衝撃すぎて席を立てなかった | 歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

俳優、ダンサー、歌舞伎ライター関亜弓による大衆向日記です。

という身体的な事情もあり、
私はその映像を二回みた。

「人間・人形 映写展」
3月9日土曜日まで(11:00-18:00)
表参道ギャラリー5610にて。入場無料。

詳しい情報が掲載されている頁
http://www.tokyoartbeat.com/event/2013/8129

今回は上記の情報を伝えて一人でも
多くの方に足を運んでいただきたいために
このそばカレー日記を書いたようなものです。
以下、備忘録として。

第一部「人形」

第二部「人間」

目や耳から情報が入っているのに
無。
座禅組んでる気分。

なのに気づけば
「エアー人形」の場面で涙が。
二回目の映像が始まる頃には
乾いていたのに、まったく同じ場面、
吉田簑助さんらの
「人形を用いない曽根崎心中」は
条件反射のように涙を誘った。

私は、文楽は歌舞伎と比べると
殆ど観ないので、今回も木ノ下先生に
教えてもらってフラりといったこの展覧会。

だから文楽について、語る知識もないのだけど、とにかく
素晴らしかった。

美しかった。

よく、写実的な絵画を見た人の感想が
「写真みたい」
というように

文楽人形の動きを
「まるで人間みたい」
というのとは、
少し違う気がした。

まるで独立した人間のように見えるから、感動するんじゃない。

それならば人形にだけ焦点をあて、
むしろ編集して取り出して見せればすむこと。それは文楽ではない。

人形と、それを支える人形遣いの存在が、
その深く刻み込まれた皺が、
心をとらえて離さなかった。


フォトグラファーの渡邉肇氏、
映像ディレクターの阿部公嗣氏がタッグを組み、文楽の世界を最新技術で見事に
再現した。

語りや三味線はもちろん文楽に欠かせない。
が、敢えて映像ということ、その世界観を
伝えるには、言葉を介在させないことが
非常に効果的だった。



とにかく、一人でも多くの人にみてほしい。
自国にこんな優れた文化があることとか、
本場関西でそれに気づけないトップもいる嘆かわしい現実とか、他のエンターテイメントと比較するのも無意味なこととか、
そういうこともとりあえずおいといて、
平に感じるだけでいい。