製造業の業務請負は禁止し、派遣に切り替えるべきだ
偽装請負なくす雇用改革急げ
日本企業の生産現場に広がっている業務請負や人材派遣をめぐり、様々な問題が噴出している。厚生労働省は今月初め、大阪の業務請負会社コラボレートに対し、偽装請負をしていたとして全営業所に2週間から1カ月の事業停止を命じた。…(10月24日 日経新聞 )
業務請負や労働者派遣とは、要するに、仕事のアウトソーシング。
企業にとっては、自前で人を抱えるよりも、人件費を節約でき、かつ、労務管理もする必要がないので、重宝されている。
このうち、業務請負は、労働者派遣のように受け入れメーカー側が仕事の指示ができない反面、一定期間後に正社員に登用する義務などがないというメリットがある。
偽装請負とは、おもてむきは、労働者の受け入れメーカー側が仕事の指示をすることができない請負のフリをしながら、裏で仕事の指示を行う行為。
労働者にとっては、当初の雇用契約にないようなことを命令されるようなことになりかねず、労働者保護の観点から禁止されている。
しかし、実態はこうした偽装請負は横行しているという。。
その理由を日経は次のように解説している。
生産現場では日常的に生産品目の変更や組み立て方式の革新などが起きており、受け入れメーカーが労働者に直接、様々な指示をしなければ、モノづくりの柔軟性は失われ、生産効率も上がらない。このため現場の運用として違法行為を行うケースが多発している。
日経は、こうした現状について、「雇用形態の多様化に対応できていない」とし、「業務請負については法改正を含めた見直しが必要」と論じている。
どのような法改正が必要か書いていないが、業務請負の場合でもメーカーから仕事の指示ができるよう規制緩和すべき、と言いたいのだろうと推測しました。
メーカー側から仕事の指示ができるように、という見直しの方向には賛成です。
ただ、見直しの方法としては、私は、むしろ、製造業務における業務請負を全面禁止する方向で見直すべき、と考えます。
日経が解説するように、生産現場では請負の労働者に直接指示しないと、業務が円滑に回らないのが現実。
しかし、だからといって、違法行為が合法になるように法改正するのでなく、違法行為が実態として起きないようにする観点から法を見直すべきではないでしょうか。
その理由は、請負における労働者の地位が極めて低く、かつ不安定だからです。
労働者派遣にもいろいろ問題がありますが、まだ労働者派遣法では雇用期間が1年を超えた場合に直接雇用義務が生じるなど、ある程度労働者保護を図る措置が規定されています。
しかし、請負に携わる労働者には、そもそも個別に保護される法律すらない!?
冒頭記事の業務請負の受け入れメーカーは松下電器系列の会社です。
松下だけでなく、日立、トヨタ、シャープなど、日本の代表企業が業務請負を活用、コストを削減し、バブル崩壊から復活を果たしてきている。
もちろん、現行の労働法制を踏まえた上で業務請負を活用してきたのですが、日本企業復活の影で、労働者が低賃金・不安定な雇用・過酷な長時間労働、ひいては労災事故…といったしわ寄せを受けてきました。
いわゆる格差問題の主要な原因は業務請負にある!とすら、私は思っています。
日経は業務請負の見直しに言及する一方で、労働者派遣を活用すべしとも言っています。
しかし、これ以上業務請負に携わる労働者の社会的・経済的地位を低下させるような対応は好ましくありません。
むしろ、業務請負は禁止すべきし、代わりに、製造業務における労働者派遣が2~3年前から解禁されていることを踏まえ、
この労働者派遣を活用する方向に持っていくべきと考えます。
《参考サイト》
~asahi.com 業務請負特集~
(経済界の動き)
(労働組合の動き)
(行政の動き)