いよいよゴールデンウイーク突入ですね。家でのんびりしているときなど、普段はじっくり見ることのなかった携帯電話を手に取り、どんな機能があるのか操作してみたりすることありますよね。
最近ではいろいろなアプリが存在し、その中に聴覚を検査するものがあります。正式な機器ではないので、その正確さを完全に信用することはできませんが、あまりに悪い結果にショックを受ける方も多いようです。
そこで、今回から2週にわたって、これまであまり触れてこなかった、「耳・聴覚のアンチエイジング」についてお話ししようと思います。
そのアプリというのは、モスキート音という、蚊の発する羽音を使っての検査。人間の可聴領域は、およそ20Hz~20KHzといわれています。それが年齢を重ねるごとに、高い周波数の音が聴こえなくなってきます。
その周波数をいくつかの段階に分け、音が聴こえるか聴こえないかで診断を行うのがこのアプリです。
一般的には50歳あたりから聴力は急激に低下してきますが、現在は音楽を聴くヘッドホンの影響などで、その症状が早く訪れるケースも多く見られます。ある研究では、「聴覚障害の75%は、老化が原因で起きているのではない。
一生にどれだけの、騒音に耳をさらしてきたかによって決まる」と言われているほどです。
聴覚においてもっとも怖いのは、「一度低下してしまうと、元に戻すことはできない」というところ。内耳には、聴覚をつかさどる『蝸牛(かぎゅう)』という器官があります。
この蝸牛の有毛細胞にある繊毛が、空気の振動を電気信号に変換して脳に伝える役割を果たします。
しかし、この有毛細胞は細胞分裂を行わないため、一度壊れてしまうと、再生することがありません。ところが、近年の研究では、有毛細胞の再生に成功したという事例もあるので、これからの技術向上に期待がかかります。
確実に医療は進歩し、聴覚の再生も可能となりつつありますが、できれば医者の世話にならず聴力を維持したいところ。ということで次回は、耳に良い栄養素や運動法などについてお話ししたいと思います。
■山下真理子 医師。京都府立医大卒。美
容やアンチエイジングに関する講演を数多く行う。著書に「女医から学ぶ あなたの魅力が10倍増すセックス」(ぶんか社)。