親しい人を亡くした思いに寄り添うには 支える専門家に聞く | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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『無敵の「1日1食」 疲れ知らずで頭が冴える!』
さあ、元気に歳でもとりますか!それに女性は明日の美しさを迎えにいこう。

 ある日の夕方、私(記者)の目の前で高齢の女性が自転車で転んだ。聞けば、片腕にしびれがあるという。自転車を押して歩くように説得しようと話し込むと、身の上をぽつりぽつりと語り始めた。

 

少し前に息子が自死したこと、その後、やけになって暴れた影響で腕が思うように動かないこと、警察署に通い、息子が亡くなった状況の詳しい説明を聞こうとしていること、そして、やりきれない思いが消えないこと――。

 

 かける言葉が見つからなかった。自転車は置いて歩くという女性と別れた後に、考えた。自死遺族はどのように苦しみに対処し、周囲の人はどのように接すればよいのか。自死遺族支援に詳しい3人に聞いた。

 

清水新二・奈良女子大名誉教授(社会病理学)は「大事な人を自死で亡くしている人は想像をはるかに超えて多い」と解説する。

 

 2003年に長野県佐久市の協力を得て同市で、08年には大阪市で、中高年の住民を対象に調査したところ、家族や友人などの親しい人が自死で亡くなった人の割合は、それぞれ男性30%と女性25%、男性20%と女性24%に上っていた。

 

 それだけ多くの悲しみにくれる人々が社会には存在していることになるが、向けられるまなざしが、一般的な遺族とは異なることを清水さんは問題視している。

 

「通常は寄り添うような声掛けがあるが、自死の場合『成仏できない』『弱かったから死んだ』など故人や遺族への鋭いとげを持つ言葉がある」。そのためにうその死因を話さざるを得ない遺族も多いという。

 

 そのような偏見に加え、自死を防げなかった自責の念にもさいなまれる。自責感、罪悪感、怒りなど、複雑な感情にとらわれている人への周囲からのサポートは非常に難しいという。

 

 そこで、自死遺族同士でのつながりを重要視しているのが、田中幸子さん(74)が代表を務める「全国自死遺族連絡会」(仙台市)だ。

 

田中さん自身も、当時34歳の警察官だった長男を自死で亡くした当事者だ。自宅と携帯電話の番号を公開して24時間365日連絡を受け、出られない時も折り返すようにしている。

 

 田中さんは、遺族同士で経験を語り合う自助グループについて「自死は普段人に語れない分、安心して深いところまで話し合える場が必要」と説明する。

 

同じ気持ちを共有できるからこそ「後を追いたい」「自死に追い込んだ人を許せない」など、他では打ち明けられない苦しい胸の内を明かせる遺族も多いという。

 

 遺族同士で語り合えるようになると、徐々に悲しみを抱えながら生きていくすべを学ぶようになるという。「同じ体験をしている先輩がいて、それでも生きていけると分かる。

 

その存在をリアルに感じられることは大きい」。田中さん自身も他の遺族と気持ちを分かち合うことで救われた。

 

 では、自死遺族の周囲の人々にできることはないのだろうか。NPO法人「グリーフケア・サポートプラザ」(東京都港区)は自死遺族に特化したサポートを行う。

 

遺族同士で話し合える場所として「分かち合いの会」を月に1回開き、ボランティアによる傾聴電話を週3日開放している。