映画『アド・アストラ』 | 普通人の映画体験―虚心な出会い

普通人の映画体験―虚心な出会い

私という普通の生活人は、ある一本の映画 とたまたま巡り合い、一回性の出会いを生きる。暗がりの中、ひととき何事かをその一本の映画作品と共有する。何事かを胸の内に響かせ、ひとときを終えて、明るい街に出、現実の暮らしに帰っていく…。

2019年9月20日(金)新宿ピカデリー(東京都新宿区新宿3-15-15、JR新宿駅東口より徒歩5分)で、15:30~鑑賞。

「アド・アストラ」

作品データ
原題 AD ASTRA
[タイトルの“ad astra”(アド・アストラ)は、「to the stars」(星に向かって)を意味するラテン語。]
製作年 2019年
製作国 アメリカ
配給 20世紀フォックス映画
上映時間 123分


ブラッド・ピット率いる製作会社「PLAN B」が手掛け、ピット自身が主演を果たすスペース・アドベンチャー。父に憧れ宇宙飛行士になった主人公が、太陽系の彼方に消えたと思われていた父の謎を追う姿を、静謐な映像美で描く。監督は『エヴァの告白』のジェームズ・グレイ。主人公の父役にトミー・リー・ジョーンズほかリヴ・タイラー、ルース・ネッガ、ドナルド・サザーランドらが共演。

本作の筋は、父を探索する旅の展開を含む古代ギリシアの叙事詩「オデュッセイア」と、その影響を受けた『2001年宇宙の旅』(1968年)や『地獄の黙示録』(1979年)の流れを汲む。さらに、衛星軌道上での重大事故で幕を開ける『ゼロ・グラビティ』(2013年)、地球を救うミッションに旅立つ『サンシャイン 2057』(2007年)、引退した高齢宇宙飛行士が駆り出される『スペース・カウボーイ』(2000年)、海王星で消息を絶った宇宙船の救助に向かう『イベント・ホライゾン』(1997年)、宇宙空間に隔てられた親子がメッセージを伝えようとする『インターステラー』(2014年)等々、宇宙を舞台にしたハードSF映画を想起させる要素が満載。

ストーリー
時は近い未来。宇宙飛行士ロイ・マクブライド(ブラッド・ピット)は、地球外知的生命体の探求に人生を捧げた科学者の父クリフォード(トミー・リー・ジョーンズ)を見て育ち、自身も宇宙飛行士の道を選ぶ。
しかし、父は探索に出発してから16年後、太陽系の遥か彼方~地球から43億キロ離れた海王星付近~で消息を絶ってしまう。
時が流れ、エリート宇宙飛行士として活躍するロイに、軍上層部から「君の父親は生きている」という驚くべき事実がもたらされる。さらに、父が進めていた初の太陽系外有人探査計画、通称「リマ計画(Lima Project)」が、太陽系を滅ぼしかねない危険なものであることが分かり、ロイは軍の依頼を受けて父を捜しに壮大な宇宙空間へと旅立つ。
父の“謎”を追いかけて、使命に全身全霊をかけた息子が見たものとは─?

▼予告編



▼本作で初の宇宙飛行士役に挑んだブラッド・ピット(Brad Pitt、1963~)の来日記者会見 :
[2019年9月20日より本作の日米同時公開を前に、9月12日に日本科学未来館(東京都江東区)で、本作の製作・主演を務めたブラッド・ピットが来日記者会見に臨んだ。アジアで本作の記者会見が開催されたのは日本が唯一。そのため、この日はアジア各国からも記者が集結する貴重な会見となった。メディアからの質疑応答の後、特別ゲストとして元宇宙飛行士の毛利衛山崎直子を迎えてのトークもあり、ピット自身が「ちょっと質問してもいい?宇宙から見た地球の感想は?」「もう一度宇宙に行きたい?」と、“本物”の2人に興味津々で質問し、会場を盛り上げていた。]