原作と似て非なるラストに思うこと④ | 世界一難しい恋の話

世界一難しい恋の話

2016年04月13日スタート
日本テレビ系列水曜22時
連続ドラマ「世界一難しい恋」の応援・感想ブログです。

昨日、「忍びの国」応援上映47都道府県制覇だわーい!! と喜んでいたのですが。

喜んでいるのは大野智ファンだけじゃありませんよ!!

 

 

 

おお! 利助と伝吾の中の人もTwitterで声援くれてル━━━━(゚∀゚)━━━━!!

こういったつぶやきを見てしみじみ思うのは、やはりこのSNS全盛期、主演がSNSで宣伝できない、というのは相当なマイナスなんだろうな……ということです。

SNSどころか基本ネットニュースでも顔出しNGで、たくさんの記事を書いていただいたのにそのほとんどに無門(と信雄)がいない!

確かにSNSというのは、何気ない一言が炎上騒動に発展したりなど諸刃の剣な一面があることは否定できませんが。

しかし「忍びの国」がここまでロングランを続けられているのも、ファンが一丸となって各映画館の応援上映や上映時間などの情報を拡散しつつ、好意的な感想で一般の方の興味を引こうという努力していることも絶対影響していると思うのですよ!

もし大野智がTwitterで自ら情報を発信してくれていたら……どうか事務所の方にはご一考頂きたい、とネットの片隅でつぶやいてみます。

 

さて、今日の話題。

 

長々と引っ張って来ていますが、「忍びの国」と原作と映画のラストの違いについて考えてみような記事です。

今日でこの記事は最終回です。この先、原作と映画のラストにがっつりと触れていますので、見たくない、知りたくない! という方はこの先を読まないようにお願いします!

 

それぞれのラストは一行で表せば「一度は伊賀から姿を消した無門が織田軍再来襲時に伊賀に戻って来て子ども(鉄orネズミ)を助けに戻って来た」と同じ文章になってしまうのですが、もう少し詳細を語ると大分印象が違います。

それぞれこんな感じです。

 

原作

鉄を助けた無門は2人で京に移住。鉄が鍛冶仕事で生計を立てる中、無門は毎日お国の墓参りのために数十キロの道のりを往復する日々を送っていた。

そんな中、伊賀滅亡の最中逃げ延びた文吾が修行僧の出で立ちで京に現れる。目的は無門に対する復讐。

橋の上ですれ違いざま無門と文吾の攻防が繰り広げられ――END

 

映画

長野軍に化けて伊賀滅亡の乱に潜入した無門は無事にネズミを助け出す。

無門はネズミの手を取って歩き出すがネズミはその手を振り払う。

それでも構わず歩いていく無門。その後ろをちょこちょこついていって、やがて自ら無門の手を取るねずみ。2人の行く先にはきらきら光る海が――END

(その後、無門はねずみを立派に育て上げたことがナレーションで語られる)

 

原作においては最後が曖昧に終わっています。

逃げ延びた文吾が伊賀滅亡は無門のせいだと恨み京まで追いかけて来て――その先の勝敗については不明ですが。文吾は後の石川五右衛門と明記されているので、史実通りなら30過ぎまでは生き延びているはず。

ということはこの戦いで少なくとも無門に殺されたはずがなく、では――でも文吾は戦いが好きで血を好む一種の狂人ですが、腕っぷしはさほどでもないので無門が簡単に負けるとも思えず。

恐らく無門が勝つには勝ったけど文吾を殺しはしない、という展開になったのでは? でも文吾の性格上、負けてそのまま引き下がるとも思えず――

つまり、この先も無門はいわゆる抜け忍として、ずっと命を狙われ続ける生活を送ることになっただろうな、と予想しています。

さらに言えば、助け出した鉄は鍛冶職人として立派に自立していますので、共に暮らしてはいるけど無門が守ってやるとか無門が育てたとかそんな関係ではなさそう。

 

対して映画は、本当に希望に満ちたENDだと思いました。

無門はとうとう、お国に夫婦を認めてもらうことができないまま、永遠のお別れとなってしまいましたけれど。

お国が気にかけていた子、ねずみを助けることで、その子が無門を「父」、お国を「母」と呼んでくれることで、本当の夫婦になることができたんだ……と実感した瞬間、涙腺決壊でした。

本来、抜け忍というのは結構な重罪で、その意味では原作の方が当時の雰囲気に合ったラスト、と言えるかもしれませんが。

愛する人を失ったのに、その後、何の救いもないまま終わったのでは、「忍びの国」がここまでロングランを続けることもなかったのではないでしょうか?

 

当初は、ラスト30分まで無門の顔が締まることはない、究極のラブストーリーという監督や共演者の言葉に、ばりばりのアクション映画を期待していた層からは若干不安視されていましたが。

無門が終始へらへらしていることで後半の怒涛のアクションシーンがより引き立っていましたし、お国さんが原作よりも母性が前面に出ていて、家族の温もりを知らなかった無門が全てを投げうってでも――とお国さんを求めたことにも大いに納得できました。

 

救いがあってよかった。

このラストでよかった。

無門とねずみが、その後、親子として穏やかな時間を過ごせたであろうこと、きっとねずみに新たな名を与えたであろうこと、毎日のようにねずみにお国さんのことを語っていたであろうこと、無門とねずみの中で、お国さんはいつまでも生き続けているであろうこと。

穏やかで優しい未来が思い描ける、そんな終わり方を選んでくれてありがとう、と、監督と脚本家の和田竜先生にお礼を言いたい気持ちでいっぱいです。