『ゴルゴタのよる』- 詩・いえす(再録) - 受難節に寄せて- 砕け散ったバラが鮮血のなかに横たわっている真紅に凍結した心魂(こころ)がそのときガランと震えたナシトゲラレタ…曇天(どんてん)の空が十字を切って崩れる刹那(せつな)その間隙(かんげき)をぬうように最期の破片が美しい個をえがいてわたしの中心に突き刺さり孤絶の嵐吹きすさぶ荒涼(こうりょう)とした静寂(せいじゃく)のなかに厳粛なる完結と蘇生(そせい)に向かって立った- いえす『ゴルゴタのよる』
『消しゴム』- 詩・まどみちお- 自分が 書きちがえたのでもないが いそいそと けす自分が書いた ウソでもないが いそいそと けすそして けすたびにけっきょく自分がちびていってきえて なくなってしまういそいそと いそいそと正しいと 思ったことだけをほんとうと 思ったことだけを自分のかわりのように のこしておいて- まどみちお『消しゴム』より。
『猫』- 詩・萩原朔太郎- まっくろけの猫が二匹なやましいよるの屋根のうへ(上)でぴんとたてた尻尾(しっぽ)のさきから糸のやうな(ような)みかづきがかすんでいる『おわあ こんばんは』『おわあ こんばんは』『おぎゃあ おぎゃあ おぎゃあ』『おわああ ここの家の主人は病気です』- 萩原朔太郎『猫』より。面白いですよね。大好きな詩です。たまにはこんな詩をゆるりと楽しんでみるのもいかがでしょうか。