ペンギンの日記 -18ページ目

「退化」だからって、ばかにしてはいけないのだ

「退化」の進化学 (ブル-バックス)/犬塚 則久
¥861

「退化」と「進化」、言葉のイメージからすると、対極である感じがしますが、退化とは、進化の一部というのが、この本を読んで解りました。「退化は全て進化の賜物である。」確かにそう考えると腑に落ちます。


退化器官→作用がのこり、大きさだけが縮んだ器官

痕跡器官→胎児の時期や、一生のある時期に現れ、本来の機能の一部ないしすべてが失われたもの、器官


例えば

親知らず、足の小指→退化器官

男の乳首→痕跡器官


「★個体発生は系統発生を短縮して繰り返す」

すなわち、人が人になるまで、受精卵から、細胞分裂を繰り返し、初めは魚類にそっくりなのだけれど、進むにつれて、爬虫類、哺乳類と進化の過程を短時間で体現するのです。


作者の犬塚則久氏は比較解剖学、機能形態学が専門で生物どうしの同じ部位を比較することにより、進化あるいは退化の関連性をものの見事に結びつけてくれます。耳の穴は、昔はもともと魚のエラの穴であるとか、心臓の中にエラ呼吸のなごりがあるとか、想像もつかないものが結びついて、目から鱗でした。人も地球上の生物の大きな流れの中にいることが良く解ります。人はサルから進化したといいますが、退化器官によってはサルのほうが進化した部分もあるわけで、優劣はつけられないものですね。


ひとつ興味深いとのが、脳の中に松果体(ショウカタイ)という部位がり、これはトカゲの第三の眼から変容したもので、第三の眼が脳の中にあるとすれば、少し面白くないですか。実際は眼としての機能を失い、光に反応する内分泌器官になってるそうです。


最後のほうでは、ミュラー管、ウォルフ管がでてきて、福岡伸一氏の「できそこないの男たち」を読んでたので少し解りました。多読を続けると知識が少しずつ血肉になってきてるのでしょうか。甘いか。


最近、読書量は少しずつ増えてきましたが、身になっているか少し不安な部分があります。大前研一氏は、読書も大事だが、その読書からどれだけのものを学ぶかが重要だと書いてました。マインドマップにしてみたり、ブログに残してみたり、試行錯誤が続くなぁ。いろんな悩みが尽きません。

やっと仕事が終わりました

この時間まで仕事をやると目が冴えてしまって困ったものです。最近嫁との間で、早起きクラブを結成し、(まだ2日目)早くも挫折しそうです。嫁は5時に起きて読書です。私は今から寝ます。

SICKO

シッコ [DVD]

かなり偏ったドキュメントですが、危機感のある風刺のきいた良作だと思います。それにしても、この映画を見る限りアメリカの医療制度は完全に崩壊しています。そして保険制度も破たんしてます。怪我をしても保険会社からは、なんくせつけられて保険は出ず仕舞い。保険加入の人が、病気で破産して家を手放して、医療費が払えず死んでしまうなんて、ありえない怖さです。イギリス、フランス、キューバ等他の国の医療制度と比較してますが、アメリカは恐ろしい。海外旅行で怪我でもしたら・・・日本も将来、これに近い形になるのでしょうか。ゼロとは言いきれません。映画を見ただけで、実際の制度がどうこうは言えませんが、各国の医療制度、保険制度、そしてなにより日本の制度についても無知なので、これではいけない。と、思わせてくれた映画でした。ほんとに今まで何も考えずに、のほほんと生活してたのです。反省。和田秀樹の「医療のからくり」を読み返そう。

風邪は自然に治るもの、免疫能力はすごい

進化から見た病気 (ブルーバックス)/栃内 新
¥861

「ダーウィン医学」の入門書。このダーウィン医学とは生物学(進化学)からみた医学であり、人、生物が進化と共に病気とどうつきあってきたかなど、医学とはまた別の視点から病気について書かれている良書です。


第一章 ダーウィン医学とは何か

第二章 風邪をひいてから治るまで

第三章 ヒトは病気とどうつきあってきたか

第四章 感染症 ~ヒトと病原体の進化競争

第五章 生活の変化が引き起こした「文明病」

第六章 遺伝病 ~良い遺伝子・悪い遺伝子

第七章 トレードオフ進化~進化が作り出した身体の不都合

第八章 先端医療はヒトの進化を妨げるか

第九章 老化と進化


風邪についての話が面白くて、「風邪ウイルス」が体内に侵入すると、防御反応として、くしゃみ、鼻水、下痢の症状を起こします。これらは、まさに体内から排除するための行動を起こしているのです。考えたら当たり前のことなのですが、風邪の症状ではなく、風邪と戦っている状況(症状)なのです。発熱はウイルスが低温(33~34度)を好み、(特にのどや鼻の温度が低い)その対処として、発熱をして、ウイルスの増殖の抑制をはかっている。体温が高いと免疫細胞の働きがよくなり、ウイルスを処理しやすいらしい。すごいぞ!と、いうことで、解熱剤を飲んで熱を上げる前に体温を下げることは、ウイルスを活発にするので、風邪をぶり返しやすいそうです。風邪による倦怠感も身体を安静にして、体力を発熱や、防御反応に向けさせるヒトにとって必要な症状なのです。


第七章のなかに、「つわり」の効用があり、進化の過程のなかで、つわりを引き起こす食べ物は胎児にとって危険なものが多く、安全な出産を確保するために進化した性質ということも興味深かったです。


そんなことよりも睡眠不足を続けている今の生活を見直せ!ってな感じですけどね。もうはやくも三月。散歩も楽しくなる季節の到来です。あせらず、自分のペースで。三寒四温。三歩進んで二歩下がる。そんなペースで今月を楽しみましょう。


眠いのを我慢しても・・・

「真夜中前の1時間の睡眠は、真夜中過ぎの2時間の睡眠より価値がある。」

茂木さんの本にありました。(まだ、ここだけしか読んでません。)

ここ最近、二日に一回徹夜ペースのハードな生活で、嫁から、上記の文を進められました。

「気持が落ち込んだときには続けて三日間、夜十時(できれば九時)には眠りなさい。」

図面だの、見積だの仕事はリセットして、まずは、寝ましょう。

明日早起きです。(予定)


最後の授業

昨日、片野教授の最後の授業、退官記念パーティーに出席させていただきました。芸術工学の理念の話は、とても熱く、心に残りました。ほんとうにお疲れ様でした。最後にル・コルビジェの「伽藍の白かった時」をお勧めされていたので、探してみようと思います。今の仕事は、直接芸術工学とは関係ありませんが、その精神は、私という構造の中に、軸としてぶれない部分でありたいと思うのです。社会人になって、かなりの時間が流れましたが、学ぶことの大切さを今さらながら痛感し、まだまだ今から多くを学び、実践できるようがんばらねばです。と、言いつつも少し二日酔いぎみです。とりあえず、本を探しに行ってきます。

旅に出たい

法隆寺にひそむ白銀比 五稜郭にひそむ黄金比/江藤 邦彦
¥1,575

文字通り、数学の本です。


目次

第1話 古寺にひそむ数の謎

第2話 大地に輝く緑の星

第3話 高原のドライブ旅行

第4話 曲線の見える旅 


定年を迎えた夫婦が旅行先で数学と出会う話。まず、√2の話ですが日本は古来木造建築で、建築の材料として木材が使用されています。その木材からどれだけ大きな角材をとりだせるかということで、√2とは密接な関係があります。誰のさしがね・・・の「さしがね」=曲尺の目盛りは表が㎝で、裏が角目で

表面の目盛り:裏面の目盛り=1:√2

となります。昔は寸、尺の単位だったので、おそらく今の曲尺とは違うでしょうが、面白いですね。こういうのは。

そこから、白銀比の話へと、展開していくのですが、紙の大きさで、A0判は1:√2の比で1㎡の大きさなのですね。A1はその半分。A2はそのまた半分。A4の紙8枚で1㎡だったのですね。こんなことも知らずにいたとは。

ちなみにB0判は1.5㎡だそうです。

その他、五角形と黄金比についてや、サイクロイド曲線などほんとに解り易く書かれています。学生向けの本ともいえますが、今こそ興味をもって読むのも良いものだと思います。

幾何学入門として、平面の敷き詰め問題には興味を持てました。

正三角形→「鱗」

正四角形→「市松」

正六角形→「亀甲」

繰り返し紋様の変形として、「千鳥」「七宝」「紗綾形(さやがた)」等、日本独特の伝統的な紋様が紹介されています。生活の中の数学を見つけると、意外な所で学生時代に習った数式と出会います。社会に出ても役に立たないと思われる(思ってきた)数式と今出会うのは少し新鮮です。忘れてた数式もありましたが。学生時代にこんな本に出会っていたら、もっと好きになれたでしょうに。(これでも理系ですが。)



時間泥棒と戦うのだ

仕事から帰ってくると11時を過ぎていて、まだ、今からもうひと仕事と思いつつ、日曜の夜に何をしているのでしょうか。誰が時間泥棒なのでしょう。効率化を考えて仕事をしなければ、と解りつつも現実は中々上手くいきません。今のモヤモヤを打ち消すべく、ブログを書いて、読書を30分して寝ようと決めました。勝間さんが言ってた毎日0.2%の改善。今は仕事をするべきではなく、0.2%の心の余裕と、睡眠を選びました。仕事がささいなイラダチの種には違いないのですが、開き直りも大切。隙間時間がとても大切。大事にせねば。

知の衰退、まずは個人。英語、IT,ファイナンス

「知の衰退」からいかに脱出するか?/大前研一
¥1,680

手短に。日本人の集団IQが低くなり、その原因追求と大前先生なりの脱却のヒント集。とにかく考えること。今の私たちは考えることを放棄しているようです。ところどころに質問と大前先生なりの考えが書かれており、道しるべになるとともに、考えることの大切さ、それ以前の危機感の欠如をしつこいくらい知らせています。


最後に集団知を上げるには、まず個人。学校も政府も何もしてくれないとわかっているなら、自分ができることをする。本書は内容が盛り沢山なので、この件については、マインドマップでまとめて、再度書きたいと思います。

八百比丘尼伝説

火の鳥 (3) (角川文庫)/手塚 治虫
¥580

手塚治虫 現代への問いかけ (第四夜) 生と死を超えて 火の鳥からの問いかけ(2月12日NHKBS2)


久しぶりにTVを見ました。手塚治虫の特集があったらしい。第四夜。もっと早く気づくべきでした。

永遠の命が手にいれられるなら・・・一度は誰でも考えることだと思います。


火の鳥 異形編

男として育てられた女主人公の左近介が山寺で尼である八百比丘尼を殺してしまいます。重い病を患った父を八百比丘尼が救おうとしたからです。左近介は父を嫌っています。男として生きるよう強要され、自分が女に戻れるには父の死を待つより他なかったからです。八百比丘尼を殺した左近介は山を降りようとしますが、また、寺へ戻されてしまいます。どうやっても山を降りることはできません。寺に戻ってしまうのです。そう、時空に閉じ込められてしまったのです。そこに病を患った村人が大勢寺にやって来ます。急遽、比丘尼になりすました左近介は、村人達が「本尊の光る羽根で病を治してくれ。」と言われるがままに、人々の治癒をしていきます。歪められた時空の中で、何年も何年も人々や、妖怪を比丘尼として治癒をして過ごします。そこである使いが・・・「ある偉い方が重い病を患っている。その方を治してほしい。」なんと自分の父親の病を治すことに。そして、自分が比丘尼として、自分に殺されるのだと知るのでした。


輪廻転生。火の鳥「異形編」の話は「八百比丘尼」をモチーフとした話です。「業」と一言でいえると思います。八百比丘尼の話は人魚姫伝説とも関連しています。昔々、人魚の肉を食べた小娘が17歳の姿のまま、永遠の命を手にします。村人たちに美人だともてはやされますが、夫となるものも年老いて死んでいきます。娘は800歳まで生きて人々から疎まれ、最後は尼になり、貧しい人を救い行脚していたが、若狭の国の洞窟に姿を消ました。


若狭と言えば、ちりとてちん」(NHK)を見てたので、一度は見に行きたいものです。永遠の命があれば、どうするでしょう。とりあえず、たくさんの本を読んで・・・空想力がないな。生きるのに疲れるのでしょうか。もうひとつ比丘尼つながりを。


陰陽師 (4) (Jets comics)/岡野 玲子
¥810

こちらも比丘尼のお話。安倍清明と比丘尼とのせつないラブストーリー。

「迂闊でございました…」から以降のセリフにウルッときたものです。


永遠をテーマにした話は数多くありますが、福岡伸一氏の「動的平衡」においては、生命は分子レベルでは「お変わりありまくり」だそうで、絶えず変化の流れの中で生命は維持され、流れの中にあることが生きていることだとおっしゃってました。自分の人生は生命の歴史の中の1ページにも、とるに足らないほど小なものであったとしても、生きていることはただそれだけで、愛おしくあります。それはまさに、刹那の中にこそ永遠があるように。


それはさておき、沢山の積読本の山と、永遠に終わりそうもない仕事の山と、どこか現実逃避をしている今日この頃です。