監視委は徹底的に真相究明に努めるべき
日興コーディアルグループが05年3月期決算で子会社間に生じた利益だけを計上した問題で、日興は18日、同決算などを記載した有価証券報告書を自主訂正することとなった。
この決算水増し疑惑については、、今春から水面下で監視委と日興のバトルが繰り広げられていたという。
ライブドア、村上ファンドといった世間を騒がした事件の記憶がまだ残る中、監視委に指摘され、今度は大手証券会社が決算水増しを認めることとなった。
これまで我が国の証券業界では、インサイダーや決算の不正操作はやりたい放題という印象が強かった。
というか、「赤信号 みんなで渡れば こわくない」に象徴されるように、我が国は世の中全体が仲良しクラブ的な集団行動、思想に偏向しすぎ、『公正さ』ということを軽視する風潮があった。
昔、私が営業マンをやっていた頃、先輩に言われたのが、
「営業は泥棒と人殺し以外は何やったっていいんだ。」でした。
むしろ、グレーな部分も(ときには見つからなければ黒でも)やれてこそ営業マンだ、という賛美の響きすらあった。
相次ぐ談合の摘発にもみられるように、行政庁はこうした公正さを軽視した企業風土にようやくメスを入れようとしている。
しかし、日興の対応を見る限り、企業の意識変革はまだまだこれからのようだ。
日興は確かに監視委の指摘を受け入れ決算を訂正した。
しかし、12月21日付日経新聞によると、その理由は監視委の認識と大きく食い違う内容だった。
①債権を発行した特別目的会社(SPC)を連結対象に訂正したことについて
監視委 →子会社が100%出資し役員も兼任し、実質的な支配関係にある。
連結支配基準に抵触しており、連結対象にするのは当然だろう
日興 →平社員の不手際で本来目的に合わなくなったから連結するのだ
(連結支配基準に抵触したから訂正するのではない)
②他社株転換社債(EB債)の評価益を削除・訂正したことについて
監視委 →役職者が取締役会の議事録を改ざん―会社が組織的に不正を
働いた。
日興 →平社員が誤ってしたこと
日興は今回の決算訂正で経常利益が777億円→588億円に、
189億円(24%)も減額することになった。
200億円近い利益の変動につながる手続きについて、まったく平社員の不手際であり、役員は何も知らなかったと言い張るのだろうか。
中小の新興企業ならまだしも、大手証券会社のこんな論法をすんなり理解できる人は少数でしょう。
しかし、日興がこうした強気に出たのは制度の盲点を見透かしているからだと、日経新聞では解説している。
課徴金制度は証券取引法の違反者に対して課される行政上の金銭的な負担のこと。
インサイダー取引・相場操縦・風説の流布・有価証券届出書の虚偽記載が対象となる。(大和証券HP)
司法的な手段を必要とせずに命令できるため、機動的・迅速な対応が可能。
平成17年度に導入されて以降、監視委はこれを積極的に活用し、着実に実績を積み重ねてきた。
しかし、日興はこれを逆手にとった。
課徴金払って決算訂正すればもう文句ないだろう、と。
会社の組織的不正を認めなければ、経営陣は安泰である。
まさに『とかげのしっぽ斬り!』
さあ、どうする!?監視委。
日興が今後提出予定の訂正報告書に注文をつけるのか?
それとも、刑事告発に踏み切るのか?
監視委が自らの認識が正しいと思っているのであれば、あいまいに終わらせてはならない。