「わたしA型だから割と几帳面なの」「あのひとはB型だからマイペースで・・」、職場や学校で、このように血液型と性格を関連づける発言を聞くことは珍しくありません。
しかし、こうした血液型による「性格の決めつけ」が行き過ぎると、「ブラッドタイプ・ハラスメント(ブラハラ)」という行為になってしまうこともあるので注意が必要です。
ここでは、「血液型占い」が浸透している日本だからこそ起こりがちなハラスメントについて解説します。
◆血液型による性格診断を信じる国は少ない?
実は、冒頭に述べたような血液型による性格診断が浸透しているのは、世界においては日本や台湾、韓国などごく一部の国に限られており、イギリスやアメリカでは自分の血液型を知らない人も多いそうです。
また、こうした血液型による性格診断には「科学的な根拠がない」とする意見も多く、海外の人々からすると、「血液型による性格診断」や「血液型占い」が奇妙なものに感じられることもあるようです。
しかし、日本においてはテレビや雑誌などで血液型が話題に上ることも多く、「血液型による性格診断」は根強く信じられているといえるでしょう。
◆日本だからこそ起こるハラスメント
このように、「血液型による性格分類」を信じる人の多い日本だからこそ起こってしまいがちなのが「ブラッドタイプ・ハラスメント」です。
ブラッドタイプは英語で血液型のことを示す言葉ですが、ブラッドタイプ・ハラスメント自体は和製英語とのことです。
ブラッドタイプ・ハラスメント(以下、ブラハラ)とは、大まかにいうと「血液型で性格を勝手に決めつけて、相手に不快な言動をする」というもの。
当人は軽い気持ちで発言していたとしても、こうした血液型による性格の決めつけが「仲間はずれ」などのイジメの原因になることもあり、血液型による差別につながる可能性もあるのです。
◆面接で「血液型は?」
また、インターネット上などでよく報告されているブラハラに「就職やアルバイトの面接で血液型を聞かれる」というものがあります。
極端な例では、特定の血液型しか採用しない(あるいは特定の血液型は採用しない)と面接官が発言したというようなケースもあることから、血液型による差別が懸念されるのも大げさなことではないのかもしれません。
こうしたブラハラの表面化にともない、厚生労働省では「血液型と職務能力や適正とはまったく関係ない」として、面接の際などに血液型を質問しないように企業に呼びかけており、BPO(放送倫理・番組向上機構)でも、
テレビ番組で「血液型が性格を規定する、という見方を助長することのないように」という内容の要望を発表しています。
「几帳面」「マイペース」「大ざっぱ」「神経質」など、それぞれの血液型の特徴としていわれる気質の多くは、実は誰でもあてはまることが多いものであり、「A型は」「B型は」という先入観と思い込みが、
こうした診断を「当たっている」と感じさせてしまう側面もあるようです。
血液型はわたしたちにとって身近な存在であるだけに、根拠に乏しい「血液型による決めつけ」や行き過ぎた言動は、使われる場面によっては、他者を傷つけたり、不快にさせたりすることがあるため、配慮が必要なのかもしれませんね。