Q.もめないお金の残し方を教えてください
A.家族間の認識をすり合わせることに尽きる
子供のためと残した金が争いの火種になるというから皮肉なものだ。横浜市の後藤正造さん(54)=仮名=は両親から託された葬式費用をめぐって妹・聖子さん(51)=同=と兄弟げんかの真っ最中だという。
このお金は、2人の両親が自分たちの葬式で子供に負担をかけまいと積み立てていたもの。両親がともに他界し、葬儀を済ませた頃、お金の行方について兄妹でぶつかったという。互いの言い分はこうだ。
「葬式の規模からして、受け取ったお金は余っているはず。残りを分けろとは言いませんが、金額を明らかにするため通帳を見せてほしいと言ったんです」(聖子さん)
「やましいことはありませんが、疑われていると思うといい気はしません。カッとなってしまい、こじれてしまいました」(正造さん)
客観的には、正造さんが素直に見せればよかったと思うが、そこには事情がある。
「葬式だけでなく、四十九日・新盆・1周忌などの法要でも出費があったんです。その出金をいろいろ言われても…」(正造さん)
その辺りの理解も含めて、父親が一言、「金銭管理は長男に一任する」と家族に念押しすれば争いは防げたかもしれない。
お金は使途や範囲、余ったとき、足が出たときの対応などを明確にしておく必要がある。「家族を信じている」などと曖昧にしていると痛い目を見る。