映画 「死にゆく妻との旅路」 | 寛容&忍耐

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 奥さん孝行”をしているだろうか~? 
一体、生きていて何が本当に幸せ”なのか~?
 
「死にゆく妻との旅路」という映画が、先月下旬より上映されています。
 
         原 作 清水久典 (死にゆく妻との旅路)(新潮文庫)
         監 督 塙幸成
        主 演 三浦友和   石田ゆり子
                
                写真はネットからです。
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この映画は石川県の能登で実際にあった話をもとに制作されました。
 
1999年12月、北陸の田舎町で一人の初老の男が逮捕されました。
 
罪状は、保護責任者遺棄致死罪。
 
男は、末期癌の妻と車に乗り込み、
 
9ヶ月もの間、6,000キロに及び、日本各地を彷徨しました。
 
 
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原作者(新潮文庫)の清水久典さんは、
 
石川県七尾市で縫製工場を営んでいました。
 
しかし、バブル崩壊後、事業の失敗や保証人問題により
 
4,000万円を超える借財を背負っていました。

 
金策と職探しの為に、家を出ようとする清水さんに、11歳下の妻ひとみ”さんは食い下がり、
 
夫婦は、なけなしの50万円を手にワゴン車で故郷を後にしました。
 
 
清水さんは典型的な日本の父、仕事一筋の人生でした
 
家庭を顧みず、事業に没頭しました。
 
 
一人娘がおり、お互いをオッサン、お母さん、と呼び合っていました。
 
そんな二人が、突如狭い車内で24時間見つめ合いながら、
 
日本各地をあてどなく放浪する事になりました。
 
 
誰からも必要とされない平凡な名もなき中年夫婦、
 
職探しの旅はやがてお互いを発見する旅へと変えて行きました。
 
 
しかし、ひとみさんは病院で治療することなく、放浪先で夫が看取る形で亡くなりました。
 
 
ひとみさん自らが、お金もない、どうせ治らないのなら、
 
オッサン”と何時までも、一緒にいたいと望みました。
 
その死は、一面でひとみさんが望んだようにも思います
 
 
それ故に、清水さんはそれまでの至らなさを、こうした放浪ともいえる車生活に
 
妻の人生の終焉を共にし、その責めを果たした?のでした。
 
 

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しかし、事件が報じられた当時は、保護者遺棄致死罪”というには、
ちょっと考えさせられる問題を提起しました。
 
そして、
バブル崩壊後の縮小経済の中で、
国内の繊維産業の衰退、
中小企業の厳しい経営状態、
お金(物質的豊かさ)と夫婦の有り様、
人が生きるとは、
人生とは? など数々の命題を提示しました。

 
私は原作者を知っていただけに、考えさせられる事件(話)でした。
 
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昨年春に、金沢市内で行われたランクアップパーティに出席しました。
 
塙幸成監督は、
 
夏の期間3週間、冬の期間1週間という、短時間の撮影であったと話しました。

そして、三浦友和、石田ゆり子さんが夫婦役を演じました。

パーティには、三浦友和さん、塙幸成監督が出席し、

塙監督は、愚かでも純粋に生きる姿を美しい映像と共に伝えたかった。

三浦さんは、清水さんの生き方は間違っていたとは言えないし、
 
でも、正しいとも言えない と、心の揺れをコメントしました。

石田さんはビデオメッセージで、”こんなに人を愛せるなんて素晴らしい”と、
 
女性として、妻として、事業に失敗して苦しむ夫への想いに、心を寄せました。

            (映画の一場面です。ネットからお借りしました)
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ひとみさんが最後を遂げた場所は、富山県氷見漁港です。
 
その漁港に車を止めて過ごしたそうです。
 
後部座席に横たわる妻のオムツを取り換える。
 
髪を切り、身体を拭く。
 
日に日に衰弱するひとみさんは、パジャマ姿で骨と皮となって旅立っていったという。
 
 
妻としての、願いは何だったんだろう、今でも考えさせられます。
 
でも、その願いは尊いものと思います。
 
世間の非難を受けようとも、清水さんはそういう生き方を選んだのです。
 
未だ、私自身も結論を得ることができません.。
 
知人を通じてこの話を聞いているだけに、何故かこの映画を見ることができません。
 
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ここ数年、石川県が舞台(ゆかり)の映画が、相次いで公開されています。
 
ゼロの焦点、能登の花嫁から
 
昨年末公開の加賀藩御算用者・猪山直之を描いた「武士の家計簿」(上映中)、
 
4月公開予定の「TAKAMINE~アメリカに桜を咲かせた男~」 です。
 
皆さんも是非、この「死にゆく妻との旅路」と、ともに観て頂ければと思います。