技術編「メンバーの動かし方シリーズ」第1回目「リーダーはチームの案内人」 | 清話会

清話会

昭和13年創立!政治、経済、社会、経営、トレンド・・・
あらゆるジャンルの質の高い情報を提供いたします。

小池浩二氏の [プレイングマネージャーの仕事術] シリーズ (18)

【プレイングマネージャーの技術編 「メンバーの動かし方シリーズ」 全4回】
第1回目「リーダーはチームの案内人」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
 
■仕組みをつくり、パターン化し、習慣化させよ

(1)動かすとは人、チームを動かすこと

チームリーダーは動かす技術を身につけることです。
プレイングマネージャーであるチームリーダーの最大の仕事は「動かす技術」に集約できます。大企業は組織が人を動かすが、中小企業は人が組織を動かしていきます。

動かすとは人を動かし、チームを動かすことであり、そのためにチームに必要な仕組みをつくり、習慣化させて、動かしていくことです。

組織運営の最大のポイントはパターン化することです。パターン化することで誰もができるやりやすさが生まれます。

行動し、継続すれば習慣化になり、一つ一つのやるべき事の習熟度が増し、精度が上がります。やりなさい、動きなさいとよく耳にします。しかし、うまくいかない理由にやり方がわからない、やり方のバラバラさがあります。これを払拭しないとプレイングマネージャーだけで組織を動かすようになり、成果は出にくい。つまり、全員でチームを動かすプレイングマネージメント体制のスタートラインに立てません。

(2)あなたが考えている価値判断基準を伝え、理解させること


そして、チームリーダーのあなたが考えている価値判断基準を伝え、理解させることです。仕組みをつくれば、チームリーダーのパワーで最初は動かすことができるでしょう。しかし、やらされ感が強くなり、長続きはしません。

大切なことは、なぜこれをやるのか? なぜこの見方が必要なのか? どうしてこうなるのか? このときははどうしたよいのか? 等の物の見方考え方を教えていかないと習慣化はできません。

やり始めるスタートは大事ですが、それ以上に大切なことは継続して定着させることです。

■人の動かし方の視点を変え、仕事をメンバーに任せてやらせよ

(1)チームリーダーの真価

メンバーがやれることをメンバーに任せずに、チームリーダーであるあなたがやるのであれば、リーダーはいりません。

チームリーダーに期待されることはメンバーを動かして,チームの成果を上げることです。メンバーでもできる仕事をチームリーダーが抱え込んで仕事をするようでは、チームとしてソロバンが合いません。なぜなら、リーダーはチームのエース人財だからです。

(2)できるリーダーは仕事観が違う

できるチームリーダーとそうでないチームリーダーの差がここでハッキリ出ます。それはチームリーダーの仕事観の違いです。

できるチームリーダーはチームの生産性を上げるために自分が、今よりレベルの高い仕事をするには、自分が担当している仕事でどの仕事を誰に任せようかと考えるし、その視点でメンバーの仕事振りを確認します。

できないリーダーは目先の仕事に追いかけられます。自分でやらないでよい仕事まで自分で抱え込むからです。可能な限り、仕事はメンバーに任せてやらせることです。いまの仕事をメンバーがやってくれれば、チームリーダーはその分だけ今よりレベルの高い仕事ができるようになるわけです。

つまり、人の動かし方の視点を変えるのです。

■チームとしての判断基準の軸をつくる

あなたのチームメンバーに「チームの目標は何? それを達成させるためのチームの課題は何? その課題を解決するためにチームとして明日からやるべき具体策は何ですか」と問いかけたら、何割のメンバーが答えられるでしょうか?

行動を移す最初の段階で、やるべき事のピントがズレたら、取り返すのは大変です。
そのためには、自分の考えているチームの方針、起こりそうな問題、解決すべき課題やテーマを日常の中でメンバーに問題提起していくことです。自分たちのチームは、この方向性を目指していく、ここが問題、この課題に取りかからないといけないと説明していくことです。チームとしての判断基準をチーム内でたえず確かめる場をつくり、判断基準の軸がぶれないように、共有化されていきます。

そして、人の動かし方を間違えないように、目標を達成するために何をすべきかを全メンバーで考え、決定していくことです。

どんな課題があるか、その優先順位はなにかを検討段階から参画させることは、当事者意識を持つことにつながります。

■メンバーに役割認識を植えつける

メンバーを迷わせないことです。
メンバー一人ひとりに仕事の役割そして、自分があなたに何を期待しているかを伝えることでチームメンバーは、自分の役割認識を持ち始めます。

それはメンバーと話し合うことで、チームリーダーの要求基準が明確になるからです。
そうなると、メンバーに頻繁に声をかけやすくなりますし、失敗やミスへのサポート、アドバイスする機会が増えます。日常の中で、メンバーの成長をフォローし、本人のレベルアップを確認できますので、これからの課題も共有化できます。

つまり、メンバーの働きに正しい頑張り方を与えることになるわけです。

■リーダーはチームの案内人

人・チームを動かす前提として、チームリーダーである自分自身を動かすことが重要です。自らの動きがデタラメなら、当然人は動いてくれません。まずは会社全体の方向性や目標を意識することです。会社の3年後の姿、今年の方針・目標をよく理解することです。組織で上の立場になるとは、高層ビルに登るのと同じで上に行けば行くほど、遠い先が見えないといけません。

つまり、チームの中では、一番先の時間まで見えないといけないわけです。
なぜならチームリーダーはチームの案内人であり、チームを迷わせない羅針盤機能になるからです。

(続く)

 

////////////////////////////////////

■ 小池浩二氏 (マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。
  http://www.m-a-n.biz/
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
         筆者 小池浩二氏が
【プレイングマネージャーの仕事術】の概論を
YouTubeで説明しています

     http://www.m-a-n.biz/8-1-0.html