前回の記事で触れた「禁止令・ラケット感情・本来の感情・ドライバー・人生脚本を変えようとしない」という話は、心理的柔軟性と深く関係しています。

 

今回はその重要なポイントを改めて詳しく説明します。


あわせて、現代社会は生きづらさを生みやすい要素があると思いますので、それについてもお話しします。

 

 

 

考え・感情に良いも悪いもない

禁止令やラケット感情、ドライバー、人生脚本は、時に不都合に働くことがありますが、状況によっては役立つ場合もあります。

 

例えば、「自分の意見を言ってはいけない」という禁止令は、多くの場合不都合に働きますが、時には意見を控えた方が良い場面もあります。

大切なのは、状況に応じて柔軟に選択できることです。

 

これが「心理的柔軟性」です。

 

考えや感情を「嫌がる」「消そうとする」「変えようとする」ことは、すべて回避行動です。

また、何かを強く身につけようとすると、それがドライバーとなり、行動を縛る要因になります。

 

つまり、特定の考えや感情を捨てようとするのも、握りしめるのも選択肢が減り、心理的柔軟性を下がりますから、生きづらさの要因になります。

 

 

自覚して、選択する

 

特定の考えや感情が悪いのではなく、無自覚に影響を受けることで不都合が生じます。

まずは、無自覚ではなく自覚する、つまり「気づく」ことが重要です。

 

考えや感情に気づいたら、それをただの現象として客観的に観察します。

ただな現象として観察できるようになると、良いも悪いもなく、ただの現象として受け止められるようになります。

これが「距離をとる」ということです。

 

ACTやマインドフルネスでは「脱フュージョン」や「非同一化」と呼び、RAINという手順で教えられています。

  • Recognize(認識する)
  • Accept(受け入れる)
  • Investigate(観察・検証する)
  • Non-Identification(同化しない、距離を取る)

RAINの詳細は「RAIN:感情を整える方法」を参照してください。

 

この手順を踏むことで、状況に適した健全な判断や言動を選択しやすくなり、心が自由になって心理的柔軟性が高まります。


「感情や考えから距離を取る」ということ

この「感情や考えから距離を取る」というのが、分かりづらいかもしれないので、別の視点でも説明もしましょう。

実は、私も心の勉強を始めた頃は、この「距離を取る」が、なかなか理解できなかったのです。

感情や考えについて、「①変えようとする」「②現象として客観的に観察する」では、感情や考えの捉え方が違います。

①は、「自分の一部」とか、「自分の特性」で「変わりづらいもの」と捉えています。
②は、「自分とは別の現象」で、「変わるもの」・「変えられるもの」と捉えることになります。

マインドフルネスでは、①を同一化(フュージョン)、②を非同一化(脱フュージョン)と言います。

感情や考えから影響を受けるかどうか選べるようになるには、②が必要になります。
また、②ができるようになると、ただの現象ですから、必要がなくなると勝手に消えてくれます。

この自分の心で起きていることを客観的に観察したり(メタ認知と言います)、影響を選べるのは人間だけで発達した脳の前頭前野の働きです。

そして前頭前野の力を上手く使うスキルは、マインドフルネスが詳しく教えてくれます。


生きづらい心に誘導する社会


少し話が逸れますが、現代社会では生きづらい心に誘導する要素が増えていらので、それについてお話しします。


昨今、ハラスメントへの過剰な反応や、コロナ以降の衛生面への強迫的な意識が強まっていますね。

※強迫的:気になって仕方が無いこと

 

会社内ではハラスメント防止の研修や通達が増え、誰もが注意せざるを得なくなり、ますます強迫的になっていきます。

これは禁止令やドライバーと同じような働きをします。

 

また、SNSで他人の楽しそうな情報が共有されることで、「人生を充実させなければ」「楽しまなければ」という気持ちになりやすく、これもドライバーを育てやすくなります。

 

かと言って、このような社会を憂うのは、回避行動になり、心理的柔軟性を下げます。


重要なのは、社会から無自覚に影響を受けないように「気づき」、「距離を取る」ことだと思います。

 

 

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