日記:三軒茶屋の土田刃物店に教えを請いに行く | 勢州たぬき工房の木工したり直したり

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2018年に小さな工房を自分で建てました。
包丁や大工道具を研いだり直したり。
他も色々作ったり直したり。
元々は生産設備の開発屋。
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こんばんは。たぬきです。

本日は三軒茶屋の土田刃物店さんに伺いました。


土田刃物店と言えば、敷居の高い店。技量が不足と判断されれば希望の道具を売ってくれないなんて話も漏れ聞きます。店主土田昇さんは、度々敷居の高さを否定されて居られますが、果たしてその実態や如何に?


Twitterでお世話になっている、アルケスさんやハラアキラさんと共にお邪魔してきました。

たぬきの目的は主に2つ。

・三ツ目錐の仕立方、坪錐の仕立て方について伺うこと。四つ目錐の穂を購入すること。

・平鉋の仕立て方について伺うこと。荒台を購入すること。


まずは錐から。

先日仕立てた三ツ目錐を診て頂きました。

竹釘で固定したやり方でも良いのか?その他、問題点はないか?改善すべき点はないか?と伺います。



結果は、特に問題ないとの事。その後土田刃物店での仕立て方法や割れ止めの真鍮輪のメリットデメリット、穂側の面取り等を教えて頂きました。

そして、あらいの四つ目錐を大小各1本ずつ売っていただきました。


次に坪錐。

写真の上2本が切れません。特に2番目は切れません。仕立て方を伺いました。


結果は、恐らく錐自身の厚みが厚すぎるとの事。土田刃物店で使用している坪錐を見せていただきましたが、確かに薄手です。
また、刃先の形状が ( みたいな開き具合ではなく、Cみたいな少し閉じ目のカーブの様に見えました。また、真横から見た時の刃先のカーブもたぬきの坪錐とは異なりました。
刃先と刃元のrの関係について教えて頂きました。
厚みはどうしょうもありませんが調整できる所をいじって見ようと思います。

続いて鉋。
先日仕立てた逆勾配の寸六則安と削ろう会で使用している寸八我逢人を診て頂きました。



結果は大きな問題は無いものの、台頭の面取の仕方と叩き方については間違いが有りました。台頭を壊さない方法を教えて頂きました。合わせて、刃口の埋める時の木目や手法について、さらに役物小鉋の台の木目についても教えて頂きました。
(写真左の口埋は則安ではなく、比較用の寸四。右は我逢人)

荒台を贖いたいとの願いは叶いませんでした。理由は在庫切れ。コロナが流行し始めた頃より良質の樫が入手し難くなっているとの由。
あとでアルケスさんに聞いた所、玄能柄も昨今在庫が無いままだそうです。

ヒフクラ鉋
溝の側面を削る鉋の1つにヒフクラ鉋があります。鉋台にアリ溝を切って、アリに合わせた薄い切出しを差しただけの構造です。実に頼りない。どこで支えるのが適切なのか、台も刃も一体どういう形を狙うべきなのか?ずっと疑問に思ってました。
詳しく書いた書籍やブログも見当たりませんね。
という訳で現物を持って伺ったところ、「これで良いよ。使えます」との事。ヒフクラ鉋はそもそものいい加減な構造なので、刃を掴むアリ溝と、刃の峰が当たってれば良いそうです。調整するのは研ぎによる刃の形と、台と峰のあたる馴染?だそうです。


これで一通り、たぬきが聞きたかった事が解決しました。
これで帰っても良いのですが、
せっかく教えていただいたにも関わらず四つ目錐2本だけでは申し訳ない。
そこで、増やしたいと思っていた毛引を売って頂けないかと伺うと「ネジ式の簡単な物しかないから、クサビ式かクサビ無の毛引を自分で作りなさい」との事。
作るに当たっての竿の作り方等、ノウハウを教えて頂きました。

ありゃ、毛引も買えなかったぞ。
そこでたぬきは考えました。ゼットソーの替刃を買おうと。土田刃物店に行って替刃を買ってきたというのはネタとして面白い。そこで、たぬき工房にて使用頻度が高い割に入手しにくい8寸縦挽きを2枚売っていただきました。
この縦挽き、身が厚い上に透きが無く、8寸としては腰が抜群に強い。しかも、替刃式の気安さで唐木やイスノキ、樹脂等も切れ止みを心配せずに済みます。

今回買った物がこちら。
矢印があらいの四つ目錐


その後、Hiroさんも加わって5人で道具談義に。
漸く話も終わり、お店を後に。
今回は土田さん始め、同行頂いた方々にも大変お世話になりました。改めて謝意を述べると共に今後とも変わらずご指導ご鞭撻の程を🙇‍♂️

と言った所で、今日はここまでです。
以上、たぬきでした。ではでは。