【摩訶不思議な中小企業全4回-3】「なぜ、会社によって成長に差が出るのか?」(小池浩二氏) | 清話会

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小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (19)
【摩訶不思議な中小企業という生き物 全4回】
 ◆第3回目「なぜ、会社によって成長に差が出るのか?」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■なぜ、同業種を同地域で同時期に始めても、会社に差が出るのか?

それは社員の基本的行動の質の差である。

同じ時期に、同じ地域で、同じ業種を始めることは物選び、地域選び、スタート時期が同じことを意味する。それでも業績に差が出るのが会社経営である。

私も同業種を同地域で同時期に始めたA社、B社をお手伝いするケースが幾つかあった。(時期は違うけれど)そのときに感じた成長企業と成長できない企業の特徴だが、成長企業の社員は、指摘されなくてもメモを執る習慣を身につけている。

しかし、成長できない企業の社員はよほど記憶力が良いのか不思議とメモを取る習慣がない。また、社内で決められたことに対する意識の違いがある。成長企業は守らなければいけない意識が社員にあるが、成長できない企業は決められたことに対する意識が低く、守ろうしない。

「鶏が先か卵が先か」ではないが、成長したからできるようになった、できるから成長してきたと聞かれれば、後者のできるから成長してきた、が答えである。

この差は経営者が会社の人間集団の基礎的レベルを上げることに注力を注いだ時間・知恵・執念の違いであろう。

■なぜ、同業他社と同じ商品でも業績に差が出るのか?

それは準備期間の差である。
中小企業において自社しか取り扱うことができない商品を持っている企業はほとんど皆無であろう。必ず、同業他社も似たり寄ったりの商品を取り扱っている。しかし同じ取扱い商品でも、企画の準備段階は各社各様である。

10月のことを10月から準備したら、勝てない。業績の良い会社は3ヶ月~6ヶ月先までの準備をしているから勝てる。私の協力している会社で経常利益率を10~20%出している会社は6ヶ月~2年先までの手を打っている。

同業他社と同じ商品で業績に差が出ているのは、ぶっつけ本番でやるからである。プロの世界は練習を必ず行う。しかも勝つための練習である。基礎的能力の高い集団でさえそうなのに、基礎的な能力が劣る中小企業の人間集団が色々なことを事前準備して鍛えないで本番に突入したら負けるのは当然のことである。

■なぜ、人の成長スピードは会社の成長スピードより遅いのか?

それは成長の歪みが出て、必要性を感じて人財育成に取り組むスタンスだからである。
人・物・金のナイナイ尽くしの中小企業には余裕はなく、成長し、社内に歪みが出て、待ったなしの状態で人財育成に手を打つからである。

中小企業の成長は経営者の成長スピード・動きに比例するが、社員の成長スピードには比例しない。従来の育成パターンは、部門長をやらせて、できなければ教育させる等の措置をとるが、本来その時点で遅いことに気づかねばならない。会社の規模が5億から10億、10億から30億、30億から50億、50億から100億を目指すときには組織運営のギアをチェンジしなければならない。

そのときに創業以来、共に頑張ってきた幹部が権限委譲、公私混同の是正、公開経営等の運営方法の変化に対応できないことが多い。情に厚い経営者は我慢強く辛抱するが、中堅・若手社員の目が気になり日々悩む。何かにつけ、舵取り方法の大きな変化を求められるこの段階では会社内にギャップ現象が多発する。

■なぜ、年商5・10・30・50億の壁を突破できないのか?

それは組織運営へのギアチェンジができないからである。

企業に危険度・問題点・病気をもたらす要因特性の一つとして企業の規模への対応能力がある。会社の規模的成長は危険度増加をもたらす。そこで身の丈に合った経営態を創らねば、成長気味=膨張となり、企業の危険度が増すだけである。企業の規模対応とは、人間でみると、小学生には小学生の生活習慣・骨格に合わせた食べ物・洋服があり、中学生には中学生の生活習慣・骨格に合わせた食べ物・洋服がある。

いくら同じ食べ物でも小学生が育ち盛りの中学生の量は必要ない。それと同じように、会社も企業の規模に応じた対策を講じないと健全なる運営ができず、至る所からほころびが出始める。

企業の年商規模段階のステップは以下のとおりである。



(続く)


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         筆者 小池浩二氏が
  【中小企業に必要な経営の技術】の概論を
      YouTubeで説明しています


      http://www.m-a-n.biz/3-3.html

         是非、ご覧ください
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