ひと口に医療保険の「女性特約」と言っても、保険会社や商品によってその対象となる病気が異なることをご存じでしょうか?
私のところへ相談に来た方にこのことを尋ねると驚く人が多いので、あまり知られていない事実かもしれません。ここでは、その具体例を見ていきましょう。
保険会社によって異なる女性特約の内容
ここでは、実際の保険会社の例を3つ紹介します。あえて企業名は伏せ、X社、Y社、Z社としていますが、各保険会社のプランを調べていけば、どの会社を指しているかわかるでしょう。
各社の女性特約の保証対象となる病気と、女性特約を付けない/付けた場合の30歳、35歳、40歳で医療保険に加入した場合の保険料を示します(いずれも払込期間終身、保障期間終身、主契約の入院日額5,000円の場合)。
3社の女性特約の保障対象と保険料
例えばX社の場合、女性特約の保障対象となる病気は、次のように決められています。「がん、甲状腺の疾患、乳房および女性器疾患、妊娠、分娩および産褥の合併症、乳房または女性性器の良性新生物または性質不詳の新生物」。
また、保険料は以下の通りです。女性特約を付けている場合は、特約の保障対象となる病気で入院した際に、主契約の入院給付金に上乗せして女性入院給付金5,000円を受け取ることができます。
女性特約なし
30歳:1,707円、35歳:1,822円、40歳:2,022円
女性特約あり
30歳:1,967円、35歳:2,017円、40歳:2,177円
続いてY社の場合。まず、女性特約の保障対象となる病気は以下のとおりです。
「帝王切開、妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)、子宮外妊娠、流産、乳腺症、乳がん、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮がん、卵巣機能障害、チョコレート嚢胞、卵巣がん、関節リウマチ」。保険料は下記です。
女性特約を付けている場合は、特約の保障対象となる病気で入院した際に、主契約の入院給付金に上乗せして女性入院給付金5,000円を受け取ることができます。
女性特約なし
30歳:1,659円、35歳:1,784円、40歳:1,974円
女性特約あり
30歳:1,934円、35歳:2,069円、40歳:2,284円
最後にZ社。女性特約の保障対象となる病気は以下のとおりです。「がん、乳房・甲状腺・女性生殖器もしくは腎尿路の良性新生物または性質不詳の新生物、血液および造血器の疾患、血液および造血器の疾患、内分泌腺、
栄養および代謝疾患(主に甲状腺障害)、循環器系の疾患(主にリウマチと静脈瘤)、消化器系疾患(胆のう)、筋骨格系および結合組織(主に関節リウマチ)、
腎尿路生殖器系の疾患、妊娠、分娩および産褥の合併症(乳房観血切除術・乳房再建術・子宮摘出術。卵巣摘出術)」。保険料は下記となります。
女性特約を付けている場合は、特約の保障対象となる病気の治療をする際に、女性特約からも別途入院給付金や手術給付金などを受け取ることができます。
女性特約なし
30歳:2,183円、35歳:2,288円、40歳:2,478円
女性特約あり
30歳:2,808円、35歳:2,898円、40歳:3,093円
きちんと比較検討することが重要
いずれも女性器の病気や妊娠・出産を保障対象としている点は共通ですが、がんの種類や、女性がかかりやすい病気をどこまでカバーするかといった点が異なります。Z社はカバーする範囲が広い分、保険料が割高であることがわかりますね。
同じ「女性特約」でもこれだけ保障内容や保険料が異なるので、医療保険の契約や見直しを検討する場合は、実際の保険会社のサイトや資料をよく見て決めましょう。
<著者プロフィール>●大泉稔(おおいずみ・みのる)
ファイナンシャルプランナー。株式会社fpANSWER代表取締役、大泉稔1級FP技能士事務所主宰。1級FP技能士、生命保険大学課程、1種証券外務員。明星大学日本文化学部言語文化学科を卒業後、公務員、タクシー会社事故処理係、社会保険庁ねんきん電話相談員などを経て現在に至る