穴追いについて
穴追いは秋9月から10月に行うもので頭部調整点から行うものであるとされています。
当初野口先生は神経性の疾患や脳のトラブルや不調を調整する為の方法として始められたのですが、自律神経や肉体的疲労などあらゆるところに劇的な変化がうまれる操法といわれたそうです。現在整体を学ぶ際には夏から持ち越した身体の疲労や滞り神経の疲れを取り去る方法という説明が一般的かと思います。
野口晴哉先生の死後整体協会を継がれたの晴哉先生の三男、野口裕介(ロイ)先生は晩年春の穴追いも推奨なさっていました。ただこれは被術者が身体に感じる不調の解消のための操法として行うためにその人の体躯の各部から開始することが多く、少し手の感覚や技術が必要になって来ます。つまり「ところ」を中心としてそこに生じた身体の変化に対応して範囲に拡がりを持たせる愉気に時間をかけて行なうを操法を穴追いという表現で行われたように思います。
今では野口晴哉先生の時代からの整体を学んだ人と新しい時代の整体を学んだ人で穴追いのイメージが違う場合があるのはこのためで、いろいろな指導者に個人指導を受けて技術を知った人にはその指導者によって随分異なった印象になる場合があるようです。穴追いはどの時代のどの指導者について学んだかはによって、順序や方法について色々な説明が行われます。野口晴哉先生は「穴追いはこれぐらい身体が変わる操法は無い」と云われるほど身体に大きな変化を与えるものですが、技術的には熟達した人にしか出来ないというものではありません。
今回は良く知られている「頭部の穴追い」に絞って説明します。
先にも書いた通り、頭部の穴追いなのですが練習をする為に最初は頭部第二という「ところ」から始めます ※下図参照。先に説明しておきますが、穴追いといっても頭の中に穴が開くわけではなく表面に「虚」になる部分、弛んだり力がなかったり少し硬い部分がありその周りがぬるっとしている場合があります。そんな溝のような窪みのようなもの、柔らかく力のない状態の部分を指で追いながら愉気をしてゆくと少しずつそのところが拡がったり新しく溝が出来るようになってきます、それを丁寧に追いかけてゆくことが穴追いです。
出発点は頭部第二から始まりますが最終は髪の毛の生え際くらいまでで額の方に行く場合や耳や鬢に抜ける時後頭部から首に移動することもあるので、長い時には1時間くらいは優に掛かります。きちんと穴追いがされると終わった後、全身が弛み温かくなり心地良さを感じただ眠くなったりまた心身の解放感を味わう人もありますが、その感覚は個人の感受性によって異なってきます。
整体の操法は身体部分に集中的に愉気をするのですが、術者(整体する側)が愉気をすることで被術者(受ける側)の気がその場所に集まり互いの気が感応して色々な変化が起ります。そのことで身体が自身の力で自律的に変化し不都合のある部分を改善したり変化したりしてきます、これが整体の操法なのです。ただ穴追いの場合は、愉気をすることで変化するのは身体の中にある不調などではなく溜まった濁りおり、滞った思いなどというものを流し取り去ることが出来る事からえも言われぬ感覚になると云われます。
「穴追い」のところと手順
・穴追いは上記の通り目の中心から頭に真直ぐに上がった線と耳の前の鬢のところから頭に
上がった線の交わる点から始める
・軽く指を置くと少し凹んだように感じるところが頭部第二調整点
・被術者は椅子や床に座り軽く背筋を伸ばす
・術者は被術者の後ろに立ち両手で耳を挟むようにする通常は被術者の三指(中指)と四指
(薬指)で耳を挟む
・その姿勢から術者は上記の交点に拇指(親指)を軽く置く あくまで置くだけで押えない
・決して指で探らない 術者は軽く置いたつもりでも集中すると指に力が入ってしまい被術
者の頭部に不快や痛みを感じる
・初心者講習の場合時間経過とともに術者の足腰の力低下して被術者に体重をかけている場
合がある これは頭痛や頸の痛み肩こりを引き起こすので重く感じた場合は被術者がその
ことを術者に伝えること 我慢をすると穴追いが意味をなさない
・柔らかく置いた拇指の腹で被術者の頭部の変化を感じ変化したところをただ感じていくだ
けで良い
・左右の穴は同時に変化するものでは無くどちらかだけが動いたり違う方向に移動する場合
一度移動したものが元も都のところに変えることもある
・髪の毛の外に出た時点を目安に終了する
講習会で穴追いの練習は難しいという人がいますが難しいと感じるのは長い時間同じ姿勢を維持し集中する事や力を入れずに感覚を切らさず保つことに慣れていない為です。技術的には初心者にもベテランにも同じような効果感じられる技術ですので繰り返し行っておくと操法や愉気気の稽古の際にも大変役に立ちます。
