春になると眠くなる…コーヒーの効能といえば、だれもがまずカフェインによる眠気覚ましを思い浮かべるでしょう。一方で、飲み物としては「紅茶のほうが健康的」というイメージもあるようです。
ですが、最近の研究によると、コーヒーには肝臓がんや大腸がん、II型糖尿病、パーキンソン病、心臓疾患、アルツハイマー型認知症などのリスクを下げる効果があると報告されています。
その薫り高い魅惑の一杯に秘められた効果とはいったいなんでしょうか? アメリカから興味深い報告が入りました。
◆病気や死亡のリスクを減らす
全米コーヒー協会によると、アメリカの成人の54%は常習的にコーヒーを飲みます。年間の消費量は、紅茶のほぼ3倍に当たる1,460億杯にもなります。
しかし、コーヒーは長年、悪役でした。カフェインには眠りを妨げる効果がありますが、それは最大12時間続きます。また利尿作用もあるので、悪くすると脱水症状にもなるのです。
ところが、近年の研究では、コーヒーを飲む男性は前立腺がんの危険性が減るとわかりました。普段からコーヒーを飲む女性にはさまざまな原因での死亡のリスクが少なく、これはノンカフェインのコーヒーでも同じだという研究もあります。
また中年以降でお酒を飲むと、コーヒーを毎日3~5杯飲む人が、そうでない人に比べて認知症になるリスクが低いという結果もでています。
◆ポリフェノールの健康効果
お茶や赤ワイン、カカオにも含まれるポリフェノールの抗酸化作用は、がんや糖尿病、動脈硬化などの予防に効果があるとされます。
コーヒーの色や香り、苦味の素となるクロロゲン酸もポリフェノールの一種です。ポリフェノールはベリーや豆類、ナッツにも含まれますが、アメリカの成人は、一日平均3杯飲むコーヒーから、一番多くポリフェノールを摂取していることになります。
◆ホルモンに似たトリゴネリン
食品に含まれるさまざまな生物学的活性物質は、組み合わさることによって、大きな効果を発揮すると研究者たちはいいます。
コーヒーは、腸内の悪玉菌を押さえ、プロバイオティクスと呼ばれる腸内環境を整える細菌の成長をうながします。またコーヒーに含まれるトリゴネリンは、記憶力、学習能力を高めるだけでなく、エストロゲンに似た効果もあって、大腸がんのリスクを減らします。
ただし、乳がんを患っている人は飲んではいけません。
◆適量で、健康と嗜好を両立させる
ドリップコーヒー1杯(150ml)に含まれるカフェインは100mg。アメリカ政府の食生活ガイドラインによると、一日のカフェイン摂取量は500mg以下が適量ということで、コーヒーだけを飲むなら、1日5杯までOKということになります。
おいしく飲んで健康にと願うなら、多くても3~5杯まで。クリームや砂糖でカロリーを摂りすぎることにもご注意ください。