8日の日経新聞「私がみるニッポンの力」で、ソフトバンク社長孫正義氏がGDP3%成長論を唱えている。
孫氏は、「景気に明るさが見えてきた現状をどう受け止めますか」という質問に対して、
「成長を確かなものとするためには国家としてのビジョンを明確にする必要がある」として、
ターゲットを30年後に置き、
①GDP(国内総生産)、②税収、③国家予算、④国家のバランスシート、⑤人口と出生率
を重点項目として、それぞれに数値目標を置くべきと主張。
そして、30年後に
1%成長なら、GDP700兆円
2%成長なら、GDP900兆円
3%成長なら、GDP1,200兆円とみて、3%成長を目指すべきというもの。
※2004年度の名目GDPは505.4兆円(速報値)
さらに、1,200兆円で税収8%なら100兆円となり、年間国家予算は100兆円で組めると。
(ちなみに、現在の国家予算は、税収約40兆円、歳出約80兆円(一般会計))
逆に、バランスシートは4分の1に縮減、出生率は現在の人口を維持できる2.1を目指すしかないと主張。
そして、
「50年後の日本のGNPは中国、インドに抜かれ世界4位になるという投資銀行の推計がある。
せめて3位には食い込みたい。
『スモール・イズ・ビューティフル』などど言っていると、将来は過去の栄光を憂いてばかりになる」とも。
いかにも孫氏らしい、豪快な提言で、読後は爽快ですらありました。
わたしなどは、つい最近まで、これだけの経済大国になったんだから、
(構造は変える必要がありますが、)経済のパイはもう増えなくてもいい、0%成長でもいいよ、
と思ってたくらいなのに。
ただ、0%成長の場合に困るのが、国の借金返済と社会保障費の増大なんですよね。
0%だと、既定経費を大胆に削減しないと過去の借金が返せない。
それに、高齢化で社会保障費の増大が避けられないから、
人口減社会では一人ひとりの負担がべらぼうに増えてどうしようもなくなる。
(ようやく2つめのお題が書けた~(^^))
政府・与党が2%成長だ、脱デフレだ、日銀の量的緩和解除はけしからん、というのは、
景気に配慮する面が大ではあるが、借金返済と社会保障費の増大への対応も結構大きなウエイトを占めているのではと思う。
要するに、借金返済などに対処するには、
経済全体のパイを大きくし続けていかねばならない宿命になっているのだ~。
ただ、紙面の都合もあるのでしょうが、孫氏も3%成長達成のための方法は、それほど具体的ではない。
500→1,200兆円にするのには、あと700兆円。
これをどの産業分野で増やすかについて、孫氏はハイテク、バイオ、金融に重点を置くべしというが、
その程度だったら、政府としても随分以前から取り組んでいること。新味に欠ける。
孫氏の趣旨と少し違うかもしれないが、
経済活性化、産業振興策は、政府としても昔からの大命題であり、
過去5回も全国総合開発計画 (全総)をつくって取り組んできた。
また、少し前も、医療、福祉等の生活関連サービス産業を中心とした雇用拡大策を作成したことがあった。
しかし、総じてうまくいっていないように思える。
3%の経済成長は魅力的だが、そのための具体的方策をつくることは、なかなか容易でない。
さらに、今後、人口が大幅に増加していくならまだしも、
人口が減っていく中で、その減少分をリカバリーして、なおGDPの3%成長を今後30年間続けていくのは大変なことです。
だからこそ、孫氏も出生率を重要視し、2.1を目指すしかないと主張しているのだが、
この出生率引き上げもGDP以上に大変な話だ。
正月の日経新聞で、「ウーマノミクス」という造語を初めて知りましたが、
出生率の引き上げと同じくらい、女性の労働率向上も重要でしょう。
このように課題は多くありますが、
孫氏が主張する、『3%成長、税収100兆円』が達成できたなら、
みんなの給料も増えて、就職先にも困らず、
国の借金も返せて、
年金・医療などの社会保障も充実できて、
万々歳!だなあとも思うところ。
だったら、政治家のひとりくらいは、これくらいのことを言う人がいてもいいと思うのですが、
あまり聞きませんよねえ。
自民党も民主党も、財政再建、財政再建…。
ここは、麻垣康三さんに、新国家ビジョンとともに、3%成長論をぶち上げてもらうのを期待しましょうか!?