気圧などの天候の影響を受けやすい血や津液の流れをスムーズにする
幸井俊高=薬石花房 幸福薬局代表・薬剤師
天気痛は、天気の影響を受けることにより、頭痛、めまい、肩こりなどが悪化する病気です。気象病とも呼ばれています。
幸福薬局の幸井俊高さんは、「漢方では、天気に左右されない体質をつくっていくことにより、天気痛の根本的な治療を進めます。気圧などの天候の影響を受けやすい血や津液(しんえき)の流れをスムーズにします」と話します。
Aさん(47歳・女性)
「天気痛で悩んでいます。雨が降る前に、頭が痛くなります。同時に眠気が強くなり、めまいがすることもあります」
(写真:metamorworks/stock.adobe.com)
47歳のAさんは、疲れやすく、あまり元気のないほうです。天気痛のときは、食欲も減退します。舌は白く、表面に白い舌苔(ぜったい)がべっとりと付着しています。
天気痛は、天気の影響を受けることにより、頭痛、めまい、肩こりなどが悪化する病気です。天気が崩れる前の日や、梅雨の時期、台風の接近につれ、体調不良が生じます。女性に多いのが特徴です。気象病とも呼ばれています。
よくみられる症状は、頭痛、肩こり、関節痛、神経痛、腰痛、めまい、眠気、気分の落ち込み、不安感などです。変形性関節症や、関節リウマチ、線維筋痛症などの疾患が悪化する場合もあります。
原因は、おもに気圧の変化を受けて生じる自律神経の乱れだといわれています。
耳の奥の内耳には、気圧の変化を捉える機能がありますが、その気圧センサーが気圧の変化に過敏に反応し、その結果、自律神経のバランスが乱れると、不快な諸症状が引き起こされます。
気圧が変動すると、交感神経が興奮し、血管が収縮します。その結果、血行が悪化して体内の酸素や栄養素が不足し、痛みを引き起こす物質が出ることとも関係があるようです。
また、内耳の循環が悪化してリンパ液がたまってむくむと、気圧の変化に敏感に反応し、頭痛が生じやすくなるともいわれています。
この病気が女性に多いのは、月経周期によるホルモンバランスの変化や、更年期に生じるホルモンバランスの乱れが、自律神経の働きを過敏にし、その影響で天気痛が起きているためと考えられます。
西洋医学では、痛みに対して対症療法で治療にあたります。天気予報をみて、事前に鎮痛薬を用います。抗めまい薬や、酔い止め薬が有効な場合もあります。