なつひさお(なやみ/つかれ/ひま/さみしさ/おなかへった・お金がない)。
なつひさおという頭文字をつなげた人名のような呪文のような言葉があります。浦河べてるの家の当事者研究から生まれた、調子を崩すきっかけの頭文字です。
私は、「調子が悪い」と訴えがある場合、このきっかけを当てはめてリサーチします。「朝ご飯食べた?」と訊くと、とても高確率で昨日から食べていなかったりします。食事の用意が億劫、という所からはじまって空腹から悲壮感が入り込んで来て、朝から調子が悪いという悪循環が多いのです。それがリサーチ出来たら、私は「自分の身体のために、ご飯食べさせてあげて」と声かけします。ご飯を食べたら思いのほか元気が戻って来るようです。
ひまやさみしさ、ということも多いような気がします。そういうときは、一緒に今日出来る余暇活動を考えます。音楽を聴くという対処が元気の素になる方は多いです。
べてるの家の当事者研究では、なつひさおというきっかけ集に対して対処法集となる、たなかやすお(たべる/なかまに相談/やすむ/お金をおろす)(注:項目分けには諸説あり)という言葉もあります。どこかの政治家の名前のようですが、お腹が減っていたら食べる、などシンプル・イズ・ベストながら効果てきめんな対処法集です。
調子が悪いという訴えがあった時点で、なかまに相談、という対処が本人には出来ているのですから、訴えがあったときにすぐ私は、相談という自己対処が出来ていることがすごいよ! と存分に褒めます。そのとき、みんなの生きる意欲をかいま見た気がして、私は心から褒めたくなって言葉に出します。
障害当事者をやっていると、病気に鍛えられてか、自然と自己対処のスキルを身につけているものです。そのアイデアを聴かせてもらうことは私にとってもプラスです。自己対処のスキルを既に持っている人、という視点で仲間を見ることは、隠れている対処法を共に発見していくために、とても重要な基本の立ち位置です。
(katsuko)