感情消化メソッドは、完全なオリジナルではなく、複数の心理療法を参考に組み合わせたものです。
今回は、その元になっている療法を紹介しながら、なぜこの形になったのかを解説します。
感情消化メソッドの手順は、私自身が実践を通して組み立てたものですが、
すべてをゼロから作ったわけではありません。
それぞれの要素は、すでに効果が確認されている心理療法からヒントを得ています。
今回は、
「このメソッドがどんな考え方に基づいているのか」
「なぜこの組み合わせになっているのか」
を整理してお伝えします。
それによって、少しでも安心して取り組んでいただけたら嬉しいです。
― 暴露療法とCBTの考え方 ―
まず、トリガーにあえて意識を向けるという考え方は、
主に「暴露療法」にヒントを得ています。
暴露療法は、不安症やパニック症、強迫症、PTSDなどに対して使われる療法で、
あえて不安の対象に向き合うことで、反応に慣れていく方法です。
これらの症状には、扁桃体の過活性や脅威反応が関係していると考えられています。
未処理感情が再び動き出すときも、
同じように扁桃体の反応が関わっていると考えられます。
そのため、 「トリガーに触れることで反応が再開する」という点において、
共通の構造があると捉え、この方法に取り入れています。
また、普段からトリガーをメモするという習慣は、
CBT(認知行動療法)の「自動思考の記録」を参考にしています。
― マインドフルネスと身体志向のアプローチ ―
次に、「感じ切る」というプロセスは、
マインドフルネスの実践に近いものです。
このメソッドでは主に、
- RAIN(気づく・受け入れる・探る・距離を置く)
- ボディースキャン
といった手法をベースにしています。
そこに、私自身の実感として重要だった
「感情や身体感覚が収束するまで観察を続ける」という要素を加えました。
もともとはセドナメソッドから始まりましたが、
試行錯誤の中で、
- マインドフルネス
- フォーカシング
- EFT
などを試し、結果的に自分に最も合っていた形が、
現在の「感じ切る」という表現になっています。
もちろん、人によっては別の方法の方がしっくりくる場合もあります。
ここは、自分に合う感覚を大切にしてもらえば大丈夫です。
― ザ・ワーク(バイロン・ケイティ) ―
「問い直し」は、バイロン・ケイティの「ザ・ワーク」をベースにしています。
このメソッドでは、 問い直しをシンプルにした代わりに、
「感じ切る」と組み合わせているのが特徴です。
単に考えを変えようとするのではなく、
問いによって生まれる身体感覚の変化を観察することで、
- 思考のリアリティが緩む
- 別の見方が自然に浮かぶ
という形で作用していきます。
ここまで紹介したそれぞれの療法は、どれも優れたものです。
ただ、私自身は、
単体で取り組むと次のような難しさを感じていました。
- 効果の実感が分かりづらい
- 上達しているかが見えにくい
- モチベーションが続きにくい
そこで、
- トリガーで再開させる
- 感じ切ることで収束させる
- 必要に応じて問い直しで緩める
という流れに統合しました。
この形にしたことで、
- 「反応しなくなっていく」という変化で改善度を実感しやすい
- 気分の変化がモチベーションにつながる
- 自分のレベルに応じてトリガーを選べる
という特徴が生まれました。
また、暴露療法では「慣れる」ことが中心になりますが、
「感じ切る」を併用することで、よりスムーズに反応が収束していく実感がありました。
このメソッドは、
無理に強い感情を引き出すものではありません。
大前提として、
- 「今感じられる範囲」で行う
- トリガーは自分で選ぶ
という形にしています。
そのため、
- 強すぎる反応を避けながら進めることができる
- 自分のペースで段階的に取り組める
という意味で、比較的安心して続けやすい方法になっています。
感情消化メソッドは、
特別に新しい理論というよりも、
既存の心理療法の「うまく機能する部分」を組み合わせて、
実践しやすい形に整理したものです。
もし取り組む中で、
- マインドフルネスの方がやりやすい
- 別のアプローチの方が合う
と感じた場合は、それを選んでいただいて問題ありません。
大切なのは、方法そのものではなく、
「感情や身体感覚の処理が自然に進むこと」です。
そのための一つの選択肢として、
このメソッドが役に立てば嬉しいです。
今後の記事として検討させていただきます。
