歌舞伎いまじナイト4_歌舞伎×ファッションのミラクル! | 歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

俳優、ダンサー、歌舞伎ライター関亜弓による大衆向日記です。

どんどん長くなります。ごめんなさい。
備忘録と今後のために長文残します。
あと二回です。
(もう一回あるんかい)

お次は「歌舞伎×ファッション」。
ファッションといっても、発端は別企画で、
今回超お世話になった久保田卓也さん
テレビや雑誌のお仕事で活躍されている方でした。
でも歌舞伎×ファッションにするからには、絶対歌舞伎衣裳で!と
思っており・・・
というのも、常々ファッション誌でなんで「歌舞伎コーデ」ってないのだろうと。
演劇コーナーでなく着回しとかブランドページでやったら面白いのになぁと
妄想を膨らませていたのと、今回この二人だったら絶対着こなしてくれるという
確信があったので、だめもとでお願いしました。

まさか「歌舞伎衣裳を現代風に、しかもかっこよくスタイリングしてください」
といわれるなんて思ってもみなかったようで笑(当たり前ですね)
でも私が心底目指していた「奇をてらったコスプレでない、歌舞伎スタイリングを」
という意味を(むちゃぶりにも関わらず)十分にくみ取ってくださり、
素晴らしいお仕事をしてくださいました。



そして完成したお二人がこちらです!
巳之助さん:連獅子(仔獅子の精)
→YO!YO!肉食系やんちゃライオン


この歌舞伎ならではの柄on柄を忠実に、しかもペイズリー柄で!

金襴緞子は金アクセサリーをがちゃがちゃつけることで表現。
そして
「歌舞伎ってよくできてる。何かが欠けるとバランスが崩れる。
たとえばこの衣裳だと顔がさみしくなっちゃう。だから
隈取の代わりにサングラス」とのこと。

そして白眉(赤毛だけど)なのが毛をパーカーで表したこと!
これはね、もう感動ですよ。だって安易に考えたら
毛だけを赤髪のかつらとかになるでしょ。そしたら
一気に獅子らしさがなくなっちゃうでしょ。
それを、やんちゃ繋がりでパーカーって!しかも
この毛、ちゃんと毛振りのパフォーマンスまで見越している。


目から鱗が出すぎてドライアイですわ。
そして巳之助さんのなりきり具合がもうさすがすぎて。
このまま獅子王(らいおんきんぐ)を即興劇でやっていただきたかったです。

新悟さんは来月は勢獅子でのお役である手古舞!

久保田さんにはスタイリングだけでなく、「ショー」としてもトータルプロデュースしてくださり音楽やウォーキングにも関わっていただきました。

音楽については「しんごちゃんは絶対テラスハウス!」と久保田さん。オープニング主題歌のテイラー・スウィフトで登場したのわかりましたか?

実は打ち合わせ時は手古舞がもっと忠実な置き換えで、
色の似ているチェックのステテコだったりしました。
これはこれで面白かったのですが、久保田さん的には
「もっとかっこよくしたい」ということで、本番前に全とっかえしてくださり、
こちらに!

「草食系専門学校生風手古舞」だそうです!確かに!

新悟さんの長身を生かしたスタイリングで、手古舞らしいチェックや
大柄を残しつつも現代人が着てもかっこいい合わせ方。
ちゃんとフィッティングして、納得いくまで考えるさすがプロ。

もう脱帽しすぎて頭皮みえちゃいます。

それからイベントの後に久保田さんがブログにて
下記のように感想をかいてくださったので引用して紹介させていただきます
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今回の体験を通じて一番驚いたのは、
「歌舞伎の衣装って、実は超高度なレイヤード(重ね着、色柄合わせ)技術のオンパレード」
 ってこと。

洋服の本場・欧米ですら、現代は無地中心で柄はアクセントに使う程度が主流です。色もハデな色はあくまでも“挿し色”としてベーシックカラーと組み合わせて使うのがメイン手法。そんな現代服で歌舞伎の衣装を再現しようとすると、異常なほど柄を多用しつつ、正反対のハデ色同士をガチンコで組み合わせ、それでも全体のバランスは崩さず絶妙にオシャレにまとめるという、とても高度なコーディネイトを強いられます。

そんな難しいコーデを、 大昔のそれも和服文化の日本人が組んでいたなんて、本当に目からウロコの発見でした。ふつうに歌舞伎を鑑賞してるだけでは全く気付きませんでしたが、気付いたからにはぜひもっとファッション業界に広めていきたいですね。ファッションの世界に何か新し楽しい影響を与えそう。

すごいなあ、歌舞伎。
というわけで、ファッション目線で思う“かぶき”とは。

「ド派手な服をこれでもかと全身に着まくるが、それでいて全体がとてもスタイリッシュにまとまるよう高度な計算とコーディネイトセンスをフル活用して自己主張をすること。」

これが『傾く(かぶく)』であり、そこには下品と紙一重の粋(いき)がある気がします。
単にガチャガチャとした派手さで終わるのはただの無粋、それをコーディネイトセンスで粋(いき)にまで昇華できるものこそが『傾き者』だったんじゃないかと。
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歌舞伎を俯瞰でみられる方から改めて歌舞伎のすごさを思い知らされることがある。


大成功!


獅子と手古舞の芝居、何かできないかな(笑)





何よりモデルであり、パフォーマーであったお二人にマメができるくらい拍手!!


こういう試みとか、挑戦とか、化学反応は今後も広く深くやっていきたい。

そのときに忘れてはいけないことは、古に学び、敬意をもって壊し、積み上げることだ。