大麻やMDMAを入口に、さらに危険な薬物にハマる悪循環 | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

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『無敵の「1日1食」 疲れ知らずで頭が冴える!』
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薬物に詳しいと自称する人には、なぜか「●●なら害はない」「●●はコントロールしやすい」といったクスリの優劣をつける人が少なからずいる。

 

しかし、その発言は無責任に過ぎると危険ドラッグの取材を続けてきたライターの森鷹久氏はいう。大麻などのゲートウェイドラッグを軽い気持ちで使用したことをきっかけに、より依存性や副作用が強い薬物への扉を開いてしまった者の後悔と、薬物との関わりを絶つ唯一の方法についてレポートする。

薬物使用、所持による芸能人、有名人の摘発が相次いでいる。大きく報道されたものだけでも、今年3月にコカインを使用したとして逮捕されたミュージシャンで俳優のピエール瀧

 

(52)に端を発し、元・KAT-TUNの田口淳之介(33)が大麻所持で、同じく大麻所持でスノーボード元日本代表の国母和宏(31)、覚せい剤所持で元タレントの田代まさし(63)が検挙、そして今回、合成麻薬所持の疑いで女優の沢尻エリカ(33)が逮捕された。

さて、一般人にとってみれば、大麻にコカイン、合成麻薬や覚せい剤、そして筆者が長らく取材を続けてきた「危険ドラッグ」との違いなど知る由もないだろう。

 

全てが手を出してはいけない危険な薬物である、ということに変わりはないと、まず断言しておきたい。

 

しかしここにきて若干の、いや、一部の若者にとっては「当たり前」になってしまった危険な感覚が蔓延しつつある。冒頭に羅列した芸能人の中でいえば、覚せい剤の田代のみがアウトで、他の芸能人は大麻やコカインだから”大したことがない”という風潮だ。

もちろん我が国では、前述した薬物の所持はいずれも各法律によって厳罰に処される。しかし、前述の“大したことがない”という考えに染まっている人たちは、薬物の中で大麻は比較的ライトなドラッグとして捉えられている。

 

彼らがよく例に出すのは、ヨーロッパの一部では所持も使用も合法であり、欧米でも嗜好用大麻の解禁が相次ぐなどしているという事実だ。そういった事情が、若者と大麻の距離を近づけていることは間違いない。

 

さらにミュージシャンの中には、大麻だけでなくコカイン、合成麻薬の所持や使用で逮捕されても、復帰して人気を博している人だっていることから、覚せい剤以外の薬物犯罪は他の犯罪と違って軽いという奇妙な考えに至る人もいる。

一方で、これらの薬物が「我が国では所持や売買が違法」とされている理由について、果たしてどれだけの人が理解しているだろうか。そこには、根拠と呼ぶには心許ない現実がある。深淵を覗く時、深淵もまた…、ということである。関東地方にある薬物依存者更生施設関係者の弁。

「大麻がタバコより依存性が低いなどといった研究結果があることは承知している。なぜ大麻を解禁しないのか、という声があるのもわかりますが、そもそも大麻の研究が、海外に比べて日本ではほとんど行われていません。

 

医療用でも研究はこれからというレベルなのに、ましてや嗜好目的での解禁という議論などできるわけがない。だからといって薬物使用者が、そういった理屈、例えば自身が抱える難病の治療、症状緩和ために止むを得ず使っているのかというと、ほとんどが違います。

 

国内での所有もダメなのに”法律がおかしい”といって購入して使用してしまう人たちには、そもそも遵法意識がない。法治国家において信用がない人ということ。遵法意識のなさは、暴力団など反社組織が付け入る格好の隙になります」

大麻に関して「法律を変えろ」と訴えながら、コッソリ大麻を使用(使用するからには所持しなければならないので法律違反)してしまえば、その説得力はゼロになる。某元女優は全く同じ道筋を辿り逮捕され、社会的な信用を失墜させた。

 

国母が大麻取締法違反で逮捕された同日「大麻が違法なのはおかしい」とする記者会見を開いたが、彼女の主張が仮に正しかったとしても、法律を破りながらの訴えでは、まともに聞き入れようとした人はごくごく僅かだっただろう。

そして何よりも、大麻という違法薬物を入手するためには、暴力団などの法律を守るつもりがない人々と接点を持たなければならないという点も忘れられがちだ。

「クサ(大麻)は気持ちよくなるだけやし、罪悪感はなかったですね。クサを引きよった(購入していた)のは地元の暴力団で、そのうちタマ(合成麻薬・MDMA)もあるけん買わんや、ってすすめられて。断ったら大麻のことバラされるかも知れんでしょ、仕方なく買うたけど捨てました。

 

シャブ(覚せい剤)勧められたのはそれからすぐですよ。クサ買いに行ったらその場で“お試し”って言われて、吸わされて。シャブだけは絶対にせん(しない)、と思ってましたけど、一回やったらダメでした」

こう回顧するのは、他でもない、九州に在住する筆者の後輩である。もともとお調子者ではあり、十代の頃から繁華街のクラブに出入りしては酒を飲み、喫煙していた。

 

しかし、父とは死別し女手一つで育てられた彼は、母親だけは絶対に困らせまいと仕事にも大いに打ち込み、家賃や生活費などは全て負担した。しかし二十歳の成人式を迎える前に、覚せい剤の所持と使用の疑いで逮捕されたのだった。

「大麻は影響が少ないていうでしょ、俺もそう感じてました。シャブなんかより全然大丈夫って思ってました。でも今考えるとですね、クサに手を出した時点でこうなることは決まっとったんです。

 

クサも初めて吸ってみて気持ちよくなってやめられなくなった。シャブもそうです、一回やったらもう手放せんように…」

幼少期に親や年長者に言われた「悪い人と一緒にいてはいけない」ということ。それは、子供である私が「悪くなっては困る」ではなく「悪い人に取り込まれてしまう」という心配、そして純然たる親心なのだ。

 

後輩は結局覚せい剤の使用などで三度逮捕されたが、三十路で子供ができて心を入れ替えた。それでも「いつかまたやってしまうかも知れないという葛藤」と日々戦い続けている。

現在、MDMAなどの合成麻薬、コカインは一般的には「ファッションの延長」で使用する人が多いと言われる薬物だ。前者は大麻より末端価格が安く、2000年代前半には渋谷センター街の露店でも気軽に買えるほどのシロモノで、筆者が通った渋谷のクラブでも愛用者は多かった。

 

一粒摂取すれば高揚感が増し、音楽がよく聞こえたり、異性と関係を持つときなどに利用された。しかし、のちに死者が続出した危険ドラッグ同様、違法な人たちが違法に売りさばく”ブツ”には何が入っているかわかったものではなく、利用者は次第に減っていった。

 

そしてコカインの末端価格は大麻の1.5倍から2倍程度、摂取すればすぐに効果が現れるが、すぐに幻覚作用が消えてしまうために、一部では富裕層のための「セレブドラッグ」などとも呼称される。

筆者の取材によれば、約10年前に危険ドラッグが流行し始めたのは「大麻の取り締まりが厳しくなったため」であった。

 

中には、合成麻薬や覚せい剤よりも安価で“キマる”と危険ドラッグを手にするユーザーもいた。危険ドラッグの規制が強化されると、再度大麻の流通量が増え、摘発件数も急増した。これが何を物語っているのか。

「薬物を取り巻く現状は、おそらくずっと変わっていないし、これからも変わらないでしょう」

以前筆者の取材に応じてくれた元暴力団幹部は、三十年以上前から違法薬物の売買に関わってきた“元売人”である。

「大麻から合成麻薬、そしてシャブという順序で客を落としていけば(引き込んでいけば)金になります。大麻や合成麻薬がなければ、昔はシンナーだったりトルエンを捌いた。

 

最近はそれが危険ドラッグに変わった。売人は客を見て捌き方を変えますから、相手が金持ってて長く付き合えそうならコカイン、たまにシャブ。

 

ガキ相手なら大麻かなんかで釣って、最後はシャブで落とす。落とすといっても、廃人にしちゃ儲かりませんのでうまくやろうとするんですけどね、客がその間に勝手に壊れる。クスリにも流行があるから、今、芸能人が大麻だコカインだってやれば、若い連中にも絶対に流行る。

 

それで規制されて、訳のわからないクスリが出回る。その間にも、シャブに手を出す奴らも必ずいる。このサイクルです」好奇心が強く付き合いがよい人ほど、深みへと引きずり込まれやすい薬物の問題。どうすれば防げるのか。

「例えば車を運転していて”もっとスピードを出してスカッとしよう”と、助手席に座る友人から言われたらどう思いますか? 危ないし、捕まるのは自分だから嫌だと思いませんか? 

 

結局、薬物に誰かを誘うと言う人は、自己の快楽のために相手を利用してやろうという感覚しかない。

 

そういう人を友達と言えるのか、考えればわかること。薬物の利用者に、生まれた時から薬物が好き、興味があったという人はいない。皆、こうやって取り込まれていくのです」(元売人)

知人友人を無くそうとも、その場の空気を読まなくてもよい。もし自身の近くに”薬物”が現れたら、とにかくその場から離れ、関係をきっぱり絶つことだけが唯一無二の防衛策なのである。