将来年金がもらえない…はミスリードだった。「若い世代ほどもらえる金額が多くなる」は本当? | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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2024年7月3日、5年に一度公表される、国の年金財政検証結果が明らかになりました。

 

10年前は、年金破たん論が世間を賑わせ、データもその証明だと用いられたもの。しかし当時の破たん論者の勢いはもうありません。

 

というのも、あまりにも無難に財政状況が推移しすぎているからです。ニュースとしての話題性があまりなく、報道もトーンダウンしていました。当日は最高裁判決の判例変更があったこともあり、一面トップも譲る格好に。

 

さて、ニュースとしてはあまり盛り上がらなかった年金財政検証結果ですが、ライフハック、マネーハック的に捉えてみると興味深い内容が含まれています。今回はそんな話をしてみたいと思います。

5年前の予想よりも制度は安定。年金はつぶれない!

将来年金がもらえない…はミスリードだった。「若い世代ほどもらえる金額が多くなる」は本当?

 

まず1つ目。正直言って、財政検証結果の詳細について理解する必要は、普通の個人には不要だと思います。

 

たとえば銀行預金の金利を確認するときに、銀行の株主総会に出かけて決算資料をいちいち読み込む必要はありません。確かに破たんリスクの有無を知っておいたほうがベターですが、残高1000万円以内なら全額が保全されるので、不要なケースが多いでしょう。

 

年金制度も、「年金制度はよく言われるようにつぶれることはない」ことが財政検証結果で確認された、と知っておくだけで十分です。

 

今回の試算では、経済が今よりも縮小すれば年金財政にも不安が出る結果となっていますが、そのときは年金制度がどうこう以前に国全体が危機的な状態になるシチュエーション。ですから、年金制度だけが悪いわけではありません。むしろ国全体として解決に取り組むべきテーマです。

 

堅調に日本経済が回れば、年金水準の低下も過去に予想されていたより小さくなりそうだ、という数字が今回は示されています。

 

働く女性と働く高齢者の増加は国の予想を大きく上回り、保険料を納める人が増えたことが、制度の安定性を高めています(次に説明しますが、負担だけさせられるのではなく、負担した人の将来の年金が増える効果も生まれる)。

 

年金運用は好調です。すべての年金積立金を合計すると300兆円を超えています。

 

10年前には「2020年代には年金積立金は枯渇する」なんて予言をしていた経済学者もいましたが、株価の回復と適切な運用方針の維持により、積立金の取り崩し予定はむしろ遅くなっています

 

国の年金制度については、以下の3つを理解しておけばOKです。

  1. よく言われるが、制度がつぶれはしない
  2. そんなたくさんではないが、日常生活費くらいはもらえる(会社員の場合)
  3. 年金は長生きする限り、何十年でももらえるところがいい(長い老後の安心となる)

「老後に2,000万円」必要なのは年金がもらえないからではなく、旅行や趣味や生きがいのために使うお金が、日常生活費以外に2,000万円くらいかかるからです(老後の旅行費用などを現役世代が保険料で負担するのではなく自ら準備する、ということ)。

興味深いのは「若い世代ほど年金が増える」という試算

将来年金がもらえない…はミスリードだった。「若い世代ほどもらえる金額が多くなる」は本当?

 

さて、今回の財政検証結果が示しているのは、制度破たんが回避されたことだけではありません。興味深いデータが追加資料で示されています。それは、「若い世代ほど年金が増える!」ということです。

 

これまで、「若い世代ほど年金水準は下がる」と理解されてきました。世代間の不公平で若い人ほど損をする、と。

 

しかし、若年層、特に女性の若い人のほうが年金額が大幅に増えるとされており、年金に対して懸念を抱いている人を驚かせています(あるいはスルーしている)。

 

これは、働く女性が増えたこと、結婚や出産をしても働き続けられる時代になったことが、未来の年金額に大きく反映されていくからです。

 

実際、今年金を受け取り始める世代では、国民年金しかもらえない(あるいは厚生年金はわずか)女性が多数派です。それは結婚退職が当たり前の時代だったため、専業主婦として子育てをし、仕事をしてもパートをする人が多かったからです。

 

しかし、今20歳あるいは30歳の世代に増えているのが、会社員の時代が20年以上あるような「働く女性」。こうした人は国民年金分と厚生年金分の2つの年金をもらうことになり、女性の平均年金水準を大幅に引き上げていくのです。

 

今年金をもらい始める女性は、国民年金のみ(あるいは厚生年金を少しだけもらう)人が全体の3分の2くらいを占めています。

 

しかし、現在20歳あるいは30歳の人たちは金額では2倍、あるいはそれ以上もらえる人たちが全体の8割を占めるようになります。この変化は絶大で、シミュレーションでは、女性の年金額は+75%〜+110%くらい増えるとしていて、ぱっと見だと信じられないほど

 

男性は女性ほどではないものの、自営業者で国民年金しかもらえない層が減ることと、厚生年金に加入している年数が延びていくことで、年金額がアップする傾向が示されています。

会社員となり厚生年金に入ることは「個人」の年金額を大幅にアップする

一般的には「保険料を払わされる」のはおもしろくないことです。

 

それはそのはず、手取りが減ってしまうからです。厚生年金保険料率は給与や賞与のの9.15%です(本人負担分。同額を別途会社が負担しているので合計すると18.3%)。給与明細をみるとドカンと引かれている項目です。

 

しかし、年金保険料を払った以上、将来の年金を受け取る権利もゲットしています。よく「年金は世代間の支え合い」といいます。

 

なんとなく負担ばかりさせられているように思いますが、世代間の支え合いをしつつ、自分の年金を将来もらう権利も得ていることは知っておいてください。

 

そう考えると、「正社員もしくは厚生年金を適用してもらえる働き方」、そして「長く働くこと(加入月数は年金額計算にダイレクトに影響してくる)」は、それなりに報われるのだと考えてほしいと思います。

老後にできることが増える! マインドセットを変えてお金を貯めよう

こと、年金制度に関するニュースには批判が先行します。しかし、そのほとんどがミスリードであることも事実。

 

それをよくわからないまま信じて、国の制度を疑ってばかりいては愉快ではありません(年金制度に不信感を持っているのに、だからといって自分で1億円貯めるわけでもないので、不安だけがたまっていく)。

 

むしろ「そんなに老後は怖いものじゃないかも」と思ってみてはどうでしょうか。

 

もちろん、年金以外に資産を持っておくことは大切です。会社の退職金の金額をチェックし、iDeCoやNISAで積み立てをすることも考えてみてください。

 

こちらも「国から年金は1円ももらえないので貯めなくちゃ(実際にそんなことはないのに)」と思うのではなく、「自分でがんばればがんばるほど、老後にできることが増える!」とマインドセットを変えてみるのです。そのほうがお金を貯めるのもよい気分になるはずです。

 

世界で一番健康寿命が長いのは日本人です。健康で長生きできる世界で、楽しくリタイア後の生活を楽しむためにも、国の年金制度と自助努力による資産形成とを組み合わせて備えていきましょう。

 

山崎俊輔

フィナンシャルウィズダム代表。ファイナンシャルプランナー。夫婦で共働き、共家事、共育児しながら子どもふたりを育てている。