数学6点が67点へアップした(その4) | 成績110番

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子どもの成績を上げるための具体的方法を紹介しています。

2学期の中間テストが戻ったとき、彼のテストの結果は、

   「32点」

でした。正直、最近は50点以上取っていたので、
私にはショックでした。
  
  「ひょっとしたら、またもとの6点に戻ってしまうかも・・・」

という不安もありましたが、当の本人は『ケロッ』ととしているのです。

  「なんで、そんなに悪かったの?」
  「先生、ちょっと聞いてよ。先生、この字何に見える?」

  「y(ワイ)かな?」
  「でしょ。でしょ。y(ワイ)に見えるでしょ。
学校の先生が、これy(ワイ)に見えないって。」

  「それで?」
  「だから、全部×。」

  「えっー。」
  「これで、20点損した。」

結局は、彼の字が汚いということで、減点されたものの、
その後は、数学については、50点以上の得点を確実にとれるようになりました。

 「6点」だった数学が、確実に50点を超えるようになったので、
彼の心の中には、

 「数学だったら何とか・・・・・。」

という自信が芽生え始めていたのです。
   

■成績アップのコツは。
 
 1年生から通っていた彼もとうとう中3となりました。
成績は以前よりも良くなったものの私としては、
何とか彼にもっと上の得点を取らせてあげたいと思っていました。

 本当に子供というのは、1つのきっかけで、変わるものです。
1つのきっかけで、自信をつけて、それから成績が伸びていった生徒を
たくさん見てきているからです。

 そして、4月の終わり、授業が終わって彼が帰るときに、
彼に聞いたのです。

 「なあ、○○君。もっと点数取りたい。」
 「・・・・。うん。」
 「じゃ、連休中に特訓するから来るか?」
 「うん。お母さんと相談してから来ます。」

本人も連休中は遊ぶつもりだったようですが、心の片隅には、

 「もっと、点数をあげたい。」

という気持ちがくすぶっているようでした。

 それから、4月29日となり、連休に入ると、
彼はたった一人で来たのでした。

何人かには、「連休特訓」の案内を出したのですが、

 「家族で旅行」
 「親戚の人が遊びに来たり」

と、都合がつかず、結局来たのは彼だけでした。
私としては、他の子にも同じように

「最高得点を取らせて上げたい」

と思っていたのでしたが、中々思うようにはいきませんでした。

 連休中は彼と1対1で指導することになりました。
実は、数学に関して言えば、1学期習うところは非常に得点しやすいので、
昨年もここで得点を取らせて、受験生の成績アップに勢いをつけたことがあります。

 成績をアップするときに大切なのは、

 「僕(私)でも出来るんじゃないか。」

と思わせるだけのきっかけを作ってあげることです。

 本当に成績の振るわない子供こそもっと褒めてあげて、
「やれば出来る。」という「体験」をさせて「自信」を
持たせなければいけないのです。

 そこで、私は今回は「おでん串刺し法」という方法を使いました。
私のもっている塾用の問題集で、1つの公式に対して、
5冊ずつ解いていく方法です。

 まずは、公式について説明し、問題を解かせていきました。
本人が理解できないようなら、さらにステップを細かくして、
説明しました。

 問題集も彼が持っているのが終わると、私の持っている問題集を
かしてあげて、

  1冊、2冊、3冊、4冊、5冊

と解いていきました。彼の偉いところは、

「わからなくても、決してくさらず」

また、

「言われたことは、文句を言わずひたすら言われたとおりに
 やってくれるところでした。」

さらに、何度やっても本人が、理解できない問題は、
すべて私が手書きで問題をつくり、

 1回、2回、3回・・・・・。

と、さらに続けていったのです。それと同時に、
私は彼に何度も、何度も自信をもって語りかけていきました。

「今度のテストでは、絶対に最高得点を取らせるからな!絶対な。」
「○○君なら絶対に出来るって。絶対に。」

そうやって、何度も励ましながら、本当に何度も解いていきました。
教える側として大切なことは、

 「教える側もぶれない。絶対と強く言い切る。」

ことなのです。

そして、子供に自信を持たせながら引っ張っていくことなのです。

そうこうしているうちに、
何度も問題を解いている彼の顔にも自信がみなぎっていくようでした。

 
 ようやく、連休終わり2週間後。とうとう、中間テストの日がやってきました。
ここで、いい結果を残せれば、その後の受験勉強にも弾みがつきます。

逆に、結果が出なければ、

 「やっぱり、やってもムダだ。」

とやる気を削いでしまいます。本当にここが正念場です。
私も、今回の彼のテストについてはいつも以上に気になっていました。
テスト終了後、塾に来たとき、彼に聞くと、

 「先生とやったところは出来た。」

と自信たっぷりでした。


■そして、テストが返ってきた。

    「やった。先生。67点だった。」

と彼は塾のドアを開けるなり、そう叫んでいました。ついで、

 「先生と、連休中にやったところは、全問正解だった。
  今回中2の『確率』が入っていたから点数下がったけれど、
  本当最高得点だ。」

 と一生懸命に話しているのでした。それから、塾に来た友達にも、
「おまえ。数学何点だった?」と何人も聞いていたのでした。

 その後、彼は、勉強に対して勢いがつき、嫌いだった、
「英語」「社会」についても勉強するようになりました。

 すると、数学だけではなく、他の科目の得点もジリジリと上がってきて、
中3の最後には、志望校に見事合格することができました。