映画『永遠のジャンゴ』 | 普通人の映画体験―虚心な出会い

普通人の映画体験―虚心な出会い

私という普通の生活人は、ある一本の映画 とたまたま巡り合い、一回性の出会いを生きる。暗がりの中、ひととき何事かをその一本の映画作品と共有する。何事かを胸の内に響かせ、ひとときを終えて、明るい街に出、現実の暮らしに帰っていく…。

2017年12月4日(月)新宿武蔵野館(東京都新宿区新宿3-27-10 武蔵野ビル3F、JR新宿駅中央東口から徒歩2分)で、18:40~鑑賞。

作品データ
原題 DJANGO
製作年 2017年
製作国 フランス
配給 ブロードメディア・スタジオ
上映時間 117分




ロマ(ジプシー)の血を引く伝説的ジャズギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトの実録ドラマ。ナチス・ドイツがパリを占領下に置き、ジプシー狩りを進める中で生きてきた彼の生きざまを見つめる。主演は『アランフエスの麗しき日々』のレダ・カテブ、共演に『ヒア アフター』のセシル・ドゥ・フランス。監督は『大統領の料理人』『チャップリンからの贈りもの』などの脚本を手がけ、本作が監督デビューとなるエチエンヌ・コマール。

ストーリー
1943年、第二次世界大戦中、ナチス・ドイツ支配下のフランス。ジプシー出身のギタリスト、ジャンゴ・ラインハルト(レダ・カテブ)は、パリで最も華やかなミュージックホール、フォリー・ベルジェールに出演、その華麗なパフォーマンスで毎晩のように満員の観客を沸かせていた。会場にはジャンゴの愛人ルイーズ(セシル・ドゥ・フランス)の姿もあった。そんな中、彼の才能に惚れ込んだナチス官僚がドイツでの公演話を持ちかけてくる。ベルリンのコンサートには宣伝相のゲッベルスが来場し、ヒトラー総統も来るかもしれないという。自分がナチスのプロパガンダに利用されようとしていることも意に介さないジャンゴは、「俺たちジプシーは戦争などしない。俺はミュージシャンで演奏するだけだ」とうそぶくが、ドイツ軍の動向に精通しているルイーズは、フランスの国内外でジプシーへの弾圧が行なわれている事実を伝え、家族全員でスイスへ逃亡するよう促す。ルイーズの説得によって事の重大さを知ったジャンゴは、年老いた母親ネグロス(ビンバン・メルスタイン)、妊娠中の妻ナギーヌ(ベアタ・パーリャ)を伴いスイスと国境を接するトノン=レ=バンに移り住む。レマン湖畔の空き家を借りたジャンゴ一家は、近くにあるジプシーのキャンプで親戚に歓待され、心安らぐひとときを過ごすが、この地もドイツ軍の支配下にあった。船でスイスに渡る計画は先送りされ、ジャンゴは過酷な現実に直面する。ドイツ軍と警察によってジプシーの活動は厳しく制限、食料などの生活物資も乏しい。やむなくジャンゴは、食いぶちを稼ぐために即席バンドを結成し、素性を隠して地元のバーで演奏を始めるが、ずっと可愛がっていた猿のジョコが何者かに殺されてしまう。さらにドイツ軍に住みかを徴収され、ジプシーのキャンプに身を寄せる羽目になる。そんな折、バーでドイツ軍の取り締まりを受けたジャンゴは、司令部に連行され、近々催されるナチス官僚が集う晩餐会での演奏を命じられる。ジャンゴの身を案じてやってきたルイーズも「お願いだから弾いて。逆らえないわ」と告げるのだった。警察から公道の往来とキャンプを禁じる通達が出され、ジプシーへの迫害が激しさを増すなか、一人の神父と知り合ったジャンゴは、彼の勧めに従い、教会のパイプオルガンを使って作曲に勤しむ。そこでジャンゴが奏でる音色には、理不尽に虐げられるジプシーの苦悩と哀しみが色濃くにじんでいた。やがてジャンゴは、レジスタンスの男女から、晩餐会の夜、負傷したイギリス人兵士をこっそりスイスへ逃がすよう依頼される。ドイツ軍の目を逸らすため、ジャンゴに晩餐会で演奏を行なってほしいという…。

▼予告編