2週間のウォーキングで「冷え性」が改善 深い眠りも増加 | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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運動習慣のない若い女性を対象とした小規模試験の結果

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 冷え性の人が2週間のウォーキングに取り組むと、冷え性が改善し、睡眠の質も上がることが、山口県立大学の山崎文夫氏らの研究(*1)で明らかになりました。

冷え性は睡眠の質を下げ、疲労回復を妨げると言われています。(写真:kapinon/stock.adobe.com)

冷え性は睡眠の質を下げ、疲労回復を妨げると言われています。(写真:kapinon/stock.adobe.com)

運動習慣のない若い女性が有酸素運動を2週間実践

 女性に多い冷え性は、睡眠の質を低下させ、体の回復を妨げて、生活の質を下げることが知られています。

 

著者らはこれまでに、冷え性の人が就寝前に遠赤外線ヒーターを用いて足の皮膚温を上げると、睡眠の質が高まり、疲労回復が促進されることや、4週間にわたって毎日運動すると、四肢の末端部の冷え性が改善することを報告していました。

 

さらに著者らは、冷え性の人の安静時の脳波にはα波(リラックス時に現れやすい脳波)の出現率が低く、β波(緊張している時に現れやすい脳波)の出現率が高い傾向があることも報告していました。

 

 今回の研究では、「短期間の有酸素運動が冷え性の若い女性の睡眠の質を向上させ、冷えの訴え(冷感)を軽減するかどうか」を検討しました。さらに、入眠時の足部皮膚温の変化や脳波の変化が見られるかどうかも検討しました。

 

 研究は、冬期(12月から2月)に行いました。過去1年間、日常的には運動していなかった20~21歳の冷え性の女性16人を登録し、8人を有酸素運動を行うグループ(運動群)に、もう8人を運動をしないグループ(対照群)に割り付けました。

 

 運動群には2週間、主にウォーキングとジョギングからなる運動を行うよう指示しました。運動前のウォームアップとして15分間の早歩きまたはジョギングの実施を推奨し、

 

運動を行うタイミングと場所の選択は本人に任せました。対照群には、それまでと全く同じ生活を2週間続けるよう指示しました。

 

 両群ともに、寝室の温度は18度に設定してもらい、就寝は23~25時の間としました。入浴は就寝の1時間以上前に終え、浴槽に浸かっている時間は10分以下にするよう指示しました。入浴時以外は3軸加速度計を装着してもらいました。

 

 介入開始直前の2日間と介入終了直後の2日間に、自宅で以下の評価を行ってもらい、介入前後で比較しました。

  • 就寝時の全身や足部の温冷感と温熱快適性(その温熱環境に対する満足度)
  • 主観的な睡眠の質:起床直後にOSA睡眠調査票で評価。
  • 脳波:消灯直前から起床時まで脳波センサを用いて記録。脳波に基づいて睡眠段階を覚醒、レム睡眠、浅い睡眠、深い睡眠に分類。
  • 体温:深部体温に近い値を示す、非接触式の赤外線体温計を用いて測定。

 なお、温冷感と温熱快適性、および体温は、介入期間中毎日記録しました。

運動群では全身や足の温感が上昇し、深い眠りが増加

 運動群の女性は、介入期間中に週に4日以上運動しており、介入前に比べ、1日あたりの歩数が5000歩以上増えていました。

 

介入開始以降は、全身と足部の温感と温熱快適性が有意に上昇し、両群の差は2週目に有意になっていました。部位別に比較すると、手の指先、足部、つま先の冷感のスコアが有意に改善していました。

 

しかし、介入期間の足部皮膚温と体温には有意な変化は見られず、両群間に有意差は認められませんでした。

 

 睡眠の質の評価では、疲労回復と睡眠時間の改善が認められ、視覚的評価スケール(VAS)で睡眠の質を評価した結果も有意に改善していました。

 

 睡眠時の脳波は、運動群で中途覚醒の時間が有意に短縮し、深い睡眠の時間が有意に延びたことを示していました。睡眠前のα波の増加も認められました。

 

 対照群にはこれらの変化は見られませんでした。

 以上の結果は、短期間の有酸素運動が、若い女性の末端冷え性を改善し、睡眠の質を高めることを示しました。

 

しかし、就寝時に体温や足部皮膚温の上昇が見られなかったことから、「これらの改善は、脳波の変化によって示される、末端の冷えを感じる脳の感受性の低下によるのではないか」との考えを著者らは示しています。

 

*1 Yamazaki F, et al. J Physiol Anthropol. 2023 Sep 29;42(1):22.

大西淳子(おおにし じゅんこ)
医学ジャーナリスト

大西淳子(おおにし じゅんこ)筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。