働く女性の間でも多いという「突発性難聴」。その病気の概要や、症状が出た時にどうすればいいかについて、医師が24時間以内に答えてくれるQ&Aサイト「カラダメディカ」で活躍中の現役医師に、日経ウーマンオンラインのために特別にアドバイスをしてもらった。
Q 1週間前から、右側だけ耳鳴りがする
1週間前、朝目覚めると、右耳だけゴォーッと耳鳴りがして、強風の中にいるような感じがしました。とはいえ、痛さがあるわけではなく、たいしたことはないだろうと放置していたのですが、1週間経った今も同じ状態が続いています。
会社の先輩に話したところ「突発性難聴」ではないかとのこと。どんな病気でしょうか? すぐに病院に行ったほうがいいのでしょうか。治療法も含め、お教えください。
A 早期診断、早期治療が重要な疾患! 一刻も早く耳鼻科を受診しましょう
急に今まで経験されたことのない症状が起こり、とても心配されていることと思います。
突発性難聴は、ある日突然、片方の耳が聞こえなくなっていたり、つまる感じがしたり、耳鳴りを感じたり、めまいが起こったりする病気です。
発症にはストレスや疲労の蓄積などが関与していると考えられていますが、はっきりとした原因は特定されていません。
突発性難聴には聴力の低下している音域によっていくつかの種類がありますが、最近は、低い音域だけが聞こえにくくなる「低音難聴」に悩む患者が20~30代の若い女性を中心に増加傾向にあり、注目されつつあります。
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突発性難聴の診断は、症状、身体所見、聴力検査、MRI検査、血液検査などから、総合して行われます。この際、似たような症状を起こすメニエール病と鑑別することも重要となってきます。
本症の治療は,入院治療による副腎皮質ステロイドの全身投与が中心となります。ステロイド以外にATP製剤、ビタミンB12、プロスタグランジン製剤、高圧酸素療法なども併用されることもあります。
本症の難聴は早めに治療を開始すれば予後は良好です。ただし、難聴が高度の場合(全く聞こえない場合)、めまいを伴う場合は予後不良です。
さらに、発症から治療開始まで2週間以上を経過したケースでも、改善の見込みはかなり厳しくなります。したがって,できるだけ早く耳鼻科を受診することが重要です。
質問者さんの場合、ある日、目を覚ますと片側の耳が聞こえにくくなっていたということから、突発性難聴の可能性は高いと思います。
繰り返しになりますが、早期診断、早期治療が重要な疾患ですので、怖がらずに一刻も早く耳鼻科を受診してください。
回答してくれた人=「カラダメディカ」吉良信彦先生