週5日で1日6時間働いていますが「社会保険」に入れてもらえません。これって法律的に許されるのでしょうか?
パートでも条件を満たせば社会保険への加入は義務
パートやアルバイトなど社員以外の従業員も、一定の条件を満たす場合は社会保険に加入する必要があります。ここでは、厚生年金と健康保険の加入条件、雇用保険の加入条件をそれぞれ解説します。
【労働者の場合】厚生年金と健康保険の加入条件
日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内」によると、厚生年金と健康保険への加入は、特定適用事業所に勤務する以下の条件を満たす労働者に義務付けられているようです。
特定適用事業所とは、被保険者数が101人以上、2024年10月以降は適用拡大により51人以上が見込まれる勤め先のことをいいます。
●週の所定労働時間数が20時間以上
●所定内賃金が月8.8万円以上
●2ヶ月以上の雇用見込みがある
●学生ではない__
上記の条件を満たす労働者は、パートやアルバイトであっても厚生年金と健康保険への加入が必要です。
【労働者の場合】雇用保険の加入条件
厚生労働省「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」によると、雇用保険は以下の条件を満たす労働者に対して義務付けられているようです。
●週の所定労働時間数が20時間以上
●31日以上の雇用見込みがある__
企業側の社会保険加入条件
労働者に対して加入条件が定められているように、企業にも社会保険への加入条件が定められています。
企業と労働者の両者が加入条件を満たしているのに、パートやアルバイトだからといって社会保険への加入を企業が断る場合もあります。
企業側の拒否が違法であると示すためにも、まずは企業の社会保険加入条件を知っておくことも大切です。
【企業の場合】厚生年金と健康保険の加入条件
厚生年金や健康保険への加入は従業員数にかかわらず、すべての法人事業所に強制適用されます。
個人事業所であっても従業員が常時5人以上いる場合は、適用事業所に該当し加入が必要です。ただし、農林漁業やサービス業などの場合を除きます。
上記の条件を満たしていない事業所でも、従業員の半数以上が適用事業所になることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けることで加入が可能になります。これを任意適用事業所といいます。
【企業の場合】雇用保険の加入条件
雇用保険への加入は、農林水産業の一部を除いた労働者を雇用するすべての事業所が対象です。業種や規模に関係なく労働者を雇用する場合に必ず加入が必要で、事業主は保険料の納付や各種届け出などを行う必要があります。
社会保険未加入による企業への罰則
条件を満たしているにもかかわらず社会保険への加入を拒否すると、健康保険法第208条により、事業者に対して6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられることもあります。
企業側と話し合いをする際の知識として、労働者側も罰則規定について理解しているとスムーズです。
条件を満たしているアルバイトが社会保険に加入させてもらえないときの対処法
先述したように、条件を満たせばアルバイトやパートであっても社会保険への加入が義務付けられています。
しかし、企業によっては事業所側の負担が増えることから社会保険への加入を拒否するケースがあるようです。ここでは、条件を満たしているにもかかわらず加入を拒否された場合の対処方法を紹介します。
企業側に加入したいことを伝える
社会保険の加入について、企業側から案内がなく加入していない状況の場合は、まず企業の人事部や総務部などの担当者に確認してみましょう。
案内が漏れてしまっていた可能性もゼロではありません。社会保険への加入を希望していると伝え、加入を拒否された場合は企業に科せられる罰則についてもあわせて説明するといいでしょう。
小さな事業所では、事業主が法律を把握していないために加入手続きがされていない可能性もあります。その場合は、適切な説明を行えば加入手続きを進めてくれる可能性が高いでしょう。
それぞれの管轄機関に相談する
企業側に相談しても加入に応じてもらえない場合は、社会保険の各管轄機関に相談しましょう。厚生年金や健康保険であれば年金事務所、雇用保険であればハローワークに相談を行います。
条件を満たしている場合は社会保険へ加入する必要がある
社会保険への加入条件を満たしている場合は、必ず加入する必要があります。もし、アルバイトやパートで条件を満たしているにもかかわらず社会保険へ加入させてもらえていない場合は、早めの相談が大切です。
まずは雇い主である企業に社会保険への加入について相談してみましょう。条件を把握していないために手続きを行っていない可能性があるからです。
相談しても加入手続きを進めてくれない場合は、各社会保険を管轄する機関へ相談しましょう。
出典
日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー