大学入試センターは、1月13日と14日に、2024年度大学入学共通テストを実施した。

 

その問題は新聞に掲載されているので、興味がある人はチェックすることができる。

 

この記事では、リーディングについて取り上げることにする。

 

なぜなら、リスニングよりもリーディングの方が平均点は低いこと(中間集計によると、リスニングは68.5点、リーディングは53.3点。いずれも100点満点)、そのことに「大人」の側の無茶な要求が分かりやすい形で表れていると思うからである。

 

現在の英語の問題(リーディング)は、昔の試験とは異なる。発音やアクセント、文法などの問題がなくなり、全て読解問題で構成されている。

 

そして、特徴的なこととして、多くの高校生にとっては、読解の文章量が膨大であろうということが挙げられる。

 

例えば、昨年の問題と比べても、問題文の単語の数が500語も増えており、センター試験の最後の年と比べると、何と1.8倍の量になっているという(<高校生新聞>2024年1月17日配信)。

 

これは、単語数にすると、センター試験の頃よりも、1200語程度増えたことになるという(<アガルート学習コーチング>2024年1月9日の記事)。新聞記事に掲載された問題を見ても、3ページ少々に渡り、長文と問題がびっしりと並んでいる。

 

問題を解くための時間は80分あるが、時間内に解き終えることができる学生は少数派だろう。上記のように、リーディングの平均点が53.3点であることが、そのことを物語っている。

 

このリーディングの問題のように、合計するとかなり長い文章を時間内に読み解くことが必要であるならば、例えばスラッシュリーディングのような読み方は役に立たない(スラッシュを入れる手間はもちろんのこと、頭の中で全てを日本語に変換している時間自体が、もったいない)。語彙力についても、役には立つが、決定打とはならないだろう。

 

つまり、従来型の教育の有効性が低下するということになる。

 

長文を素早く読むことについて、英語教授法の分野で言えば、timed readingのように、読む速度自体を上げるための練習が勝負を分けると思う。

 

しかし、英語の教育現場で、流暢性を高めるための指導方法は熟知されているのだろうか。テストで要求されていることと、教育の内容の乖離が起こっている可能性があるのではないかと思う。

 

英語に関する以前の記事で、学校で教える英単語の数について、昔と比べると、今の学校教育では多い場合で(履修科目によって異なる)1300語も増えているということを記載した。

 

https://ameblo.jp/sekainokesiki/entry-12816147433.html

 

これはまるで、税金のようだ。

 

税金の国民負担率(所得に占める、税金や社会保険料の負担の割合)は、例えば1970年度には24.3%だったが、2022年度は47.5%に増えている(<ザ・オーナー>2023年12月25日配信)。

 

このことについて、海外ではもっと負担が高い国があるという意見もあるが、例えばヨーロッパの福祉国家では、負担が多い代わりに、年金などの社会保障が充実している。日本はやはり、負担が大きいと思う。

 

子供たちにかかる勉強の負担も、同様である。昔の世代と比べて、今の世代の負担は明らかに増えている。

 

英語の学習における負担の増加について、このような決定を下したのは、もう自分は学校の英語の勉強とは関係がない「大人たち」である。

 

これは、おかしいだろう。子供たちに苦労をさせるのであれば、会議で寝ていたりせずに、まず自分が範を示せと言いたい。

 

共通試験の英語(リーディング)の問題には、現代社会の問題の一部が現れているように感じた。様々な問題を改善するためには、どうすればよいのか。大勢の人々が考えるべきだと思う。

 

(この記事について、当ブログの管理人が運営しているサイトにて、管理人自身が執筆した記事を見直して修正を加えたものです。https://www.tclassroom.jp