昨日、NHKスペシャルで、「灼熱アジア 中東・砂漠の富の争奪戦」というのをやっていました。
世界がCO2削減に動く中で、中東諸国が、豊富な石油収入を原資に環境投資を積極的に行い、
環境先進国に躍り出ようという戦略を打ち出してきている模様をやっていました。
UAEは、『マスダール計画』というのをぶち上げています。
これは、省エネ技術を集積した都市「マスダール・シティ」を一からつくり、そこで海外から先端時術を取り込み、技術を蓄積、産業化し、将来は途上国に環境技術を輸出し、環境技術立国を目指そうというもので、とてつもない戦略を進めています。
カタールは、液化天然ガスの生産・輸出を強力に推進し、2010年の実質GDP予測は+18.5%と「絶好調」とのこと。現在も、プラントの巨大プロジェクトを進行中です。
サウジアラビアは、クリーンエネルギーの国家研究機関を設置し、太陽光発電プロジェクトを推進し、将来的に他国に電力を輸出、供給しようとしています。
サウジアラビアのあるアラビア半島一帯からエジプトのサハラ砂漠に連なる地域は太陽エネルギーに恵まれ、『サンベルト地帯』といわれているそうです。
このサンベルト地帯の太陽エネルギー6時間分で、全世界のエネルギー消費量の1年分を賄えるという試算もあるらしい(試算:汎地中海再生可能エネルギー公社)。
こうしたことから、このサンベルト地帯からの太陽光発電で、2025年までにヨーロッパの電力需要の15%をまかなってしまおうーという計画(デザーテックプロジェクト)もあるそうです。
なんとも、とほうもないスケールです。
こうした動きを、テレビでは、
「砂漠の下に眠っていた石油で富を手にしてきた中東諸国。
これからは、砂漠の上に降り注ぐ太陽が富をもたらそうとしています。」
という趣旨のことを言っていました。
うまく言ったもんです(*^o^*)
その中で、世界に冠たる環境技術を持つ日本企業も乗り遅れまいと、中東各国に売り込みをかけているようです。カタールの液化天然ガスプラントは千代田化工建設とフランス企業の合弁で受注しています。
かつてに比べ、中東諸国の発言力が増してきているようで、納期など要求が強まっている様子がやっていました。
その中で、プラントの試運転をやらなきゃいけない時期に来ているのに、フランス企業側がつくるべき電源装置ができていない(海外企業はいいかげんですねえ)ために、試運転ができないかもしれないという事態に陥ったときの様子が興味深かった。カタールガス担当者は緊急用電源を使わせてくれという日本企業の提案に対し、「そんなのは聞いたことがない。ダメだダメだ!失敗したらどうするんだ!」と頑なに主張する。しかし、フランスの電源装置ができるのを待っていたら、納期がどんどん遅れる。1日遅れると10億円の売上げがフイになるということで、納期の遅れもカタールガスは許さない。 (これを見ていて、もともと悪いのはフランス企業じゃねえか!と思ったのですが、)合弁の責任を持つ日本は追い込まれたが、現地マネージャーの井川玄氏は、試運転をやらないことのリスクもある(納期遅れの損失、日本企業にとっては信用問題にもなる)とし、緊急用電源も使う、失敗したら(日本企業が)責任をとる、と言って押し切り、(もちろん、いけると見込んでのことでしょうが)勝負に出て、成功させた。
試運転の現場で、カタールガス担当者の細かいチェックが次々クリアされていくのをみて、思わず私は、『グッド・ジョブ、井川!!』と喝采を送りましたよん。いやはや、日本企業のすばらしさに感動しました。
ただ、これをみていて思ったのは、日本企業はこのように頑張っているのですが、日本国の姿がなかなか見えてこないということです。UAEのスルタン・ジャベル エネルギー特使(マスダールCEO)は、国内でマスダール構想を主導し、海外諸国に対しては首脳とトップ会談・交渉を行い、国内外のプレゼンスを高めてきました。日本も含む148か国が加盟する『国際再生可能エネルギー機関(IRENA:アイリーナ)』にアブダビを立候補させ、勝ち取っています。
さらに、アイリーナに加盟した資源小国のトンガをUAEは資金支援、そのような政治的パワーを強めるUAEに学ぼうとシオラネオネが、ビジネスチャンスを狙ってインドが…と、ますますUAEのプレゼンスが高まるという方向に進んでいます。
新エネルギーの規格を決める立場になることで新エネルギーの覇権を握ろうとした米国の動きに対しては、UAEは次回会議の開催地をアブダビに持ってくることに成功し、「渡さないぞ。」という姿勢を見せ、米国にしっかり対抗しています。
カタールはアティーヤエネルギー工業相が石油からLNGへのシフトを決断、強力なリーダーシップでカタール経済を引っ張っています。
これに対して、日本は、個々の企業は涙ぐましい努力をしているのですが、企業だけでは新エネルギーを取り巻く世界の潮流から取り残され、微々たる利益しかもたらすことができないでしょう。新エネルギーの覇権争いは、ある意味、形を変えた「戦争」です。国家同士の戦争なんです。企業任せにしていては日本は衰退を免れ得ないという気すらします。最近、国交省が組織改正して、国を挙げて海外に日本の技術を売り込んでいく方針を打ち出したニュースは見ましたが、まだまだと思います。こういう国家プロジェクトは、もう企業任せはしんどい。この番組でもやっていたが、ウエスティンハウスを買収した東芝がいながら、アブダビの原発入札を韓国のイ・ミョンバク大統領のトップセールスもあり、韓国の企業連合(韓国電力、現代建設、サムスン物産、斗山重工業)にとられてしまったのが象徴的。国家が強力に後押しする中国、韓国は、技術立国日本をすぐそこまで追い上げてきています。
今日はレアアースの一種のネオジムを中国が輸出制限したニュースもやっていました。ネオジムは車や携帯電話に今やなくてはならない物質となっているそうで、その輸出制限は日本企業にとって大打撃となっているとのこと。近日中に日中で協議が行われるそうですが、うまくいくのでしょうか。
また、IRENAに関しては、日本の存在感は148分の1にしか私には見えません。
鳩山前総理の以前の国連演説だって、演説当初は多少評価されましたが、その後の肉付けが何も見えず、打ち上げ花火に終わってしまっています。
戦略が見えません。日本は、資源戦略、エネルギー戦略に対する国家的位置づけが低すぎると思う。なぜ新成長戦略に出てこないのか?(あったらすいません…)。 日本電産の社長は円高メリットを活用して海外の部品メーカーを買収しているといい、将来は全世界のメーカーを買収するとまで豪語していますが、いっそ、そういうのを国家的に後押ししてもいい。それで日本企業が強くなり、国内の経済・雇用に好影響を与えるのなら。
もっと日本の政治、行政が頑張って、日本のサラリーマンの心意気、汗、涙を少しでも生きたものにしていってほしいと思いました。
※この記事内容は、冒頭に書いたNHKスペシャル(ネオジム関係はニュースウオッチ9)から書きましたブヒ。