映画『アンデスの花嫁』 | 普通人の映画体験―虚心な出会い

普通人の映画体験―虚心な出会い

私という普通の生活人は、ある一本の映画 とたまたま巡り合い、一回性の出会いを生きる。暗がりの中、ひととき何事かをその一本の映画作品と共有する。何事かを胸の内に響かせ、ひとときを終えて、明るい街に出、現実の暮らしに帰っていく…。

2019年9月24日(火)ラピュタ阿佐ヶ谷(東京都杉並区阿佐ヶ谷北2-12-21、JR阿佐ヶ谷駅北口より徒歩2分)~特集「戦後独立プロ映画のあゆみ PARTⅡ」~で、16:20~ 鑑賞。

「アンデスの花嫁」⑴

作品データ
英題 Bride of the Andes
製作年 1966年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 103分

日本初公開 1966年9月23日

「アンデスの花嫁」⑵
「アンデスの花嫁」⑶
「アンデスの花嫁」⑷

南米ペルー・アンデスでオールロケを敢行した、『ブワナ・トシの歌』の羽仁進監督(1928~)によるセミドキュメンタリー・タッチの野心作。写真だけの見合いでペルーへと嫁いできた日本人女性が、現地の人々の生活のなかに根を下ろし、次第に雄大なアンデスの未来に同化していく姿を描く。キャストについては、プロの俳優が左幸子(1930~2001)と高橋幸治(1935~)のみで、他はすべて現地人が起用されている。

ストーリー
タミ子(左幸子)は先夫の幼い息子を連れて、アンデスの高地に暮らす上田太郎(アンセルモ福田)のところへ、写真だけの見合いで嫁いできた。そして、近くにインカの古城が聳え、中世風の石を積み上げた段々畠の遺跡のある小さなインディオ集落~ケチュア語を話すインカの末裔であるインディオたち~の中で、タミ子の新しい生活が始まる。太郎の父は、不毛の地を開拓して南米の農業に貢献した日本人の一人だった。だが、太郎は名門の子孫キスキス(ドン・マテオ)と共に、父とは別な方法を考えていた。アンデスの山奥に埋蔵されているはずのインカ帝国の財宝を発掘し、それで再びインディオの文明を栄えさせようというのだ。タミ子はそんなことよりも、もっと地道な方法を尽くした。貧しい土地のために多収穫をもたらす種を近くの日本人開拓者集落からもらってきて、せっせと働くのだった。その集落には佐々木(高橋幸治)という若い男がいて、タミ子には親切にしてくれた。ある日、太郎が財宝探しに出たまま長い間行方不明になった。タミ子はその間に太郎の子を生む。そして半年過ぎた頃、今では雑貨屋をやって、村では貴重な存在になったタミ子のところへ太郎が帰ってきた。財宝のある場所を見つけたのだ。やがて発掘隊が編成され、財宝は掘り出された。だが、太郎は2000年前の古い遺跡が崩れた時、その下敷きとなり命を落としてしまう。タミ子はその悲しみの中で太郎の遺志を守り、インディオの繁栄のために尽くそうと誓った。タミ子は財宝をペルー国家に収め、多額の賞金を受け取る。その金で、いろいろなことができるとタミ子の胸は弾んだ。良質の種を手に入れることや、待望の水を引くこと…。佐々木は今やタミ子が、インディオの未来を拓く女に変貌していることに驚きの目を見張った。そして、アンデスの未来は明るく輝いていると思うのだった―。