心地よいカオス | 歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

俳優、ダンサー、歌舞伎ライター関亜弓による大衆向日記です。

金大偉さんの主催するイベント
Spirits and Dreams Contemporary Music Live and Party2011
にダンスのゲストとして呼んでいただきました。

衣裳と詩の倉岡さん、朗読の徳富さんとの共同作業は
2回目ということもあり感覚がつかめたような気がします。
パズルだとしたらお二人に「枠」をつくってもらって、そこに自分の破片を詰めていく感じ。
でも前回と違ってソロではなくてデュオなので、用意していただいた枠に
自分と相手の破片を確かめつつはめていくという作業でした。

今回の「枠」は具体的にいうと、テーマが「男・女・都市」で
ひどく自由を奪われた衣裳とことばの中で踊るということ。

リハーサル期間も短く音と合わせられるのはゲネのときだったので、
踊りのほうも4分の1、、いや8分の1くらいを予めはめこんでおいて、あとは本番で。
ユニゾンつくったり、コンタクトを無意識にやったりと、なんというか
身体のブレストをしておいたおかげでなんとなく方向性がつかめ、
本番は枠の中で自由に楽しくやらせていただきました。

観にきてくださった方すべての人に感想を聞いたわけではないけれど、
面白かったという声を聞いてほっとしました。




踊るということは自分の中で簡潔も出来る。
でも自己完結な踊りはエクササイズかもしれないし、発表会ともいえるかもしれない。
自分という素材をそのまま提供するのではなく、
(それが魅力なダンサーもいるかもしれないけど)
パッケージを変えてみたり、何かとセットにしてみたり、
ミキサーにかけてみたり。そうやっていろんな実験をして
お客様がみたいと渇望する身体をつくらなくてはいけない。

自分をさらけ出すことは怖いし勘違いだけど、身体をコントロールできて
音と会場の空気を肌で感じながら動くことが出来れば、
それは独りよがりでない「求められた」踊りになるのだと思う。

いやはや、言語化することこそ野暮ですが。


終演後、観に来てくださった牧阿佐美バレエ団の坂梨仁美さんと
相方を務めてくださった大園君と話したとき、
「クラシックバレエの人は身体を労りすぎるし、
コンテの人は身体を労らなさすぎるよね(笑)」といっていて、
確かに~と盛り上がりました。
(ちなみにバレエの「労る」とは、怪我しないために型を守ることと、
ストイックに稽古するということです)

でも
時にケアしすぎたり、無意識に壊れてきた身体や
チャイコフスキーで鍛えられた耳も、ライヒに反応する身体も
ごちゃまぜにして作品に昇華したら楽しいだろうなぁ。と妄想した。

心地よいカオスを目指し、これからもっと体も耳も頭も
訓練していこうと思えたステージでした。

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