- 季節が過ぎゆく空には
秋がなみなみと満ちています
私はなんの心配もなく
秋の中の星たちをみな数えることができそうです
胸の中に一つ、二つと刻まれた星を
もうみな数えられないのは
まもなく朝が訪れるからであり
明日の夜が残っているからであり
まだ私の青春が尽き果てていないからです
星ひとつに思い出と
星ひとつに愛と
星ひとつに哀しみと
星ひとつに憧れと
星ひとつに詩と
星ひとつにオモニ(母さん)、オモニ…
- 中略 -
オモニ(母さん)、あなたは遠く北間島(プッカンド)におられます
私はなんだか懐かしくなって
このたくさんの星の光が降り注ぐ丘の上に
私の名前を書いて
土でおおってしまいました
夜どおし鳴いている虫たちは
私の恥ずかしい名前を悲しんでいるのです
しかし冬が過ぎて 私の星にも春が来れば
墓の上にも青い芝生が息吹くように
私の名前が埋まった丘の上にも
誇らしげに草が生い茂ることでしょう
- ユン・トンジュ『星を数える夜』より(原文韓国語)。
(写真はユン・トンジュ)
※ユン・トンジュ(1917 - 1945)
日本による植民地統治下にあった頃の朝鮮出身の詩人・キリスト者。
1942年、日本に留学。
翌年、同志社大学文学部在学中、一貫して韓国語(当時、日本により使用を禁じられていた)による詩作を続けていたために、治安維持法違反の嫌疑により逮捕。
1945年、福岡刑務所の獄中にて病死(毒殺されたとの説もある)。
没年齢27歳であった。


