
作品データ :
原題 牯嶺街少年殺人事件
英題 A Brighter Summer Day
製作年 1991年
製作国 台湾
配給 ヒーロー
上映時間 188分

1961年6月に台湾で実際に起こった、14歳の中学生男子による同級生女子殺人事件をモチーフにした青春叙事詩。不良少年同士の抗争、エルヴィス・プレスリーに憧れる少年の夢、大陸に帰りたいと願う少年の親世代の焦りと不安を描きながら、戦後新たに生まれ変わろうとする当時の台湾の社会的・精神的背景を浮き彫りにしていく。『海辺の一日』『恐怖分子』など台湾ニューウェイヴ映画界の旗手として知られる楊徳昌(エドワード・ヤン、1947~2007)監督の長編第4作目であり、日本における彼の初の劇場公開作。第4回(91年)東京国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門審査員特別賞、国際批評家連盟賞受賞。
日本では188分バージョンが1992年4月に、236分バージョン(完全版)が同年6月に、それぞれ劇場公開。ビデオリリースは236分版のみで、98年3月のリバイバル上映(配給:シネカノン)では188分版が上映された。高い評価を受けながらも、日本での興行は惨敗!その上、配給とソフト発売元となったヒーロー・コミュニケーションズの95年の倒産により、一時は上映や再ソフト化が困難と言われていた。だが、マーティン・スコセッシが設立したフィルム・ファウンデーションのワールド・シネマ・プロジェクトと米国のクライテリオン社の共同で、オリジナル・ネガ(完全版)より4Kレストア・デジタルリマスター版が製作され、2016年にはクライテリオン社よりブルーレイとDVDが発売された。そして、エドワード・ヤンの生誕70年、没後10年となる2017年3月11日に、日本では約25年ぶりに「4Kレストア・デジタルリマスター、236分版」の劇場公開が実現(配給:ビターズ・エンド)。それに先立って2016年10月25日から開催された第29回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門でプレミア上映された。
ストーリー :
1949年、中国大陸での国共内戦に敗れた国民党政府は台湾に渡り、それに伴って約200万人が台湾へと移住した。1960年、そのように移住した張家の次男・小四(シャオスー)(張震=チャン・チェン)は、建国高校昼間部の受験に失敗して中学の夜間部に通っており、“小公園”と呼ばれる不良少年グループに属する王茂(ワンマオ)、飛機(フェイジー)、滑頭(ホアトウ)らと同級生だった。小四はある日、怪我をした小明(シャオミン)(楊静恰=リサ・ヤン)という少女と保健室で知り合う。彼女は小公園グループのボス、ハニーの彼女という噂だ。ハニーは対立する“217”グループのボスと小明を奪い合い、相手を殺して台南へ逃げたという。ある時、小四は小明と一緒にいたと217グループに因縁をつけられるが、最近小四のクラスに転校してきた軍の指令官の息子・小馬(シャオマー)がひとりで助けてくれた。小四は小明へのほのかな愛情や、小馬との友情を育んで日々を過ごしていく。小四の兄・老二(ラオアー)は優等生だが、たちの悪い友人“葉っぱ”と一緒に217グループのたまり場のビリヤード店に出入りするようになっていた。葉っぱはコンサートを開いて一儲けしようと企んでいたが、ビリヤードで負けがこみ217グループの現ボス、山東(シャンドン)に脅され、彼を、中山堂を管理する父親の権力を笠に着た滑頭に引き合わせることになる。山東は歌に夢中になっているハニーの弟・二條(アーティアオ)を出し抜き、滑頭に小公園グループをまとめさせ、さらに自分がそれを牛耳ろうという腹づもりでいた。そんな頃、ハニーが帰ってくる。50年代のアメリカン・ポップスに沸き立つコンサート当日の会場に彼はやって来て山東と和解しようとするが、山東は走り来るトラックの前にハニーを突き飛ばして殺してしまう。小明はショックで寝込み、小四は台湾人ヤクザとともにハニーの仕返しに行く。山東は殺された。その晩帰宅すると、小四の父は共産党との関係を問われ秘密警察に呼び出されていた。ある日、小四は小明とのつきあいを注意されてかっとなって反抗し、退学になる。彼は昼間部への編入試験を目指して勉強するが、滑頭から小明と小馬の仲を告げられる。小明は失業中の母をお手伝いに雇ってもらい、小馬の家に住み込んでいた。下校時の小馬を脅そうとして小四は学校へ行くが、小明に会い、話しているうちに自分でも分からぬまま小明を刺し殺してしまう…。
▼予告編
▼ Trailer