's Theme”)を弾き始める。曲の始まりと共に、セブとミアのアナザーストーリー~二人の出会いから現在までの{もう一つの過去}=「二人が結ばれていた世界」~が、映画を振り返る走馬灯のように描かれる(“Epilogue”)。
曲が終わり、ミアは夫と静かに席を立ち、出口に向かう。振り返るとセブと目が合う。二人は何もかも理解するように、互いを見つめ合い、互いに微笑するのだった―。

音譜 “Epilogue”scene (Expectations and Reality) :


▼特別映像



▼ Ryan Gosling and Damien Chazelle at La La Land Japan Premiere :
(本作のプロモーションのため、主演のライアン・ゴズリングと監督のデイミアン・チャゼルが来日→2017年1月26日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催されたジャパンプレミアに登壇。At the opening of Japan Premiere, Japanese dancers recreated the dance sequence of La La Land to welcome them.)



[※追記(2017/11/17):2017年11月16日(木)、本作を目黒シネマで、19:30~再見(『セッション』と2本立て上映)]
2017年2月23日(木)吉祥寺オデヲン(東京都武蔵野市吉祥寺南町2-3-16、JR吉祥寺駅東口徒歩1分)で、17:10~鑑賞。

作品データ :
英題 In This Corner of the World
製作年 2016年
製作国 日本
配給 東京テアトル
上映時間 126分

日本公開 2016年11月12日

第二次大戦下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前向きに生きていく女性すずの日常を描いた、こうの史代の同名コミックを、『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直監督がアニメ映画化。能年玲奈から改名した「のん」が主人公すず役でアニメ映画の声優に初挑戦。公開後は口コミやSNSで評判が広まり、15週連続で興行ランキングのトップ10入り。第90回キネマ旬報ベスト・テンで『となりのトトロ』以来となるアニメーション作品での1位を獲得するなど高く評価され、第40回日本アカデミー賞でも最優秀アニメーション作品賞を受賞。

ストーリー :
主人公の少女すずは、のんびりとした性格の少女。広島市に生まれ育ち、兄、すず、妹の三人兄弟。しっかり者の兄からはいつも鈍いと怒られてばかりだったが、実はすずは手先が器用で絵を描くのが得意だった。鉛筆が握れないほど小さくなるまで絵を夢中になって描いているような少女時代を過ごした。ある日、北条周作という青年が父親と共に呉から広島市のすずの実家に訪れる。幼少時代に、すずと一度会ったことがあり、その際に一目惚れをし、結婚を申し込みに来たのだった。すずはあまり気乗りはしていなかったものの、周りの勧めもあり、呉へと嫁ぐことを決める。嫁ぎ先の北条家では優しい父、病弱な母、周作、すずの4人で過ごしていたが、途中から周作の姉である径子が娘の晴美を連れて戻ってくる。嫁ぎ先の義実家とうまくいかず戻ってきたという。径子はすずとまさに真逆な性格でテキパキと行動し、鈍臭いすずには絶えず小言を言っていた。しかし、娘の晴美とすずはとても仲が良く、二人でよく遊んでいた。戦時中のため、決して裕福な生活とは言えなかったが、晴美は軍艦が好きだったので、すずが軍艦の絵を描いてあげるなどささやかに楽しい生活を送っていた。次第に空襲警報も増え、呉も空襲に怯えながら防空壕に逃げ込む回数も増えていった。そんな中、義父が空襲のせいで怪我をしてしまう。すずと晴美は、義父のお見舞いに病院に行くが、その帰り道にまた空襲警報が鳴る。近場の防空壕に飛び込み、すずは晴美を勇敢に守っていたが、防空壕から出た直後、埋もれていた不発弾に晴美が被弾してしまい死んでしまう。すずも、晴美と繋いでいた右手を失ってしまう。大切にしていた晴美と右手を同時に失った喪失感、晴美の母親である径子から責められる日々で、すずは死にたくなってしまう。空襲警報が鳴っても外にいたところ、周作がすずを見つけ、命がけで守ってくれる。広島に帰ろう、そう思っていた頃、広島市に原爆が投下される。原爆投下から数日が経ち、広島市の様子を見るために広島市に周作と共に帰省するが、そこには変わり果てた故郷があった。そのとき、右手がないすずを見て、少女が母親だと思い込み近寄ってきた。すずと周作は、戦争孤児になってしまった少女を引き連れて呉へと帰り、新たな生活を始めようとする―。

▼予告編



▼ cf. NHK クローズアップ現代+「“この世界の片隅に” 時代を超える平和への祈り」(放送日時:2017年1月12日22:00~22:25) :
【63館という小規模の上映にもかかわらず観客動員ランキングでベスト10入りを続ける異例の大ヒットになったアニメ映画『この世界の片隅に』。原爆投下に至るまでの戦時下の広島の日常を一人の若い女性の目線で描いた映画は、老若男女を問わず、見る者の心を揺さぶり、その共感の輪はSNSなどを通して広がり続けている。なぜ戦時下の日常を描いた作品が今を生きる人々の心を打つのか。番組では、映画が投げかけるメッセージを読み解きながら、この映画が現代社会に照射するものを見つめていく。】