なぜ、郵政公社は民営化されなければいけないのだろうか?
郵政公社が抱えるもっとも大きな問題点は、
『350兆円という巨額な資産が、官業に滞留する仕組みとなっていること』
ではないかと考えます。
具体的には、現在は自主運用(市場運用)されているものの、なお特殊法人等が発行する財投債を直接引き受けており(2007年まで)、また国債を140兆円も保有(国債発行額の1/4で最大の保有者)していることなどがあります。このことは国債管理政策にも大きな影響を及ぼしているといわれています。
したがって、「官から民へ」の一環として郵政改革自体には賛成です。(小泉さんも嫌いじゃありませんし。)
しかし、「改革=民営化」ではないでしょう。
「官から民へ」の実践は、官業を民業に転換することばかりでなく、官業を縮小することによって行う方法もあると考えます。
具体的には郵貯・簡保部門の資産の縮小であり、
① 郵貯の預入限度額を引き下げる
② 郵貯・簡保のサービス水準を民間並みに引き下げる
方法を考えてみました。
① 郵貯の預入限度額引下げ
一番シンプルなのが、郵貯の預入限度額を引き下げることです。
例えば、預入限度額を今の1000万から、以前の350万に戻してはどうでしょうか?
政府は、銀行がかつてのように安定している時代ではない中で、零細な国民が虎の子の預金を預ける先として郵便局は必要という意味のことを言っていますが、それなら1000万もいらんでしょう。
預入限度額が1000→350万になれば、単純に郵政公社の資産は100兆円くらいになる。
(それでも東京三菱をしのぐ規模になると思うが。)
仮に、郵政公社に預けられなくなった資産が国債や株式等の投資に向かえば、「貯蓄から投資へ」という政府の方針にも資することになる。
② サービス水準を民間並みへ引下げ
郵貯の利率等のサービス水準も民間並みにして、必要以上に民間資産が官業に流れないようにする必要があります。
わたしもそうですが、郵貯を利用する理由は、
事実上の国家保証という安心感に加えて、①金利が民間より高いこと、
②ATMの多い設置数、土日祝日でもATM手数料が無料
といった民間の採算ベースで考えるとなかなか真似のできないサービスを提供していることにもあると思われます。
しかし、こうした高いサービス水準を維持するだけの資産運用が行われているかといえば、最初に書いたように甚だ疑問です。このままだと、将来は郵政公社も公的資金注入の可能性もあると指摘されています。
結局、こうした高いサービス水準は、資産運用や納税義務が課せられていないことも合わせてトータルで考えると、結局、「砂上の楼閣」、「足を食っているタコ」と言うのは言いすぎでしょうか??
簡保については割愛しますが考え方は同様です。
郵貯・簡保の資産縮小に伴う問題は国債の安定消化ですが、竹中さんが言われるように、個人向けの国債を郵便局で販売できるようにする等の対応が考えられます。国債の保有先が郵政公社→国民に移行すれば、郵政公社が国債を大量に保有することの国債管理上のリスクも軽減されます。
しかし、いま、政府のやろうとしているのは、民間とのイコールフッティングには触れられているものの、同時に経営自由度を高めた巨大な民営会社をつくる方向で議論がなされており、資産縮小についての積極的な考え方はないように見受けられます。
これは、政府においては最初から民営化ありきで議論せざるを得ないことによるものと思われるが、政局に翻弄されず、地に足のついた議論が展開されることをのぞみます。
(※5/8大幅修正。まだすっきりしない。ん~難しいよ)