いい大人なのに | KeyboardだってROCKだぜ

KeyboardだってROCKだぜ

引き際を見誤った、金髪ロックキーボーディストの日常。

(※画像はイメージです)

ここのところ、現場で出くわすミュージシャン仲間によく言われます、『ブログ読んでるよ(笑)』って。一連の苦言を呈するブログについて『よく言った!』なんてエール(?)も頂いてますが、えてして反対の意見っていうのは聞こえてこないものなので、そこは冷静です(^^;

『毒吐き』なんて揶揄されやすい内容かとは思いますが、別に毒じゃないんじゃないですかね?間違ったこと言ってないですから。とはいえ思考や価値観は人それぞれなので、押し付けるつもりもないですが。


で、【プロ気取り】についての第3弾。

そもそも線引きが曖昧ですよね、プロ/アマって。別に試験があるわけでも、免許・免状の類いがあるわけでもないですから。
俺だって、もし犯罪やらかして新聞沙汰にでもなった時には『自称ミュージシャン』って書かれるでしょうし。なにせフリーランスの一匹狼ですからね、よくて“自営業”くらいで。

けど実際そんなもんですよ。自分が名乗っちゃえばいいんです、『俺は今日からミュージシャンだ!』って。そのかわり、音楽に全てを賭ける覚悟がなきゃ名乗れません。そう、まさに人生賭けるわけです。自分の人生のサイコロは自分で振るんです。あとは他人が認めてくれるかどうかです。


例えばこんな話。
バンドを組んでいたとして、そのバンドにとって後々ターニングポイントになる(かも知れない)Liveがあるとしましょう。けどその日はどうしてもバイトが休めない。バイトしながら頑張ってる若手もたくさんいますよね、きっと。自分もそうでしたもの。そう簡単に音楽で食えるようになるわけじゃないですから。

そこで、さてどうする?です。
バイト先にはお世話になってるし…かといってメンバーにも迷惑かけられないし…
悩みますよね?

ハイ、悩んだらアウト!
バイトなんてやめちゃって下さい。“音楽に賭ける”っていうのは、そういうことです。俺はそういう時、迷わずやめましたもん。失敗するかも知れません、けどそれも自分の責任です。自分の人生に自分で責任持つ、当たり前じゃないですか。
…でも“バックレ”はダメですよ?最低限の筋は通しましょう。
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バイトやめたら収入がなくなる?
→別のバイト見つけてください。

バイト先に迷惑かかる?
→自分の欲求満たすには、少なからず他人に迷惑かかるんです。ときには生きてることすらも迷惑だったりするんですから。
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そういうものも背負っていってください。後ろめたさも感じてください。それでもなお目指す気持ちがなければ到底無理です。ダメだったら野垂れ死ぬくらいの気概で、ある意味“真っ当な道を外れた人生”ですから。それに余程運命の歯車が上手く噛み合わない限り、絵に描いたようなサクセスストーリーなんかありません。時代性も大きく影響して来ますし。

『別に売れなくてもいい』?
嘘でしょ。売れなきゃ生活出来ないですよ。副業でバイトしながら活動続けている【プロ】だってたくさんいます。代表例として、非常勤契約の専門学校講師だって、広い意味で言えば【バイト】ですから、正社員でない限りは。俺も10年くらい携わってましたし。


もっと大人の話で『プロになりたかったけど、家庭事情その他の理由で就職して、現在に至る』という方も山程いらっしゃるでしょう。いいじゃないですか、それも素晴らしい人生だと思います。
人並みの収入を得て、さほど不自由のない生活(贅沢言ったらキリがないです)を送って、家庭を持って。子供が手を離れたことを契機に『またバンドでもやってみるかな』。そんな方が今溢れ返ってますよね、いわゆる“オヤジバンド”ってやつですか。それら別に否定はしません。むしろ羨ましいくらいですよ。

ただ、申し訳ないですが、貴方達と我々は違います。貴方達が平穏(じゃないかも知れませんが)な生活を送ってきた間も、我々はずーっと自己研鑽の努力を続けて来てます。音楽に関してだけ言えば、差は歴然なのです。それも【プロ意識】の一端です。



とまあ、前置きが長くなりましたが…
実のところ、若手もさることながら、いい歳したオッサン・オバサン達に【プロ気取り】が多いなんて話を先日小耳に挟みまして。我々と同年代なら、ある程度社会的な地位も手に入れてるだろうし、大人としての分別だってあるだろうに…なんともカッコ悪い話です。

ある人は、会社に行けば部下を従えている、人の上に立つ身分かも知れませんが、音楽の現場に来たら“良くてイーブン”です。肩書きなんて関係ないですから。出音が全てです。逆に我々は【プロ】だからといって偉ぶるようなことはありません。だって一般社会からのドロップアウト組、社会不適合者ですもの。そこに的を絞って勝ち負けを論ずるなら“負け”ですね。

俺の身近にもそういう、社会的地位の高い方が何人かいらっしゃいますが、恵まれてることに皆さん良い方ばかりです。むしろこちらが萎縮してしまうくらいで、いいお付き合いをさせて頂いてます。ちゃんと【音楽仲間】として話ができる方々です。皆さんいい音出してますもの。その出音には人となりや、音楽に対する想いが反映されてます。そこにおいての基準は上手いとか下手じゃないんですよ。
一方、たまたま一緒になった現場で他人の機材を借りてもお礼のひとこともなく、バラシも手伝わず、お越し頂いた自分のお客様のアテンドに執心する方なんてのもいらっしゃったり。これはプロ/アマ以前に、『人としてどうなの?』って思います。こういう方の出音は推して知るべし、本人には言いませんが。だってどうでもいいですから。ずっと【プロ気取り】で勘違いしてればいいですよ。


我々【プロ】を標榜する者は、あらゆる意味で上手くなければいけませんし、いい音出さなきゃなりません。当たり前です、プロですから。真っ当な社会人の皆さんが(付き合いも含め)飲みに行ったり遊んだりしている間も努力し続けてます。音楽に賭けたんですもの、人生に手は抜きません。そうやって自分の技術と音に磨きをかけて来てます、何十年もかけて。ギターなどで『同じ機材を使っているのに、同じ音が出ない』っていうのは、その差もあると思います。
どんなに高価な機材を使っても、最先端の機材を使っても、結局奏でるのは人間ですから。それらは単なる“アウトプット”にしか過ぎません。その人の生き方や思考、感性といったものが音となって現れる、楽器ってそういうものだと思います。もちろんその楽器元々の素性もありますが、それをどう操るかってことです、自分の感性に基づいて。
そういう自分の内面を音に乗せられないうちは、音楽家としてはまだまだだなぁと思います、自分もそうですけど。諸先輩方の音を聴くたびに、思い知らされます。


音楽の世界では「50・60は鼻垂れ小僧」です。
中には、様々な事情で一旦音楽の世界から身を引いて、のちに復帰する方もいらっしゃいますが、それらの方は音楽に呼び戻されてるんだと思います。そういう方は“勘どころ”を押さえているので、ブランクを埋めるのもきっと早いです。それも才能のうちですね。一方で近年は、収入を確保できる仕事を持ちながら時間を工面して自己の音楽を追求する、いわば【兼業ミュージシャン】もたくさんいらっしゃいます。これは時代に即した、手堅い生き方といえるでしょう。あとは軸足の問題で。

音楽に出会うも才能、目指すも才能、認められるも才能、です。


それぞれの立場で、それに見合った楽しみ方をする。
それでいいんだと思います。
大別すればプロはプロ、アマチュアはアマチュア。て、プロは楽しいだけじゃ続けられませんが。なので老練アマチュアの皆さんは、変な対抗意識燃やして『俺(私)も昔は…』とか、そういうめんどくさい話はやめましょう、そんなの誰も聞きたくないですから。

同じ現場に立ったときは『やっぱプロってすげえな!』でいいじゃないですか。ね?

…そう言わせられない我々に問題がある?
じゃもっと努力します(^^;
て言っても残された時間は少ないですけど。