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清話会

昭和13年創立!政治、経済、社会、経営、トレンド・・・
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鬚講師の研修日誌(29)
「引き出しの働きかけ」で、愉しみづくりを支援する

澤田良雄氏((株)HOPE代表取締役)


◆引き出しの施しで空気を創る

実力型社員ランクアップ研修を実施した。地元企業の入社3~5年社員で選ばれての受講者である、業種様々であり、企業間のなんらかの協力関係があるものの、本人同士は初顔合わせである。

開始前の空気は静か、姿勢を正して始まりを待つ。空気が涼しい。小生が声を掛ける。
「O社長と昨日会いましたよ。Hさん(受講者)を宜しくといわれています」。

Hさんの表情にほっとした安らぎが浮かぶ。「T社長は元気ですか。禁煙運動は継続していますか」と別の受講者に声かける。「はい、ほとんどの社員が吸わなくなりました」場の空気が少しずつ和らぐ。研修がスタート。

受講者に問いかけながら説くべく事項との結び付けを掴む。あらかじめ得ている各社の情報を話題に、各自の現実と向かい合わせていく。
「わかっている、できる、じゃ最高実践していますか。第一線社員は実際に製品を作りこむ人。その実践力が製品の善し悪しを決める」
「第一線社員はお客様と直にやり取りする。だからその活躍ぶりは会社の評判を決定させる」
「ましてや、新人としての活躍で信用を得て、一人前の太鼓判での信頼を得、担当者として任され、責任を持っての仕事の遂行者です。他社例を紹介しましょう」

●運送会社N社では運転手の挨拶と笑顔で評判を高め今や地域1の運送企業に
●土木関係E社では礼儀正しさときちんとした服装の徹底で信用を得て見事に繁栄
●黒酢メーカーU社では納品書に手書きの挨拶文を書き込む
●建設機材メーカーS社では、ラインでの5S改善活動を小集団活動で問題解決見事な報告発表・ネームプレート関連B社では営業社員が求人広告を見て、「忙がしい会社だから求人、ならばお役に立てることがあろう」との判断で接触、案件を創り出す
●味噌製造Y社では味噌ソムリエの資格を取っての活躍

などがある。
いずれにしても、第一線社員の貢献力です」と小生の指導企業の活躍事例を紹介する。

更に「自社での立場ではこんな、持ち味を生かしたさすがの活躍を魅せられますね」と受講者に落とし込んでいく。徐々に自身のこととして学び取る空気が漂い、受講態度も自然体となって来た。小生からの問いかけにも自身の意見を率直に述べてくるし、講義への反応も明確に示す。内側にある自身の魅力財(能力、思考、想像力、人格、行動力、伝達力、意識…)が顕在化される。そこには逞しささえ見える。

後半のワークショップでは、自ら名前・企業説明を力強く施す受講者。当初は無表情だったHさんの笑顔が実に良い。すかさず、「Hさんその笑顔がいいね、普段もそれを惜しまず魅せていくと良いね」と褒め言葉をプレゼントする。笑顔でうなずく。開始前の妙なる空気が、学びのうずきが高揚し楽しさと熱が漂う空気に変わる。終了時には互いに握手を交わす。親和感と充実感を醸す空気だ。

研修翌日、参加企業のトップ、上長に各自の顕在化された魅力を報告する。「そうでしたか、今後その良さを生かして参ります」と感謝と今後の繋げを約す。「受講者から報告受けました。良き学びとなりましたと……」との御礼の電話をセミナー統括者事務局長にいただく。

受講者の内在する魅力を引き出すことへのお役に立てた実感を得る小生の「気づき研修」の楽しさがそこにある。

◆自ら引き出す「気づき研修」

手元に出講先部品メーカーS社のH社長から礼状が届いた。
「先般の管理職研修ありがとうございました。澤田講師の門下生が50人になりました。それぞれ、うずき→気づき→加工→実践、の変化を経て『明るく元気で楽しいS社』の実現の牽引力になってくれることを確信いたします(原文抜粋)」
との文面である。5年続く出講だ。

この研修は、2日間トップ講話をもとに、良きパートナーシップを生かした研修であり、企業ビジョンの実現に寄与する研修である。礼状に記されたうずき→気づき→加工→実践とは小生が取り組む研修プロセスである。名付けて「気づき研修」としている。

察しの通り、単なるあるべき論や、「ああしろ、こうしろ」の押しつけ型の指導法ではなく、受講者が主体的に、「なぜ」「あ、そうか」「じゃ、こうしよう」と自らランクアップしていく知恵と、内発的実践意欲を助長・支援することだ。そこには既に持ちうる潜在能力を「自ら引きだす機会」がある。

まず、「うずき」とは本人の受講マインド。それは、現状の活躍に、自信と誇りを持った本人が、更なるランクアップした活躍を目指す意欲の度合いがそこにある。この心意気を「うずき」と表現し、「何のために・何を掴むかの受講パワー」を創る。

とかく、無理することは無いとの現状維持型や、あるいは自信タイプの自意識過剰、うぬぼれ感情は「今さら何で」の批判的態度が先行する。これでは学ぶことによる実効は得られない。「従来の実績の評価と、今後の期待見込みがある人のみ、つかんだ研修の権利なり」と説く。

「何のための受講」? そこには自ら掲げた業務目標があるからだ。「目標とはできてないこと」「目標達成とは新たな学びによる新たな改善を施すことによって成したこと」との考えだ。研修での気づきは、2つ有る。

●一つは、自己の良さの確認。つまり、自分なりに自信・誇りとしている思考、言動、実績など客観的物差しで「強み」として確認することであり、
●2つ目は、わかっている、できる、やっていることが、本物か、最高か、周囲の期待との合致など、自己本位でなく他の物差しで診たとき、不足、未熟点等の「弱み」を発見することである。それは研修の場だから得られる「異との出会い」を鏡として自己を写すことにある。

異とは日常とは異なった場所での人の交流、体験を通じて、従来の自己見識や経験則と異なった受講者仲間の「珍・初・新・独(各自の独自性)」の考え方、実践例、そして人の味と遭遇する事だ。自分はどうかと自問自答できる機会そのものだ。

勿論、小生の施しによる講義、体験機会、個別の言動から診る日常の活躍傾向の推察、それがもたらす本人への是々非々、だから改善の示唆などを施す。これらの融合により真なる強み・弱みの気づきをもたらすのである。この気づき「何のために何をどうする」のランクアップへの取り組み策を見出しに生きる。
                 
特に気づきの機会は、難しい、厳しい、不安なりの状況だからこそ効力が増す。この機会を逃避的言い訳を超えて「やってみようかな」と新たな体験への挑みが肝心。そこでは然るべき立場の人の示範力による誘発させる空気を創ることである。

◆気づきは加工による実践力により生きる

強み、弱みの気づきの価値は、「何をどうする」と従来の言動を変えることである。その第一歩は、どう実践するかの知恵を産み出す力。例え真似であっても、他の人ができるから即自分ができるとは限らない。

強みは自信持って活用し、弱みはどう改善するかである。そして、即行する実践力。「ああしてこうして計画満点、実行せぬが玉のキズ」では困る。「周囲を変えたきゃ、自ら変われ」それは新たな成長へ向けた楽しみづくりでもある。

つまり、心が変われば行動が変わる(自己革新)→行動が変われば習慣が変わる(本物)→習慣が変われば人格が変わる(人間的影響力)→人格が変われば人生が変わる(協力温度の高まり、成功、立場のランクアップ)いう道筋がここに成り立つ。このランクアップした実践が企業への更なる強みづくりへの貢献力を高め、自身の「できた・認められた」の喜びの創造である。周囲を変えたきゃ自ら変われ、小生の実践を紹介しよう。

◆内観での導きに「引き出す」支援の重要さを掴む

「気づき型研修」の導きは「内観」の体験。内観とは、自分の心を観ること。

修行は寺で一週間。ポイントは小学校1~3年、以後3年ごとに、
1.母にしていただいたこと、
2.母にして返したこと、
3.母に迷惑をかけたこと、
この3点を部屋の片隅に屏風を立て座布団に座り2時間内観。2時間経つと導師が聴きに来るので必死に思い出す。

導師の1.からの問いかけに答える。この繰り返しが早朝から21時まで続く。進んでくるに従って気づいた。してもらったこと、迷惑かけたことはあれもこれもある。だが、して返したことはどうか、それは本物か、素直な心で自分を内観していく内に、いかに自分が、独りよがりで、見せかけ、自省も薄く、感謝の念も浅い、薄っぺらな人間であるかに気づく。

さらに、父、妻のことも1.2.3.と観ていくと、自分は一人で生きてきたのではない。父の母の妻のおかげで今の自分があることに気づいた。そう思ったとたん涙がとめどなく頬を伝わった。涙を流した後、心が澄んだ。さわやかになった。そして自分が見えてきた。関わってきた多くの人への感謝の念も。まさに自ら、自己洞察し、反省と謝念のわく、ひと回り大きな器の人間に脱皮していく導きであった。

同時に指導法の転換への示唆である。
「ダメ、だからこうしろ、もっとこうしろ」式の自分枠に填めることを多用して「良」としていたかつての指導法から、北風と太陽の話のごとく自ら心を開かせる働きかけ、あるいは馬に池の飲水を無理強いすることより、飲みたい欲求状況を創ること。だからこそ、その「自ら引き出す」環境を整え、素直に自らを診て、素直な気づきで自発的に自己改善していく楽しみを創造する。

「研修の真髄はここにあり」と自省と新たな指導への躍動を促がされた時であった。

以後、受講者の主体的に進化したい欲求を喚起し、現状の強みをより磨き、弱みを改善する楽しみを導けるサポーター(支援者)としての活躍である。

「引き出し、生かす支援」は小生に限るまい。上に立つ人の人を生かす共通事項だ。

◆引き出す施しは今だからこそ実践

社員・部下を生かす・意欲喚起、モチベーション・若年層は……の文言が飛び交う現実であることは確か。この対応のキーワードは「引き出す」「気づく」ことへの働きかけを施すことである。それはいかに自由に内なる魅せる財産を発揮する道筋を創っていくかに他ならない。

現実には個性を生かせといいながらもあれこれの制約が多い。目標の掲げも、その前提は上からの分化範囲であり、本心から発信する想いと異なることもある。そこに、意欲を喚起せよモチベーションを高めよと檄を飛ばしてどれほど功を生むのだろうか。

ならば、企業人(理念、方針、文化、歴史を共有化し)とし、組織メンバー(職掌・部門方針・目標を軸)として自立し、当事者意識で使命感もって責任を果たす活躍を楽しませるか、そのためのどれだけ自由裁量を提供できるかである。引き出し、気づき、自らの持ち味を生かした活躍の楽しみづくりの働きかけがそこにある。

その実践策に着目してみよう。

① 冗談を言える空気を創る。
「職場は楽しいですか?」と問うと「はい」「いいえ」との回答。同じ会社なのになぜか。それは職場の雰囲気の違い。上に立つ人の陰湿なる言動、枠に填めたがる余裕のなさ、真面目すぎる維持することの励行による固さなどが目立てば「いいえ」であろう。楽しませる遊び心での仕掛け、褒め、励まし、感謝の一言のプレゼントが温もりの空気を創る。

② 個々の持ち味を生かす
工具トップメーカN社の幹部T氏からの提言が届いた。配属新人を今年は野球チームになぞらえて育んでいくとのこと。体育会系のS君は一番バッターで雰囲気を創る、着実にことを成すO君は二番バッター、全体を見、戦略を練るコーチはOさん、いざとなったとき意外性がありそうなK君は代打。データを取り上を補佐するスコアラーはIさんとのこと。小生が入社時研修で各自を見ているので納得だ。

「引き出す」きっかけは各自の潜在する良さを知りうるからこそタイミング良い実践ができる。各自はその持ち味を個性と意味づけ、だからこそ「解ってくれている人」との信頼が寄せられる。

③ 見守る勇気で成功を産み出す

14才藤井棋士28連勝、凄い。関する話題は満載だが、生まれ持った素質に加え、それを伸び伸びと生かした周囲があったからこそ、十分に開花したとも見えるとの記事が目についた。

卓球でも10代半ばの選手が大活躍、ゴルフでも、フイギヤーでもその傾向が目立つ。本人の勝ちたい、優勝したい、この強い負けず嫌いのうずきに、周囲の献身的支援と、信じて見守る自制力の実りでもある。
任せると言いつつ、余計な指図は、苦あれば楽ありの楽しみの邪魔をする。

④ 学べる機会を提供する

本人の目指す達成に向けて学習機会をつくり生かさせる支援である。OJT・社内外セミナー、本人申し出の学習機会を可能な範囲で活用する配慮である。

⑤ コーチング的コミュニケーションの実践
「君はどう考える?」と訊ねることは本人の意図を浮き彫りにする。良しとの判断できる考えは実施に向けて背中を押す。聴く耳を持つ、訊く謙虚さは上に立つ人の包容力だ。

⑥ 特技を生かす演出
学友のT氏は社会活動団体4,000人の頂点に立つ人。カラオケはプロ級、ゴルフはシングル級で、衣装を整えての演技は役者並。ボランティアの慰問先では演じる台詞に思わず観衆が涙する。

凄いのはスターを生み出す働きかけ。仲間の民謡を聴く、三味線の引き技を目に止め、慰問団員として活躍の場を演出する。「次はいつ出番があるの?」この新たな楽しみでの幸福感を演出できる人徳は見事である。

職場も同様。特技を生かしてスター的存在を演出することは皆の楽しみをつくり出し、同時に本人は存在感を楽しめる。その注目は業務の思い入れを高めることになる。

⑦ 組織目標に準じた目標以外に、一項目成したい想いを認めよう
方針管理的目標管理は組織目標の分化された目標となる。
「サッカー部をつくる」「部広報誌を発行する」「○○の改善をする」「短歌愛好会を創設する」「課内親睦釣り船を出す」「自働機械の学習会を開催する」「作業を動画に撮り教材とする」「月1回機械掃除を徹底的にする」「新製品のアイデアを提案する」

……社内や部署内、個人での新たな活動による楽しみを個人グループ・単位で展開することを認め支援する。働き方が問われるとき、会社、職場内での第2の名刺で活躍する楽しみづくりの一助である。

如何であろうか。誰でも潜在する魅力の財産を生かし、役割を果たしたい、認められたいとの秘めたる欲求は持ち合わせているもの。しかし、活かす機会が無い。上からの指示通りなすことだけが求められ、新たな発想は拒まれる。

ならば、いわれた通り従えば良い、慣れたことを慣れた通りすることだ。こんな本望に背いた活躍は入社時の初心(本来のうずき)ではない。しかし企業は選べても、職場・上司は選べない。

上に立つ人の「引き出す」「気づく」の働きかけに、持ちうる能力を存分に生かし、「やった」「できた」。
藤井4段の言葉にあやかる{望外}{僥倖}の活躍の愉しみ作りを是非支援して頂きたい。

「部下は上役の器以上に育たない」「部下を変えたいなら、上役自ら変わる」

今日も、各自の変える力にエールを送り、支援指導に尽力している小生である。


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◇澤田良雄

東京生まれ。中央大学卒業。現セイコーインスツルメンツ㈱に勤務。製造ライン、社員教育、総務マネージャーを歴任後、㈱井浦コミュニケーションセンター専 務理事を経て、ビジネス教育の㈱HOPEを設立。現在、企業教育コンサルタントとして、各企業、官公庁、行政、団体で社員研修講師として広く活躍。指導 キャリアを活かした独自開発の実践的、具体的、効果重視の講義、トレーニング法にて、情熱あふれる温かみと厳しさを兼ね備えた指導力が定評。
  http://www.hope-s.com/
 


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「17年秋に迫ったNYダウの大幅下落」
 ----“日本一人勝ち”へのシナリオ


不透明な米トランプ政権、そして中国内部が抱えるリスク。今年の6月でまる8年になる米国景気の好調が来年には終わりになり、ワシントンの混乱と相まって、今秋には株の大幅下げがあるかもしれない。一方で日本経済と株式市場には途方もないいい材料が揃っている。その根拠は何か? 米国投資家筋との生情報をもとに、今井氏が独特の嗅覚で秋以降の世界動向、と日本の未来を見通す。

■講 師   今井 澂氏(国際エコノミスト)

1935年東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒後、山一證券入社。山一証券経済研究所、山一投資顧問を経て、日本債券信用銀行に顧問として転職。「証券から銀行への珍しい転職」として脚光を浴びる。英国との合併会社「日債銀ガートモア」社長件会長を兼務。現在、公益法人年金シニアプラン総合研究機構理事、NPO法人金融知力普及協会理事。著書多数。

■日 時  2017年 8月28日(月) 14:00~15:30

■会 場  日本外国特派員協会会議室(有楽町電気ビル北館20F) 
  (JR「有楽町」駅日比谷方面出口よりより徒歩1分、東京メトロ「日比谷」駅A3出口より直結)


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・清話会会員・・・無料
・一般の方・・・事前予約 10,000円/当日 15,000円/学生 3,000円


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株式会社三輪山本 代表取締役社長 山本太治氏


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清話会研修会
「取締役が知っておくべき責任とリスク」
(8/4)取締役会と株主代表訴訟

(9/12)コンプライアンス経営

■取締役は、法的には株主から会社の経営を委託されており、会社に対しての責任とともに、会社以外の第三者に対しても厳格な責任を負うことになります。

■特に同族企業では感情のわだかまりで親族間が対立することも多く、取締役会がきちんと機能しないと株主代表訴訟に発展することがあり、大企業よりも中小企業の“内輪もめ”に起因する訴訟がむしろ多いくらいです。
また近年の企業不祥事事例では、経営者も含めた取締役のコンプライアンス意識が大きなカギとなっています。

■取締役は「経営責任を負い、意思決定に参画する」役職です。平時の意思決定から法令遵守を強く意識すること、それを実現するためのシステム構築することが求められます。

★8/4(金)、9/12(火)関心おありの回にご参加下さい(もちろん両方ご参加も可能です)。

★新任・現役取締役、役員室スタッフ、経営者、監査部門、法務部門の方々のご参加をお待ちしております!


■ 講 師
浜辺陽一郎
(弁護士、青山学院大学大学院法務研究科教授)


1961年生まれ。84年司法試験合格。85年慶應義塾大学法学部卒業。87年弁護士登録(第二東京弁護士会)。91年にアメリカへ留学し、インディアナ大学ロースクールを経て、シカゴの法律事務所に勤務。ニューヨーク州弁護士資格取得。95年に帰国し、早稲田大学大学院法務研究科(法科大学院)教授(専任・客員教授)等を経て、現職。現在、弁護士法人早稲田大学リーガル・クリニックにおいても弁護士として活動し、多数の企業法務等に携わる。

■8/4(金)13:00-15:30
「取締役の責任とはどういうものか」
 ----株主代表訴訟と第三者責任訴訟       
             
Ⅰ. 株主に対する民事責任(株主代表訴訟)
   ~株主代表訴訟が起こされた場合の問題点~
Ⅱ. 第三者(会社債権者等)に対する民事責任(第三者責任訴訟)
 =会社債権者に対する取締役の民事責任を追及する訴訟
Ⅲ. 対策

■9/12(火)13:00-15:30
「取締役のためのリーガル・リスク・マネジメント」
 ----コンプライアンスと経営倫理

Ⅰ. 近時求められているコンプライアンスとは何か
Ⅱ. 内部統制システム(コンプライアンス態勢)の構築義務
Ⅲ. CSRとコンプライアンスの比較・検討
Ⅳ.コンプライアンス経営システムの一般的概要
  経営幹部として押さえておくべき実践の基本ステップ
Ⅴ.今後の課題とまとめ ~成功のための5つのポイント 

■日 時  2017年 ● 8月4日(金)、● 9月12日(火) 各13:00~15:30
        

■会 場  レ・ビューロー新橋駅前セミナールーム (新橋駅前ビル1号館6階)
       (JR、地下鉄銀座線、都営浅草線「新橋」駅 銀座口〔北口〕より徒歩1分)


■参加費  
・正会員、法人会員、セミナー会員 無料  (会員証1枚につき2名様ご参加できます)
・正会員・法人会員・セミナー会員の同伴者、購読会員 10,000円(税込)、
・一般 15,000円(税込)


■定 員  各 30名限定     


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■ 清話会研修会【東京】 8/4(金) 参加希望

  清話会研修会【東京】9/12(火) 参加希望


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真田幸光氏の経済、東アジア情報
「『みちびき』について」

真田幸光氏(愛知淑徳大学教授)


世界は、
「制空権ならぬ制宙権」
を強く意識して、パワーゲームを展開することを意識し始めています。
「宇宙を制する者は世界を制す」
であり、中国本土などは、自国単独で宇宙開発を推進し、着々とその権益を広げているものと思われます。

これに対して、我が国・日本は米国の庇護の下、
「制宙権は米国任せ」
といったところがありました。

しかし、こうした一方で、日本でも、カーナビやGPS機能がついた携帯電話の普及によって、人工衛星を使った測位情報は私たちの暮らしに欠かせないものとなってきています。

そして、測位衛星により位置を特定するためには、最低4機の人工衛星から信号を受信する必要がありますが、これまで日本国内の都市部や山間地では、高い建物、山などが障害となって4機の人工衛星からの測位信号が届かないことがあり、測位結果に大きな誤差が出ることが度々ありました。

こうした中、今般、日本政府が主導となり開発、遂行された「準天頂衛星システム・みちびき」は、「準天頂軌道」と言う日本のほぼ天頂(真上)を通る軌道を持つ人工衛星を複数機、組み合わせた衛星システムとなっており、現在、運用中のGPS信号やアメリカが開発を進めている新型のGPS信号とほぼ同一の測位信号を送信することで、日本国内の山間部や都心部の高層ビル街などでも、測位できる場所や時間を広げることができるようになりました。

準天頂衛星システムは、補強信号の送信等により、これまでの数十メートル程度の誤差だったGPSに比べて、1メートル程度、更にはcm級へ測位精度の向上を目指して作られたものです。

普段カーナビを使っている方の中には、現在でも十分実用に耐え得ると思われる方もいるかもしれませんが、「みちびき」と言う衛星測位システムは、カーナビ以外にも、
 *地図作りや建築作業に欠かせない測量
 *子供や高齢者の見守りサービス
 *農業機械等の自動制御
 *地震や火山の検知
 *天気予報
など、応用範囲が広がっており、それに伴い精度や信頼性の向上等の高度化が求められていることから、今後、これまでにない位置情報を活かしたサービスも生まれるかもしれません。

そしてまた、これは、日本にとっては、ミサイル防衛やミサイル誘導という、実は安全保障上の目的にも使い得るものであり、日本にとっては大きな財産となると期待されます。

こうしたことから、日本が今般導入した、
「みちびき」
のプロジェクトは多角的な視点から注目していくべきものであると私は考えています。

しかし、こうした日本が米国と連携してミサイル防衛とミサイル誘導のシステム強化を図ることに対しては、中露とも警戒感を示しており、中国本土は、日米の日本海や東シナ海海域・上空近くで展開される合同軍事演習を懸念したり、韓国に配備された米国のTHAADなどを厳しく批判しています。

そして、ロシアに関しては、プーチン大統領自ら、北方四島問題に関連する形で、
「日本の主権下に入れば、これらの島に米軍の基地が置かれる可能性がある」
と述べつつ、日米安保条約が適用される現状では日本への返還は難しいとの認識を示し、制宙権を意識した日米連携を危惧する発言をこの時期に行ってもいます。

上述したような平和利用としての「みちびき」の効果を期待する一方で、中露がこうした警戒感を示していることを私たち、日本の民間人も一応、念頭に置いておく必要がありそうです。



真田幸光------------------------------------------------------------
清話会 1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・東京三菱銀行)入行。1984年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支 店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小 企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メン バー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している

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小池浩二氏の [プレイングマネージャーの仕事術] シリーズ (18)

【プレイングマネージャーの技術編 「メンバーの動かし方シリーズ」 全4回】
第1回目「リーダーはチームの案内人」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
 
■仕組みをつくり、パターン化し、習慣化させよ

(1)動かすとは人、チームを動かすこと

チームリーダーは動かす技術を身につけることです。
プレイングマネージャーであるチームリーダーの最大の仕事は「動かす技術」に集約できます。大企業は組織が人を動かすが、中小企業は人が組織を動かしていきます。

動かすとは人を動かし、チームを動かすことであり、そのためにチームに必要な仕組みをつくり、習慣化させて、動かしていくことです。

組織運営の最大のポイントはパターン化することです。パターン化することで誰もができるやりやすさが生まれます。

行動し、継続すれば習慣化になり、一つ一つのやるべき事の習熟度が増し、精度が上がります。やりなさい、動きなさいとよく耳にします。しかし、うまくいかない理由にやり方がわからない、やり方のバラバラさがあります。これを払拭しないとプレイングマネージャーだけで組織を動かすようになり、成果は出にくい。つまり、全員でチームを動かすプレイングマネージメント体制のスタートラインに立てません。

(2)あなたが考えている価値判断基準を伝え、理解させること


そして、チームリーダーのあなたが考えている価値判断基準を伝え、理解させることです。仕組みをつくれば、チームリーダーのパワーで最初は動かすことができるでしょう。しかし、やらされ感が強くなり、長続きはしません。

大切なことは、なぜこれをやるのか? なぜこの見方が必要なのか? どうしてこうなるのか? このときははどうしたよいのか? 等の物の見方考え方を教えていかないと習慣化はできません。

やり始めるスタートは大事ですが、それ以上に大切なことは継続して定着させることです。

■人の動かし方の視点を変え、仕事をメンバーに任せてやらせよ

(1)チームリーダーの真価

メンバーがやれることをメンバーに任せずに、チームリーダーであるあなたがやるのであれば、リーダーはいりません。

チームリーダーに期待されることはメンバーを動かして,チームの成果を上げることです。メンバーでもできる仕事をチームリーダーが抱え込んで仕事をするようでは、チームとしてソロバンが合いません。なぜなら、リーダーはチームのエース人財だからです。

(2)できるリーダーは仕事観が違う

できるチームリーダーとそうでないチームリーダーの差がここでハッキリ出ます。それはチームリーダーの仕事観の違いです。

できるチームリーダーはチームの生産性を上げるために自分が、今よりレベルの高い仕事をするには、自分が担当している仕事でどの仕事を誰に任せようかと考えるし、その視点でメンバーの仕事振りを確認します。

できないリーダーは目先の仕事に追いかけられます。自分でやらないでよい仕事まで自分で抱え込むからです。可能な限り、仕事はメンバーに任せてやらせることです。いまの仕事をメンバーがやってくれれば、チームリーダーはその分だけ今よりレベルの高い仕事ができるようになるわけです。

つまり、人の動かし方の視点を変えるのです。

■チームとしての判断基準の軸をつくる

あなたのチームメンバーに「チームの目標は何? それを達成させるためのチームの課題は何? その課題を解決するためにチームとして明日からやるべき具体策は何ですか」と問いかけたら、何割のメンバーが答えられるでしょうか?

行動を移す最初の段階で、やるべき事のピントがズレたら、取り返すのは大変です。
そのためには、自分の考えているチームの方針、起こりそうな問題、解決すべき課題やテーマを日常の中でメンバーに問題提起していくことです。自分たちのチームは、この方向性を目指していく、ここが問題、この課題に取りかからないといけないと説明していくことです。チームとしての判断基準をチーム内でたえず確かめる場をつくり、判断基準の軸がぶれないように、共有化されていきます。

そして、人の動かし方を間違えないように、目標を達成するために何をすべきかを全メンバーで考え、決定していくことです。

どんな課題があるか、その優先順位はなにかを検討段階から参画させることは、当事者意識を持つことにつながります。

■メンバーに役割認識を植えつける

メンバーを迷わせないことです。
メンバー一人ひとりに仕事の役割そして、自分があなたに何を期待しているかを伝えることでチームメンバーは、自分の役割認識を持ち始めます。

それはメンバーと話し合うことで、チームリーダーの要求基準が明確になるからです。
そうなると、メンバーに頻繁に声をかけやすくなりますし、失敗やミスへのサポート、アドバイスする機会が増えます。日常の中で、メンバーの成長をフォローし、本人のレベルアップを確認できますので、これからの課題も共有化できます。

つまり、メンバーの働きに正しい頑張り方を与えることになるわけです。

■リーダーはチームの案内人

人・チームを動かす前提として、チームリーダーである自分自身を動かすことが重要です。自らの動きがデタラメなら、当然人は動いてくれません。まずは会社全体の方向性や目標を意識することです。会社の3年後の姿、今年の方針・目標をよく理解することです。組織で上の立場になるとは、高層ビルに登るのと同じで上に行けば行くほど、遠い先が見えないといけません。

つまり、チームの中では、一番先の時間まで見えないといけないわけです。
なぜならチームリーダーはチームの案内人であり、チームを迷わせない羅針盤機能になるからです。

(続く)

 

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■ 小池浩二氏 (マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。
  http://www.m-a-n.biz/
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         筆者 小池浩二氏が
【プレイングマネージャーの仕事術】の概論を
YouTubeで説明しています

     http://www.m-a-n.biz/8-1-0.html


 


SJC2017年9月例会
「国際政治の大転換とこれからの経済・経営」
----世界はこれからどこへ向かおうとしているのか

「政治の年」と言われる今年、現行の世界秩序は崩壊していくトレンドにあり、時代は「混沌(chaos)の時代」から「混乱(disorder)の時代」、ひょっとすると混乱が更に深まり「無政府状態(anarchy)の時代」にまで悪化する危険性を孕んでいる。

米トランプ政権が1月に発足以来、世界はその言動に振り回されてきた。彼の真意をどう読むかが重要だ。
一方、5月の国際会議で、ユーラシア大陸に一大中華経済圏を作る「一帯一路構想」を大きく掲げ、中国が世界経済のリーダーとなる野望を表した。近い将来に人口で中国を抜くであろうインドは反対姿勢を示しているが、ASEAN諸国は中国本土との関係強化の方向だ。

新しい技術が目ざましいかたちで台頭するなか、人口減少、若者の貧困などへの抜本対策を踏まえ将来を見据えた日本の国づくりは今後どう進むか。こうした状況下で、企業経営者が依って立つべきところは何か。

世界で起こる事象を“面”でとらえ、的確な時勢の読みで好評の真田氏が今年もSJC例会に登壇します。
★ぜひ、ご参加下さい。


■講 師 真田 幸光氏(愛知淑徳大学教授)


1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・東京三菱銀行)入行。84年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メンバー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している。

■日 時 9月21日(木) 17:30~20:30
     (17:30-19:00 講演、19:00-20:30 懇親会)


■場 所 日本外国特派員協会会議室 (有楽町電気ビル北館20階)     
 (JR「有楽町」駅日比谷方面出口よりより徒歩1分、東京メトロ「日比谷」駅A3出口より直結)
 

■ビジター参加費  清話会会員 20,800円   
              一般の方  30,800円 
             (SJCメンバーは無料) (税込み、お食事・飲み物代込み) 
■お申し込み
下記を切り取り、清話会オフィスまでメールinfo@seiwakai.comにてお願いいたします。

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■9月21日 SJC2017. 9月例会 
■会社名
■ご担当者               
■ご参加者
■ご住所 〒
■TEL                  ■FAX
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ご質問等ございましたら、お気軽に清話会オフィスまでご連絡ください。
03-6228-5481



真田幸光氏の経済、東アジア情報
「NATOと米国トランプ大統領、そしてロシアと中国本土について」

真田幸光氏(愛知淑徳大学教授)


世の中には今、通称、NATO、即ち、北大西洋条約機構というものがあります。

NATOは、北大西洋条約に基づき、アメリカ合衆国を中心とした北アメリカ(=アメリカとカナダ)およびヨーロッパ諸国によって結成された軍事同盟であり、その前身は1948年に締結されたブリュッセル条約であります。

第二次世界大戦が終わり、東欧を影響圏に治めた共産主義の旧ソビエト連邦との冷戦が激しさを増す中で、イギリスやフランスが主体となり、1949年4月4日締結の北大西洋条約によりNATOは正式に誕生しました。

こうした背景もあって、NATOは、結成当初は、旧ソ連を中心とする共産圏(東側諸国)に対抗するための西側陣営の多国間軍事同盟の性格を強く持つものでありました。

また、アメリカを引き込み、ロシアを締め出し、ドイツを抑え込む=反共主義と封じ込め=と言う理念を持ち、ヨーロッパ諸国を長年にわたって悩ませたドイツの問題に対するひとつの回答であったとも言われています。

そして、加盟国は集団的安全保障体制構築に加えて、域内いずれかの国が攻撃された場合、共同で応戦・参戦する集団的自衛権発動の義務を負っており、相互扶助を原則としています。

そしてまた、当初はアメリカなどの一部で、ドイツの徹底した脱工業化・非ナチ化が構想され、また連合軍占領下ではドイツは武装解除され、小規模な国境警備隊や機雷掃海部隊以外の国軍を持つことは許されず、アメリカ・イギリス・フランス・旧ソ連の4カ国が治安に責任を持つという体制からスタートしました。

しかし、冷戦の開始とともに西ドイツ経済の復興が求められ、主権回復後の1950年には西ドイツの再軍備検討も解禁、西ドイツは新たな「ドイツ連邦軍」の創設とNATOへの加盟の準備を始め、フランスなどはドイツ再軍備とNATO加盟に反対などを受けて、紆余曲折はありましたが、ドイツ連邦軍が1955年11月12日に創設され、西ドイツはNATOに加盟しました。

こうした一方、旧ソ連が、旧ソ連を中心とする東側8か国によってワルシャワ条約を締結してワルシャワ条約機構を発足させたことから、ヨーロッパは2つの軍事同盟が存在することになりました。

この後、1989年のマルタ会談で冷戦が事実上、終焉し、続く東欧の動乱と1991年のソ連崩壊によりNATOは大きな転機を迎え、新たな存在意義を模索する必要性に迫られることとなりました。

1991年に「新戦略概念」を策定し、脅威対象として周辺地域における紛争を挙げ、域外地域における紛争予防および危機管理(非5条任務)に重点を移していき、今日に至ります。

そしてまた、ソ連の崩壊によりソ連の影響圏に置かれていた東欧諸国が相次いでNATO加盟を申請し、結果として、旧ワルシャワ条約機構加盟国としては、バルト三国を除く旧ソ連各国(ロシア・ベラルーシ・ウクライナ・モルドバ)を残し、その他、全ては、所謂、西欧圏に取り込まれることとなりました。

そして、2000年代後半に入ると、アメリカが推進する東欧ミサイル防衛問題や、ロシアの隣国であるジョージア、ウクライナがNATO加盟を目指していることに対し、経済が復興してプーチン政権下で大国の復権を謳っていたロシアは強い反発を示すようになり、2008年8月にはグルジア紛争が勃発、NATO諸国とロシアの関係は険悪化し、「新冷戦」と呼ばれるようにまでなりました。

ロシアは2002年に設置されたNATO・ロシア理事会により準加盟国的存在ではありましたが、このようなことから、NATOとロシアは未だ緊張関係にあるとも見ておくべきかと思います。

さて、こうしたNATOに対して、米国のトランプ大統領は、先般、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長と会談し、会談後の記者会見では、
「NATOは、もはや時代遅れではない」
と述べました。

先の米国大統領選中からNATO不要論を繰り返してきたトランプ大統領の姿勢に、NATO加盟国は危機感を示していましたが、今回のトランプ大統領の姿勢の変化によって、国際金融市場には、
「現状の世界秩序維持」
と言う視点から、安心を与える材料の一つとなりました。

具体的には、ストルテンベルグ事務総長をホワイトハウスで迎えたトランプ大統領の、
「テロの脅威がNATOの同盟関係の重要性を強化した。
イラクやアフガニスタンといったパートナーに今まで以上に協力して欲しい」
と言う発言に繋がったと見られてもいます。

そして、トランプ大統領は、これまでNATOについて、その存在意義を疑問視し、米国の拠出金負担が過剰で偏っているなど、不満を声高に繰り返していましたが、事務総長との共同記者会見で、その考えも変わったと表明しつつ、
「事務総長と私は生産的な話し合いをもち、テロとの戦いでNATOが今まで以上に何ができるか協議した。
ずっと前に私はその点について文句を言ったが、NATOは対応を変えテロと戦うようになった。
NATOは時代遅れだと私は言ったが、もう時代遅れでなくなった。
米国が帳尻を合わせてくれるだろうと依存するだけでなく、ほかの国々も公平に負担を分担すれば、全員がもっと安全になる」
とコメントしたのであります。

トランプ大統領は、こうした反面、モスクワにティラーソン国務長官を送り込み、プーチン大統領、ラブロフ露外相との会談も実現させています。

この会談では、主にシリア問題について協議したようですが、まだまだ、NATOを脅威と認識するロシアを意識し、特に、ロシアのプーチン大統領が、
「米ロ関係が悪化している」
との認識を示していることなども受けて、NATOに対する警戒感が必要以上にロシアに出ないようにも動いているのではないかと思います。

米国にとっては欧州との大切な架け橋であるNATOへの配慮もしつつ、ロシアを刺激し過ぎないようにも意識を払い、また、そのロシアが軍事的には中国本土に近寄り過ぎないように作戦を張り巡らし、更には、中国本土にNATOの絆を崩されないようにも警戒しながら、トランプ政権は巧みに動いていると思います。

米英中露仏独と言った大国を含めた動きに、NATOと言う組織にも重ね合わせて、今後も動向を注視したいと思います。



真田幸光------------------------------------------------------------
清話会 1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・東京三菱銀行)入行。1984年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支 店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小 企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メン バー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している

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小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (18)
【摩訶不思議な中小企業という生き物 全4回】
 ◆第2回目「なぜ、中小企業は人が育ちにくい環境なのか?」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■なぜ、一時代を築いた幹部が古参幹部になるのか?

それは「役職永久欠番慣例制度がもたらす人間のエゴの結果」である。

古参幹部は創業期に入社し、社長と苦楽を共にし、会社に安定期をもたらし、大いなる貢献者として「一時代の栄華」を味わう。

そして会社が成長期に入り、規模的拡大が進むと本人の成長が止まる。徐々に仕事のミスを認めなくなり、新しいやり方にもチャレンジせずに、主張するのは自分の役職と経験だけとなる。

特に成長企業に見られる光景である。しかしある意味組織が大きくなる過程で辿る鬼門でもあり、企業規模が30人を超える頃から表れる。

中小企業の経営者は従業員数が15人を超えた頃から組織図を作りたがる傾向にある。その気持ちもわかる。その時に部門長の大役を仰せつかるのが現場の仕事を一番できる人である。本来ならマネージメントをできそうな人を選ぶのがよいだろうが、人なしの中小企業にはそんな余裕はない。

それに輪をかけたようにマネージメントとは初対面の方が部門長になることが多い。やり方がわからず、暗中模索状態になり、最終的に自己流でやるからうまくマネージメントが執れない。

そこに会社の成長が始まると得意の現場の仕事も変化し、対応できずに袋小路に入り込む。

本人の性格が素直な方で「人を認めること」ができる人なら古参幹部にはならない。しかし、何でも自分が一番の体裁を整えようとすると人間のエゴが出始め、最終的には会社に居られなくなる。

仕事のミスは否定しないが、人間性を否定されると古参幹部になる。

■なぜ、幹部はマネージメントを執れないのか?

それは「能力がないのではなく、経験したこと」がないだけ。

中小企業のマネージメントスタイルはプレイングマネージャーである。このプレイングマネージャーとは現場の仕事をやりながら、マネージメントを行うことである。

サッカーで例えるとグラウンドでボールを蹴りながら選手交代等の作戦展開を考える人ですが、現実的にサッカーの世界には誰もプレイングマネージャーはいない。

仮に、あなたがサッカーチームのプレイングマネージャーとしてピッチに立って、息をゼイゼイさせながら走り、選手交代・作戦展開を考えられるだろうか?

メッシもクリロナもやったことはなく、それだけ両立させることが難しい役割である。

中小企業の社員は現場の仕ことができるようになると、マネージャーになる。最初からマネージメントができそうな人を抜擢することはない。

そして、日本の義務教育ではマネージメントのカリキュラムはない。必然的に学生時代にクラブ活動のキャプテンをやれば体験の中から方法を覚えるが、ごく僅かな人しか体験できない。つまり、多くの部門長がマネージメントを執りなさいと言われてからぶっつけ本番でやっているのが実態である。

大手企業は役職の昇格に伴い、様々な研修を受けて、準備に備える。自動車免許で考えると、仮免許を取ってマネージメントに挑戦するが、中小企業にそんな余裕はなくぶっつけ本番で初めてマネージメントを経験するわけだから、上手くいかないのが当然である。

■なぜ、人を育てることが社内でできないのか?

それは教える側の標準化と最低限の社内の環境整備が無いからである。

人を育てていくポイントは「育つ力」と「育てる力」と「育む力」の三つにある。

「育つ力」は本人の問題、育てる力は上司、現場の人たちのメンバーの協力の問題、そして育むのは会社の環境、仕組みの問題。

中小企業の人材採用は中途採用が多い。その中途採用者を育てるためのポイントは前の会社の考え方、仕事のやり方を捨てさせることである。

前の会社ではこうだったとか、前の会社ではこういうやり方をしていないとか、こういう会社は初めて見た、とよく耳にするが、だったら辞めなければよかったのではないか、と思う。前の会社が云々という発想をやっている限り絶対に育たないし、会社もその人も不幸になる。

そういう言葉が出たときに部門長が「だったら前の会社に戻れ」と言うことが重要。うちの会社の考え方はこうだと言いつづけて教育することが人財育成の入り口の勝負となる。これをやれる上司がいたら人を育てることができ、それができなくて変に迎合してしまうから、本人の育つという部分が弱くなり、育たなくなる。

「育つ力」「育てる力」と「育む力」、この三育力を作っていくことが人を育てるポイントになる。


(続く)


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         筆者 小池浩二氏が
  【中小企業に必要な経営の技術】の概論を
      YouTubeで説明しています


      http://www.m-a-n.biz/3-3.html

         是非、ご覧ください
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真田幸光氏の経済、東アジア情報
「ASEANについて」

真田幸光氏(愛知淑徳大学教授)


東南アジア10か国から成るASEAN(東南アジア諸国連合)は、1967年の「バンコク宣言」によって設立されました。
よって、今年で50年、半世紀を経た訳であります。

原加盟国はタイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシアの5か国であり、1984年にブルネイが加盟しました。

私の認識では、ASEANは、そもそもは、
「中国本土の軍事面も含めた南下に対抗する組織」
も目指して設立された国際組織でありました。

その後、ラオス、カンボジア、ベトナム、ミャンマーが加盟国として順次参加し、現在は10か国で構成され、2015年に共同体となったASEANは、過去10年間に高い経済成長を見せており、成長率の高い人口は既に6億人を超え、域内GDPも、また既に2兆5,000億米ドルを超えており、今後、世界の「開かれた成長センター」となる潜在力が高いと、世界から注目されています。

しかし、トウ小平氏の改革開放路線が進展、特に2000年代に入り、経済力を含めた中国本土の発展とその影響力拡大が顕在化すると、ASEANは、経済的メリットを含め、その中国本土を無視出来なくなっています。

但し、その温度差はあり、ラオス、カンボジアのように中国本土に事実上既に取り込まれていると見られる国もあれば、シンガポールやマレーシアのように環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の協議にも参加しつつ、様子見をしながらも、中国本土との関係でのメリットを上げようとしている国もあります。

こうした一方で、「一帯一路」構想を前面に打ち出し、ASEANも含めて、より広い諸国に対して、slow & steadyでその影響力を拡大しようとしている中国本土は、したたかであります。

こうした中、
☆その出自、受けてきた教育の中に中華民族の血と共産主義的思想も意識するドゥテルテ大統領が登場したフィリピン
☆スハルト政権の32年間で根を張った国軍の影響力を弱めつつ、アジア諸国の中では最も早く、1920年に合法的に共産党を設立したインドネシアに、共産党を復活させようと水面下で動いていると見られるジョコ大統領が登場したインドネシア
☆ワチラロンコン新国王を戴きながら、民主化復帰を目指す中、今や中国本土に近いと見られるタクシン元首相を軸とするタクシン派の影響力が強まるタイ
などはしたたかに中国本土との関係強化のチャンスを狙っています。

一方で、また、
☆中国本土と同じく社会主義・共産主義を標榜し、また北部には「小中華」的意識も実際にはあるベトナムでも、領土問題をはじめ、様々な課題を意識し、また、TPPにも参加しつつ、中国本土との交流メリットをしたたかに探すベトナム
の動きも無視出来ないと思います。

そして、総じて、
「一帯一路戦略を進める中国本土との関係強化と言う基本姿勢を示すASEAN」
を意識して、日本はどう動くのかを考えていくべきかと思います。

即ち、国家としては、中国本土との外交関係も含めた視点から、日本企業としては、対中国本土ビジネス戦略と中国本土が進める一帯一路構想を意識しつつ、対ASEAN戦略を構築し直す時期に来ていると私は見ています。

時代は大きく変わりつつあると思います。



真田幸光------------------------------------------------------------
清話会 1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・東京三菱銀行)入行。1984年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支 店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小 企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メン バー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している

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