体にいいはずが、うっかり"漏れる"現象に見舞われて〈やりすぎ健康オタク・1〉 | ~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

~たけし、タモリも…「1日1食」で熟睡&疲れナシ~

『無敵の「1日1食」 疲れ知らずで頭が冴える!』
さあ、元気に歳でもとりますか!それに女性は明日の美しさを迎えにいこう。

何ごともほどほどが一番──とは言うけれど、健康にいいと聞くとやめられなくなるのが人間の悲しい性。やめどきを見失った自称「通」たちのトホホな結果とは(イラスト=泰間敬視)

◆過ぎたるは猶及ばざるがごとし

長生きしたい、いつまでも若々しくありたい、とさまざまな健康法を実践している人は少なくない。医療や美容系の取材が多い筆者も、そのたびに影響を受けてはフィットネスクラブに入会したり、健康にいいといわれる食材を摂ったりしてはいるが、飽きっぽい性格ゆえ何をやっても長続きしないのが悩みだ。

一方で、よかれと思って健康法に励みすぎ、痛い目をみてしまう人もいる。筆者が会社勤めをしていた頃の上司がまさにそうだった。健康オタクを自任し、「私は体にいいことしかしないの」が口癖。

 

大量の生野菜と玄米ごはんのみが詰まったタッパーを、昼食として毎日持参。1日に2リットルの水を飲み、真夏でも“冷え取り”と称して靴下を4枚重ねて穿く。そのうえ週3~4回のペースでヨガ教室にも通うなど、海外セレブのような意識の高い生活を送っていた。

ところが、そこまでしているにもかかわらず彼女は年がら年中風邪をひき、周囲に胃腸の不調を訴える。さらには靴下で蒸れた足が水虫になったあげく、ヨガのしすぎで股関節を痛め、しばらく会社を休むはめになっていた──。

 

同僚や部下たちは「あれこれやりすぎなんだよ!」と思っていたが、あまりに一所懸命な彼女に進言できる人はいなかった。もう何年もお会いしていないけれど、元気でいるだろうか……。

《大沢トキコさん(75歳)の場合》

◆「薬よりも安心ですから」

神奈川県在住の大沢トキコさん(仮名)は、体にいいよとすすめられると試さずにはいられない性格。ある時はテレビ番組で見た「えのき氷」(えのきだけに水を加えてミキサーにかけ、その後煮詰めて凍らせたもの)にハマり、またある時は血液をサラサラにするという酢タマネギにハマり、ブームとともに健康道をひた走ってきた。

「薬よりも自然のもののほうが安心ですからね。たとえば

 

関節痛や打ち身には、コンロであぶったツワブキの葉を患部に貼りつけて就寝します。そうすると翌朝には痛みが引いている。これは九州出身の母に教わった方法ですが、肩こりがひどいと訴える子どもたちにも、帰省した時にはそうやって手当てをしてあげているんですよ」

そんな自然派の彼女が半年前からせっせと食べているのが、友人が送ってくれる黒にんにくだ。これは、にんにくを黒くなるまで発酵させたもので、完成まで2週間以上かかる。栄養が豊富で、滋養強壮の効果があるという。

「友人は闘病中の息子さんのために大量の黒にんにくを手づくりしているのですが、月に1度おすそ分けしてくれるんです。私も年を取って体力が落ちてきたのでありがたくて。食べると疲れにくくなる気がするし、ホクホクして美味しいので、毎日せっせと3片ずつ食べ続けてきました」

◆友人の厚意を無下にできない

ところがしばらくすると、にんにくの刺激が強すぎたのか、もともと弱かった胃がシクシクと痛むように。3ヵ月ほど前からは、ふとした拍子に便が漏れるようになってきたのだという。話をうかがいながら、それは黒にんにくが体質に合っていないのでは? と心配になったが……。

「そうなんです。東京に住む娘からも、『今すぐ食べるのをやめて! お友達にもいらないって言いなよ!』と怒られました。でも、友人の厚意を無下にしたくない。なので、うっかり漏らしてもいいように、今は下着の上に市販の尿漏れパッドを着けているんです」

パッド必須の生活はお金もかかるし、面倒ではあるが、ちょうど新型コロナウイルス感染症による自粛期間で家にいたため、さほど深刻にとらえていなかったという。しかしステイホーム期間が終わり、通っているスポーツジムと英会話教室が再開したことで、そうも言っていられなくなってきた。

「人のいるところで漏らしたら大変。だから最近は、1日1片だけにしてみました。でも、今度は黒にんにくが全然減らなくて。今も冷蔵庫の中にギューギューに詰まっています。そろそろ来月分が届く頃なのですが、夫にすすめてもいらないと言われるし、友人に断りの電話を入れることもできない。本当に困っています」

友情と体調の板挟みになっている大沢さん。娘からは数日おきに「ちゃんと断った? 体にいい食材で体調不良になるなんておかしいよ。冷静に考えて!」と電話がかかってくるそうで、どうしたものかと頭を抱えている。