大田経済財政相は、18日に開会した通常国会で行った経済演説で、
「残念ながら、もはや日本は『経済は一流』と呼ばれる状況ではない」と言及した。
経済財政政策を担当する閣僚が、経済分野での国際的な地位の低下を明言するのは異例だ。
大田経財相は演説の中で、「2006年の世界の総所得に占める日本の割合は24年ぶりに10%を割り、1人あたり国内総生産(GDP)は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で18位に低下した」と日本経済の凋落(ちょうらく)ぶりを訴えた。
厳しい現状分析を披露して国民の危機感を高めることで、国全体が世界に挑戦する気概を取り戻せば、
高い経済成長の実現につながるとの思惑があるとみられる。
(2008年1月18日 読売新聞)
「もはや日本は「経済は一流ではない」と呼ばれる状況ではない」
ちょっとショッキングでした。
しかし、内閣府の『平成18年度国民経済計算確報(フロー編)ポイント 』とみると、
停滞する日本経済がくっきりと数字で浮かび上がってくる。
名目GNPで数字を眺めてみると…
我が国のGNPはわずかながらも4年連続増加し、ようやくバブル経済の傷跡から脱しつつあるといえます。
【名目GNP対前年比】
▲2.1% → ▲0.8% → 0.8% → 1.0% → 1.1% → 1.6% (2001年~2006年)
また、経済規模では、我が国は今でも世界第2位の経済大国です。
(アメリカ:13兆1,329億ドル、日本4兆3,755億ドル、ドイツ2兆9,132億ドル (2006年))
しかし、その世界経済に占める地位は年々低下しているのです。
【世界の名目GNPに占める日本の比率】
11.5% → 11.1% → 10.2% → 9.1% (2003年~2006年)
つまり、我が国経済より、欧米諸国の経済成長のスピードの方が格段に速い結果、
我が国経済がしだいに取り残されつつあるということなのでしょうか?
一人当たり名目GNPでみると、その凋落ぶりにビックリです!
【順位】
17→14→16→11→11→9→6→7→3→3→8→4→4→2→3→3→3→4→6→4→3→5→7→9→12→15→18 (1980年~2006年)
直近2006年は18位。30カ国の中でです。
特に、最近5年間は坂道をころがり落ちるかのようです。
内閣府では円安が原因と分析しています。
たしかに円の実質実効為替レートと比較すると比例した動きになっていますが、
円安は、とりもなおさず、日本経済の実力の低下なのです。
ここ最近の株安も重ね合わせると、日本経済が低空飛行を続けているのを海外諸国が嫌い、
カネが日本に集まらなくなってきているのではないかと思わせます。
松下電器が社名をPANASONICに変更するのも、嫌味な言い方をすると、
日本に見切りを付けたと言えなくもありません。
海外諸国も、国内企業も、見切りをつけ始めているのだとしたら、
太田経財相が危機感を持っているのもわかるような気がします。
18日の報道ステーションに出演した太田経財相は次のように言っています。
「足元の経済はそれほど悪くない。しかし、5年先・10年先の日本を考えたときにこれで成長していけるという展望がなかなか開けてこない。そういう閉塞感がある。製造業は今でも一流です。しかし、グローバル化が進んでヒト・モノ・カネが国境を越えるようになると製造業だけでは日本経済を支えられない。製造業以外のサービス業も高い生産性を持たなければいけないが、生産性が低いままにとどまっている。がんばってはいるのですが、世界経済の変化の方が速すぎてそれについていけてない。」
(税などの負担増の中で物価高、そういう状況にあえいでいる人が多くいることについて)
「賃金がなかなか上がらない、なかなか完全にデフレから脱却できない、これが大きな問題。それをなんとか企業の収益が家計に及ぶように景気回復を長く続けることが大きな課題であると考えている。」
我が国は経済大国になって、もう成長しなくてもいいのでないかという意見もありますが、
国も地方も莫大な借金を抱え、それを返済していくためには、悲しいかな、
経済成長を続けていかなければならないという宿命を負っています。
しかし、少子高齢化で人口減少していく中で、経済成長をしていくには、
人口減少をカバーするくらいの生産性向上が必要です。
並大抵のことではいきません。
ということを考えると、太田経財相のメッセージは真剣に受け止めなければならないと思いました。

